執筆・内容確認:トントン(医療系国家資格保有者・病院事務長)|最終更新日:2026年6月2日
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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の給与額・税額・社会保険料・雇用条件を保証するものではありません。
「ベースアップ評価料で給料が上がるらしいけど、結局、自分の手取りはいくら増えるの?」
医療現場で働いていると、この疑問はかなり切実です。
ニュースや職場の説明では、「医療従事者の賃上げ」「3.2%」「看護補助者・事務職員は5.7%」といった言葉が出てきます。
でも、いざ給与明細を見ると、
「思ったより増えていない」
「手取りだと数千円くらい?」
「物価高に全然追いつかないんだけど……」
と感じる人も多いはずです。
令和8年度診療報酬改定では、令和6年度から続くベースアップ評価料について、医療従事者の賃上げを後押しするための拡充・見直し・対象拡大が行われました。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、医療機関等の対象職員について、令和8年度に**+3.2%、令和9年度にさらに+3.2%、看護補助者・事務職員については令和8年度に+5.7%、令和9年度にさらに+5.7%**のベースアップ実現を支援する方向性が示されています。
ただし、ここが大事です。
これは「全員の手取りが必ず3.2%、または5.7%増える」という意味ではありません。
ベースアップ評価料は、医療機関が得た収入を賃金改善に充てる制度です。個人ごとの昇給額は、職場の配分方針、職種、雇用形態、勤務時間、基本給、手当の設計、賞与、社会保険料、所得税、住民税によって変わります。
この記事では、病院事務長の現場目線で、次の内容をわかりやすく解説します。
- 令和8年度診療報酬改定のベースアップ評価料とは何か
- 医療従事者の給料はいくら上がる可能性があるのか
- 3.2%アップ、5.7%アップの場合の手取り目安
- 医療事務、看護補助者、看護師、若手医師は対象になるのか
- 全産業と比べて医療・福祉の賃上げ率は高いのか低いのか
- 自分の昇給が少ないと感じたときに確認すべきこと
- 転職を急ぐ前に、求人相場をどう見ればよいか
医療現場で働く人にとって、ベースアップ評価料は追い風です。
ただし、その追い風が自分の給与明細にどれくらい届くかは、職場によって差が出ます。
この記事を書いた人
トントン|医療系国家資格保有者・病院事務長
医療系国家資格を保有し、現在は病院事務長として医療機関の運営、診療報酬、人材確保、医療職の働き方に関わっています。 いりょかいブログでは、医療・介護・福祉の制度や現場の悩みを、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説しています。
- この記事の結論|ベースアップ評価料で給料は上がる可能性があるが、手取りは職場によって差が出る
- 令和8年度診療報酬改定のベースアップ評価料とは?
- 「新設」と「拡充・見直し」は分けて考える
- 対象になる職種は?医療事務・看護補助者・若手医師も対象に
- 結局いくら上がる?月給別の手取りシミュレーション
- 仮に月額賃金が3.2%上がった場合の手取り目安
- 仮に月額賃金が5.7%上がった場合の手取り目安
- 額面と手取りは違う|月8,000円上がっても手取りは6,000〜7,000円程度に見えることがある
- 「基本給が上がる」のか「手当でつく」のかが重要
- 年収で見るとどれくらい違う?全産業平均と医療・福祉の比較
- 賃上げ率で見ると医療・福祉は高い?低い?
- Xで見られる現場の声|「上がったけど足りない」「事務職も対象?」「手取りだと実感が薄い」
- 自分の昇給は多い?少ない?給与明細で見るチェックポイント
- 「少ない」と感じたらすぐ転職?その前に確認したいこと
- 医療従事者が求人を見るときのポイント|年収だけで比較しない
- 職種別|転職サイト・求人サービスを使うならどう見る?
- ベースアップ評価料で給料が上がらないと感じるときの考え方
- FAQ|ベースアップ評価料と医療従事者の給料に関するよくある質問
- Q1. ベースアップ評価料で給料は必ず上がりますか?
