医療現場で働く中で、ふとよぎる「転職」の二文字。今より良い職場を求めて、もしくはライフステージの変化に合わせて、転職を考える方も多いでしょう。しかし、医療職の転職には独特の事情もあります。
この記事では、転職情報の探し方から給与交渉のコツ、そして普段はなかなか聞けない採用側の本音まで、丁寧に解説していきます。
転職情報の探し方と、それぞれの特徴
1. 人の紹介(知人・先輩・元同僚など)
- メリット:職場の内部事情を聞ける/選考がスムーズなこともある
- デメリット:断りづらい/紹介者との関係性に気を遣う
- 雇用側の費用:基本的に無料
2. ホームページ(公式採用ページ)
- メリット:理念や方針をじっくり見られる/直接応募で迅速
- デメリット:情報が更新されていない場合も/応募後のフォローが少ない
- 雇用側の費用:サイト運営費のみ(無料同然)
3. 転職サイト(ナース専科、ジョブメドレー等)
- メリット:検索が便利/比較しやすい
- デメリット:求人の質にバラつき/連絡が遅いことも
- 雇用側の費用:掲載費または成功報酬型(数万円〜数十万円)
4. 紹介会社(エージェント型)
- メリット:条件の交渉代行/非公開求人に出会える
- デメリット:紹介先とのミスマッチ/転職を急かされることも
- 雇用側の費用:年収の20〜35%程度が相場(例:年収400万円なら約80〜140万円)
【補足】紹介会社の仕組みと雇用側の本音
求職者は無料で利用できますが、雇用側は「採用に成功したら多額の手数料」を支払います。
そのため、紹介会社経由で応募があると、**「即戦力か?」「定着してくれるか?」**などをシビアに見極めようとします。
もし給与交渉などをする場合は、それに見合う実績や理由をしっかり伝えることが必要です。
5. 折り込みチラシ・地域誌
- メリット:地域密着の求人/地元ならではの案件も
- デメリット:情報が古い場合も/詳細が少ない
- 雇用側の費用:チラシ制作・掲載料など数万円程度
6. ハローワーク
- メリット:地元求人が多い/職業相談ができる
- デメリット:医療職の求人が少なめ/情報が簡素
- 雇用側の費用:原則無料
給与交渉のしやすさとそのルール
交渉しやすい媒体は?
方法 | 交渉のしやすさ | 備考 |
---|---|---|
紹介会社 | ◎ | 担当者が代理交渉してくれる |
直接応募(HP) | ○ | 自分で話す必要あり |
知人の紹介 | △ | 関係性に注意が必要 |
ハローワーク | △ | 基本は掲載条件通り |
折り込み・地域誌 | △ | 面接時に要確認 |
転職サイト | △ | 応募後に調整が必要 |
交渉時のマナーとルール
- 「希望条件+理由+譲歩案」の3点セットが基本
- いきなり年収アップを求めず、段階的な提示が好印象
- 面接後や内定時に話すのが一般的
- 自分の希望ばかりでなく、職場の事情も想像して話すと◎
転職時の注意点
- 就業規則の確認(退職予告期間やボーナスの扱い)
- 夜勤・オンコール体制の有無
- 試用期間中の条件確認
- 人間関係や離職率のチェック(口コミや見学を活用)
採用側の本音|医療現場からの声
「求人には理由がある」
- 欠員補充:急な退職、産休など
- 新規立ち上げ:新病棟や外来、リハ部門など
特に新設部門では「早めに現場を任せたい」という思いが強く、指導や引き継ぎの時間が取れないことも。
「交渉された側の本音」
よほど良い人じゃないと、最初から条件アップは厳しいです。
既存職員とのバランスや内部不満を避けるため、特別な条件を提示するのはハードルが高いのが実情です。
「なぜ合否の連絡が遅いの?」
- 複数候補者との比較
- 院内会議や役員承認が必要
- 条件調整の時間がかかる
結論が遅れても、誠実に検討しているサインと受け止めてください。
「誤解されがちな言葉あるある」
採用側の言葉 | よくある誤解 | 実際の意味 |
アットホームな職場です | 人間関係が濃すぎて大変? | 少人数・協力体制が強い現場 |
やる気があればOKです | 教育体制がないの? | 成長意欲や適応力を重視している |
給与は相談のうえ決定 | 給料が低いのかも… | 実績や希望を踏まえて柔軟に調整可 |
まとめ|転職は「相手を知ること」から始まる
転職は、自分の人生を大きく動かす選択です。同時に、採用側にとっても「仲間を迎える」大事な決断です。
情報収集を丁寧に行い、自分の希望とスキルを正しく伝えることで、互いに納得のいくマッチングが生まれます。
雇用側の気持ちや事情も少し想像しながら、後悔のない転職を目指していきましょう。