- Q2. 手取りはいくら増えますか?
- Q3. 3.2%や5.7%は全員にそのまま反映されますか?
- Q4. 医療事務も対象になりますか?
- Q5. 看護補助者はどれくらい上がる可能性がありますか?
- Q6. 看護師は対象ですか?
- Q7. 医師は対象ですか?
- Q8. 40歳以上の医師は対象外ですか?
- Q9. パートや非常勤も対象になりますか?
- Q10. ベースアップ評価料は賞与にも反映されますか?
- Q11. 基本給ではなく手当で支給されることはありますか?
- Q12. 給与明細のどこを見ればいいですか?
- Q13. 思ったより上がらない場合、誰に確認すればいいですか?
- Q14. 転職したほうがいい目安はありますか?
- Q15. 求人を見るときは年収以外に何を確認すべきですか?
- まとめ|ベースアップ評価料は追い風。でも、自分の給与明細と求人相場は確認しよう
- 参考資料
この記事の結論|ベースアップ評価料で給料は上がる可能性があるが、手取りは職場によって差が出る
最初に結論です。
令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを後押しするベースアップ評価料が拡充・見直しされています。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、医療機関等の対象職員について、令和8年度に+3.2%、令和9年度にさらに+3.2%、看護補助者・事務職員については令和8年度に+5.7%、令和9年度にさらに+5.7%のベースアップ実現を支援するとされています。
算定上は、令和9年6月以降、通常の対象職員については6.4%相当、看護補助者・事務職員については11.4%相当の考え方になります。
ただし、これは個人の手取りがそのまま6.4%、11.4%増えるという意味ではありません。
個人ごとの給与や手取りは、勤務先の配分方針、職種、雇用形態、勤務時間、基本給、手当、賞与、社会保険料、税金によって変わります。
ざっくり見ると、たとえば月給25万円の人が仮に3.2%上がった場合、額面では月8,000円増です。
しかし、社会保険料や税金を差し引くと、給与明細上の手取りでは月6,000〜6,800円程度に見えるケースがあります。
つまり、
「額面では上がった。でも、手取りだと実感が薄い」
ということは十分にあり得ます。
医療従事者の不満は、決してわがままではありません。
一方で、病院側も、診療報酬、物価高、光熱費、医療材料費、人件費、委託費、人材紹介料などの影響を受けています。
現場職員は「もっと給料を上げてほしい」。
病院側は「上げたいけれど、原資が厳しい」。
この板挟みが、いまの医療現場のリアルです。
病院経営の厳しさや「病院は儲かっているのか」という視点は、関連記事の病院経営は儲かる?行ってはいけない「お金儲け病院」の見分け方でも解説しています。
令和8年度診療報酬改定のベースアップ評価料とは?
ベースアップ評価料とは、簡単にいうと、医療機関などが得た診療報酬上の収入を、医療従事者の賃金改善に充てるための仕組みです。
患者さんが医療機関を受診すると、医療機関には診療報酬が入ります。その診療報酬の中で、職員の賃上げを目的に評価される部分がベースアップ評価料です。
ここで注意したいのは、令和8年度改定で医療機関のベースアップ評価料が「新設」されたわけではない、という点です。
医療機関向けのベースアップ評価料は、令和6年度診療報酬改定からの流れがあります。
令和6年度改定では、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップを実施し、定期昇給などと合わせて前年を上回る賃上げの実現を目指すとされました。
この流れは、厚生労働省の令和6年度診療報酬改定の概要「賃上げ・基本料等の引き上げ」でも確認できます。
そして令和8年度改定では、令和6年度からの流れを受けて、ベースアップ評価料について次のような見直しが行われています。
- 令和8年度・令和9年度の段階的な評価
- 対象職員の拡大
- 外来・在宅、入院、訪問看護などでの評価体系の見直し
- 夜勤手当の増額にも使える扱いの整理
- すでに賃上げに取り組んでいる医療機関と、それ以外の医療機関で異なる評価を行う仕組み
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等についてでも、令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料について、令和6年度からの変更点、収入の使い道、届出方法などが整理されています。
「新設」と「拡充・見直し」は分けて考える
令和8年度改定では、すべてを「新設」と表現すると不正確です。
医療機関のベースアップ評価料は、令和6年度からの流れを受けた拡充・見直し・対象拡大です。
一方で、令和8年度改定では新たに設けられた制度もあります。
たとえば、保険薬局については、薬剤師や事務職員等の確実な賃上げを図る観点から、調剤ベースアップ評価料が新設されています。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の概要「調剤報酬」では、調剤ベースアップ評価料が4点で新設され、令和9年6月以降は所定点数の200%相当で算定するとされています。
また、歯科技工所に所属する歯科技工士の賃上げを図る観点から、歯科技工所ベースアップ支援料も新設されています。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の概要「歯科」では、歯科技工所ベースアップ支援料が1装置につき15点で新設され、令和9年6月以降は所定点数の200%相当で算定するとされています。
整理すると、次のようになります。
| 区分 | 令和8年度改定での位置づけ |
|---|---|
| 医療機関のベースアップ評価料 | 令和6年度からの流れを受けた拡充・見直し・対象拡大 |
| 訪問看護ベースアップ評価料 | 段階的評価・対象拡大などの見直し |
| 調剤ベースアップ評価料 | 令和8年度改定で新設 |
| 歯科技工所ベースアップ支援料 | 令和8年度改定で新設 |
制度の記事を書くときも、職場で説明を聞くときも、ここは混ぜないようにしましょう。
対象になる職種は?医療事務・看護補助者・若手医師も対象に
令和8年度診療報酬改定の大きなポイントは、対象職員の拡大です。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、保険医療機関等に勤務する幅広い職員の人材確保と確実な賃上げを実施する観点から、ベースアップ評価料の対象職員を拡大するとされています。
具体的には、事務職員、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師も対象とされ、経営者・役員等は除くと示されています。
対象になり得る職種のイメージは、次のとおりです。
| 職種 | 対象の考え方 |
|---|---|
| 看護師 | 対象になり得る |
| 准看護師 | 対象になり得る |
| 看護補助者 | 重点的な賃上げ目標の対象 |
| 医療事務 | 令和8年度改定で対象拡大の中に含まれる |
| 薬剤師 | 医療機関・薬局の制度に応じて扱いが分かれる |
| 理学療法士 | 対象になり得る |
| 作業療法士 | 対象になり得る |
| 言語聴覚士 | 対象になり得る |
| 臨床検査技師 | 対象になり得る |
| 診療放射線技師 | 対象になり得る |
| 管理栄養士 | 対象になり得る |
| 社会福祉士・精神保健福祉士 | 対象になり得る |
| 介護職員 | 医療機関内の職員として対象になり得る |
| 40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師 | 制度上、対象として扱われるが算定方法に注意 |
| 40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師 | 制度上の対象職員には原則として含まれない扱い |
| 経営者・役員等 | 対象外とされる |
特に注意したいのが、医師・歯科医師・薬局薬剤師の扱いです。
厚労省資料では、40歳未満の医師・歯科医師について、常勤・非常勤別の金額を用いた算定方法が示されています。これは、一般職員のように「基本給に3.2%をかければそのまま増える」と単純に考えるものではありません。
40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師、経営者、役員等は、制度上の対象職員には原則として含まれない扱いです。
ただし、勤務先が独自に賃上げを行う場合は別です。自分の給与にどう反映されるかは、勤務先の説明を確認しましょう。
結局いくら上がる?月給別の手取りシミュレーション
ここがいちばん気になるところです。
「ベースアップ評価料 いくら 上がる」
「ベースアップ評価料 手取り」
「看護師 ベースアップ 手取り」
「医療事務 ベースアップ評価料 対象」
「看護補助者 ベースアップ 5.7%」
こういった検索をする人が知りたいのは、制度の言葉よりも、自分の給与明細がどう変わるかです。
ただし、繰り返しますが、3.2%や5.7%は「全員の手取りが必ずその分増える」という意味ではありません。
また、以下の表は、制度上の算定式そのものではありません。
読者が手取り感をつかみやすいように、仮に月額賃金が3.2%または5.7%上がった場合を置いた参考試算です。
実際には、勤務先の配分方針、対象職員数、基本給・手当の設計、賞与への反映、社会保険料、所得税、住民税によって変わります。
ここでは、わかりやすくするために、次の前提でざっくり試算します。
- 額面増=現在の月給に3.2%または5.7%をかけたもの
- 手取り目安=額面増の75〜85%程度が残ると仮置き
- 社会保険料・所得税・住民税を厳密に計算したものではない
- 扶養、年齢、自治体、賞与、保険料率、勤務先の給与設計で変わる
- 実際の支給額は勤務先の配分方針によって変わる
仮に月額賃金が3.2%上がった場合の手取り目安
医療機関等の対象職員については、令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%のベースアップ実現を支援する方向性が示されています。詳しくは厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」で確認できます。
| 現在の月給 | 額面の増加目安 | 手取り増の目安 |
|---|---|---|
| 20万円 | +6,400円 | +4,800〜5,400円 |
| 25万円 | +8,000円 | +6,000〜6,800円 |
| 30万円 | +9,600円 | +7,200〜8,200円 |
| 35万円 | +11,200円 | +8,400〜9,500円 |
| 40万円 | +12,800円 | +9,600〜10,900円 |
たとえば月給25万円の人なら、仮に3.2%アップした場合、額面は月8,000円増です。
しかし、社会保険料や税金を差し引くと、手取りでは月6,000〜6,800円くらいに見えるケースがあります。
これが、現場でよくある「上がったはずなのに、思ったより実感がない」という感覚につながります。
仮に月額賃金が5.7%上がった場合の手取り目安
看護補助者・事務職員については、令和8年度・令和9年度にそれぞれ5.7%のベースアップ実現を支援する方向性が示されています。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」でも、看護補助者・事務職員の5.7%が示されています。
ここでは、看護補助者や医療事務などの月給帯をイメージして試算します。
| 現在の月給 | 額面の増加目安 | 手取り増の目安 |
|---|---|---|
| 18万円 | +10,260円 | +7,700〜8,700円 |
| 20万円 | +11,400円 | +8,500〜9,700円 |
| 22万円 | +12,540円 | +9,400〜10,600円 |
| 25万円 | +14,250円 | +10,700〜12,100円 |
5.7%と聞くと、かなり大きく見えます。
ただ、月給20万円の場合、額面では月11,400円増でも、手取りでは月8,500〜9,700円程度に見えるケースがあります。
もちろん、毎月これだけ増えれば助かります。
でも、食費、光熱費、ガソリン代、家賃、子どもの教育費などが上がっている家庭では、「ありがたいけど、まだ足りない」と感じるのも自然です。
額面と手取りは違う|月8,000円上がっても手取りは6,000〜7,000円程度に見えることがある
医療従事者の賃上げを考えるときは、額面と手取りを分けて考える必要があります。
額面とは、給与明細の支給額です。
手取りとは、そこから社会保険料、所得税、住民税などが引かれたあとの金額です。
たとえば、額面で月8,000円上がったとしても、そのまま8,000円が口座に増えるわけではありません。
ざっくり見るなら、額面増の75〜85%程度が手取りに残ることが多いため、月8,000円の額面増なら、手取りでは月6,000〜6,800円程度に見えるケースがあります。
ただし、これは概算です。
実際には、次の要素で変わります。
- 扶養家族の有無
- 年齢
- 介護保険料の有無
- 健康保険組合
- 厚生年金保険料
- 所得税
- 住民税
- 賞与への反映
- 夜勤手当や残業代への反映
- 勤務先の給与規程
「3.2%って聞いたのに、手取りはこれだけ?」と思った場合は、まず給与明細の支給額と控除額を分けて見ましょう。
「基本給が上がる」のか「手当でつく」のかが重要
給与明細を見るときに大事なのは、増えた金額だけではありません。
基本給が上がったのか、毎月固定の手当で上がったのか、一時金だけなのかを見てください。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、ベースアップ評価料で得られる収入について、基本給等の引上げや、それに伴う賞与、時間外手当、法定福利費の増加分に充てることが示されています。
また、恒常的に夜間を含む交代制勤務の職員に支払われる夜勤手当についても、毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めてよいとされています。
基本給が上がると、次のようなところに影響する可能性があります。
- 賞与
- 残業代の単価
- 退職金
- 昇給カーブ
- 将来の年収
一方で、毎月の固定手当として支給される場合、賞与や退職金に反映されるかどうかは職場の給与規程によります。
「月いくら増えたか」だけでなく、どの項目で増えたかを確認しましょう。
年収で見るとどれくらい違う?全産業平均と医療・福祉の比較
医療従事者の給料を考えるときは、自分の職場内だけでなく、全産業や医療・福祉全体との比較も大事です。
国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。
正社員・正職員は545万円、正社員・正職員以外は206万円とされています。国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査 結果概要PDFでも、平均給与や正社員・正職員、正社員・正職員以外の平均給与が確認できます。
| 統計 | 区分 | 金額 |
|---|---|---|
| 国税庁 民間給与実態統計調査 | 全体平均給与 | 478万円 |
| 国税庁 民間給与実態統計調査 | 正社員・正職員 | 545万円 |
| 国税庁 民間給与実態統計調査 | 正社員・正職員以外 | 206万円 |
| 国税庁 民間給与実態統計調査 | 医療・福祉 | 429万円 |
ただし、ここでの「医療,福祉」は、病院だけを指すわけではありません。
「医療,福祉」には、医療業だけでなく、保健衛生、社会保険、社会福祉、介護事業なども含まれます。そのため、病院勤務の看護師だけ、医療事務だけ、リハ職だけを切り出した数字ではありません。
また、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、一般労働者の賃金は男女計で34.06万円、男性37.34万円、女性28.59万円とされています。詳細は令和7年賃金構造基本統計調査の概況PDFで確認できます。
同じ調査では、医療・福祉の正社員・正職員の賃金は32.55万円、正社員・正職員以外は24.28万円とされています。
これを単純に12か月で見ると、賞与や残業代を含まないざっくり換算では次のようになります。
| 区分 | 月額賃金 | 12か月換算 |
|---|---|---|
| 一般労働者 全体 | 34.06万円 | 約408.7万円 |
| 医療・福祉 正社員・正職員 | 32.55万円 | 約390.6万円 |
| 医療・福祉 正社員・正職員以外 | 24.28万円 | 約291.4万円 |
この比較は、統計の対象や定義が違うため、厳密な横比較には向きません。
それでも、医療・福祉で働く人が「専門職なのに、他産業と比べて給料が高いとは言いにくい」と感じる背景は、数字からもある程度見えてきます。
賃上げ率で見ると医療・福祉は高い?低い?
「医療従事者の給料が上がらない」という声は、単なるわがままなのでしょうか。
数字を見ると、そう簡単には言えません。
厚生労働省の令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査では、令和7年の1人平均賃金の改定率は全体で4.4%、改定額は13,601円でした。
一方、「医療,福祉」は改定率2.3%、改定額5,589円です。
| 区分 | 1人平均賃金の改定額 | 改定率 |
|---|---|---|
| 全体 | 13,601円 | 4.4% |
| 医療・福祉 | 5,589円 | 2.3% |
この数字を見ると、医療・福祉の賃上げ率は、全体平均より低い水準です。
もちろん、この調査も対象企業や定義に注意が必要です。すべての病院、クリニック、介護施設をそのまま表しているわけではありません。
それでも、現場職員が「他業界はもっと上がっているのに、医療は追いついていない」と感じるのは、かなり現実に近い感覚です。
一方で、病院側にも事情があります。
診療報酬は公定価格です。一般企業のように、材料費や人件費が上がったからといって、自由に価格転嫁できるわけではありません。
光熱費、医療材料費、食材料費、委託費、人材紹介料も上がります。そこへ賃上げも必要となれば、病院経営はかなり苦しくなります。
このあたりの病院経営の現実は、関連記事の病院経営は儲かる?行ってはいけない「お金儲け病院」の見分け方でも触れています。
つまり、現場職員の不満は当然です。
でも、「病院が出し渋っているだけ」と一言で片づけるのも、少し乱暴です。
この板挟みが、いまの医療現場のつらいところです。
Xで見られる現場の声|「上がったけど足りない」「事務職も対象?」「手取りだと実感が薄い」
XなどのSNSでは、ベースアップ評価料や医療従事者の賃上げについて、現場の戸惑いが見られます。
個人アカウント名、ID、顔写真、病院名、地域名などは本文では出しません。また、個別投稿を制度の根拠として扱うこともしません。
制度の根拠は、あくまで厚生労働省などの公式資料です。
SNS上の声は、現場感をつかむ補助として見るのが安全です。
公開投稿の傾向を匿名でまとめると、次のような声があります。
- 額面では上がったが、手取りでは数千円で実感が薄い
- 医療事務も対象になるのか分かりにくい
- 看護補助者・事務職員の5.7%という数字に期待と戸惑いがある
- 夜勤手当や賞与に反映されるのか不安
- ベースアップ評価料の仕組みが複雑で、職場から説明がないと分かりにくい
- 医療従事者の給料が物価高に追いついていないという不満がある
- 病院側も人件費を上げたいが、経営が厳しいのではないかという声もある
現場目線で見ると、この反応はかなり自然です。
「上がったのはありがたい。でも、生活が楽になった実感は薄い」
これは、医療従事者の本音に近いと思います。
自分の昇給は多い?少ない?給与明細で見るチェックポイント
ベースアップ評価料の話を聞いたら、まず給与明細を見ましょう。
見るべきポイントは、単純な手取り額だけではありません。
| チェック項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 基本給が上がっているか | 賞与・残業代・退職金に影響する可能性がある |
| 毎月固定の手当で上がっているか | 「ベースアップ手当」「処遇改善手当」などの名称を確認 |
| 一時金だけで終わっていないか | 毎月の賃金改善なのか、単発支給なのかを見る |
| 夜勤手当は増えているか | 夜勤者の確保策として反映される場合がある |
| 賞与の計算基礎に入るか | 年収への影響が大きい |
| 残業代の単価に反映されるか | 基本給増なら反映されやすい |
| 退職金の算定基礎に入るか | 長く働くほど差が出る |
| いつから反映されるか | 6月、7月、遡及支給などを確認 |
| 昇給分の説明が職場からあったか | 賃金改善の方針が見えるか |
| 求人相場と比べてどうか | 同職種・同地域・同経験年数で比較する |
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、ベースアップ評価料に関する賃金改善額の範囲として、基本給または毎月決まって支払われる手当などが示されています。
つまり、年齢や勤続年数による通常昇給と、ベースアップ評価料による賃金改善は、分けて見る必要があります。
「給料は増えたけど、これは定期昇給なのか、ベースアップなのか分からない」
こういう場合は、給与明細だけで判断せず、職場の説明資料や給与担当に確認しましょう。
「少ない」と感じたらすぐ転職?その前に確認したいこと
給与明細を見て、
「え、これだけ?」
「3.2%って聞いていたのに少ない」
「5.7%の対象じゃないの?」
と思ったとしても、すぐに退職届を書く必要はありません。
勢いで辞めるのは危ないです。
まずは、次の順番で確認しましょう。
1. 給与明細を確認する
基本給、固定手当、処遇改善手当、ベースアップ手当、夜勤手当、残業代、控除額を見ます。
手取りだけを見ると分かりにくいので、額面の支給額と控除額を分けて確認してください。
2. 職場の説明資料を確認する
ベースアップ評価料に関する院内説明、給与改定通知、就業規則、給与規程を確認します。
「基本給に反映」なのか、「手当で支給」なのか、「一時金」なのかで意味が変わります。
3. 人事・給与担当・上司に確認する
聞き方は、けんか腰にしないほうが得です。
たとえば、
「ベースアップ評価料に関する賃金改善が、給与明細のどの項目に反映されているか確認したいです」
という聞き方がよいです。
給与担当も、制度が複雑な中で対応していることが多いです。
感情的に詰めるよりも、「どこに反映されているかを確認したい」という聞き方のほうが、話が進みやすいです。
4. 同じ職種・地域・経験年数の求人相場を見る
ここまで確認しても、
- 説明があいまい
- 職場全体で賃上げが弱い
- 人員不足がずっと続いている
- 夜勤や残業を増やさないと年収が上がらない
- 賞与が減って、月給増が相殺されている
- 昇給しても物価高で生活が厳しい
という場合は、求人相場を見てみる価値があります。
転職サイトを見ることは、必ずしも「辞める決断」ではありません。
自分の市場価値を知るための情報収集です。
医療職の転職活動全体の流れは、関連記事の医療職の転職活動ガイド|情報収集から交渉、採用側の本音まで徹底解説でも解説しています。
また、医療・福祉職向けの求人比較や職場選びの記事は、医療職の転職・キャリアカテゴリにまとめています。
今すぐ転職するつもりがなくても、自分の職種・地域・経験年数でどれくらいの求人があるかを見るだけで、今の昇給が多いのか少ないのか判断しやすくなります。
医療従事者が求人を見るときのポイント|年収だけで比較しない
求人を見るとき、つい「年収〇万円」に目が行きます。
もちろん年収は大事です。生活がありますから。
でも、医療・介護・福祉の仕事は、年収だけで選ぶと失敗することがあります。
見るべきポイントは次のとおりです。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 基本給 | 賞与・退職金・残業代の基礎になる |
| 賞与月数 | 年収に大きく影響する |
| 夜勤回数 | 月の収入と体力への負担に直結 |
| 夜勤手当 | 1回あたりの金額、深夜割増込みか確認 |
| 残業時間 | 見込み残業、サービス残業の有無 |
| 年間休日 | 生活のゆとりに直結 |
| 有給消化率 | 休みやすい職場かどうか |
| 退職金 | 長期勤務ではかなり重要 |
| 住宅手当 | 実質手取りに影響 |
| 役職手当 | 管理職になると残業代がどうなるかも確認 |
| 教育体制 | 若手・ブランクありの場合は重要 |
| 人員配置 | 忙しさ、離職率、残業に関係 |
| 電子カルテ・業務負担 | 記録や事務作業の重さ |
| 子育て・介護との両立 | 時短、急な休み、夜勤免除の扱い |
| 離職率や口コミ | 求人票だけでは分からない空気感 |
特に看護師、看護補助者、介護職は、夜勤回数で年収が大きく変わります。
「年収は高いけれど、夜勤が多すぎる」
「基本給は高くないけれど、休みやすくて続けやすい」
こういう違いがあります。
病院の人員配置や現場負担については、関連記事のナースコールを押しても看護師がすぐ来ない理由|52床病棟の1日の流れでわかる病院の人員配置でも解説しています。
給料だけでなく、働き方まで含めて比べましょう。
職種別|転職サイト・求人サービスを使うならどう見る?
ベースアップ分を含めても年収がほとんど変わらない、夜勤や残業を増やさないと生活が厳しいという場合は、求人相場を一度確認してみるのも選択肢です。
ただし、いきなり応募する必要はありません。
まずは「自分と同じ職種・地域・経験年数なら、どれくらいの求人があるのか」を見るだけで十分です。
看護師の場合
看護師は、病棟、外来、訪問看護、クリニック、施設、夜勤専従などで年収がかなり変わります。
確認したいポイントは、基本給、夜勤回数、夜勤手当、賞与月数、年間休日、有給の取りやすさです。
看護師向けの転職サイト比較は、関連記事の看護師転職サイトおすすめ5選|医療系国家資格保有者・事務長が比較で解説しています。
医療事務の場合
医療事務は、診療科、レセプト経験、入院算定経験、DPC経験、管理職候補かどうかで待遇が変わります。
令和8年度改定では、事務職員も対象拡大の中に含まれています。
ただし、「医療事務も対象」と聞いて期待したものの、実際の昇給が小さい場合は、同じ地域の求人相場を見ると判断しやすくなります。
医療事務の求人相場を見る前に、転職活動全体の流れを整理したい人は、まず医療職の転職活動ガイド|情報収集から交渉、採用側の本音まで徹底解説を参考にしてください。
リハ職:PT・OT・STの場合
リハ職は、病院、老健、訪問リハ、デイケア、児童発達支援などで働き方が変わります。
給与だけでなく、単位数、書類業務、訪問件数、教育体制も確認しましょう。
PT・OT・ST向けの転職サイト比較は、関連記事の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職サイトおすすめ3選|年収が伸びにくい理由と職場選びで解説しています。
リハビリの医療保険上の制限や、制度面をもう少し知りたい人は、関連記事のリハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位・期限後の考え方も参考になります。
薬剤師の場合
薬剤師は、病院、調剤薬局、ドラッグストア、企業で年収帯が大きく変わります。
令和8年度改定では調剤ベースアップ評価料も新設されていますが、個人の昇給額は勤務先の方針によります。
求人を見るときは、基本給、薬剤師手当、管理薬剤師手当、残業、休日、在宅対応の有無を確認しましょう。
薬剤師向けの転職記事は、関連記事の薬剤師の転職で後悔しない職場選び|病院・調剤薬局・ドラッグストアの違いとおすすめ転職サイト5選で解説しています。
介護職の場合
介護職は、医療機関内の介護職、老健、特養、有料老人ホーム、訪問介護などで給与体系が違います。
ここで説明しているベースアップ評価料は、主に医療機関、訪問看護、薬局等に関する診療報酬上の制度です。
特養、老健、デイサービス、訪問介護など介護保険サービスで働く介護職の場合は、介護報酬上の処遇改善加算等が中心になるため、制度を分けて確認しましょう。
医療機関内の看護補助者や介護福祉士等は、医療機関側の対象職員として扱われる可能性があります。一方で、介護保険施設や訪問介護事業所で働く介護職は、診療報酬ではなく介護報酬側の処遇改善制度を確認する必要があります。
介護職向けの求人サイト比較は、関連記事の介護求人サイトおすすめ10選|未経験・派遣・関西特化・直接応募まで目的別に比較で解説しています。
社会福祉士・精神保健福祉士の場合
社会福祉士や精神保健福祉士は、病院、地域包括支援センター、行政、障害福祉、精神科領域などで働き方が変わります。
給与だけでなく、相談件数、記録業務、オンコール、地域連携の負担も確認しましょう。
社会福祉士・精神保健福祉士向けの記事は、関連記事の社会福祉士・精神保健福祉士の転職|医療系国家資格保有者・事務長が現場目線で解説で解説しています。
管理栄養士・栄養士の場合
管理栄養士・栄養士は、病院、介護施設、委託給食会社、保育園、企業などで給与体系が変わります。
病院や施設では、栄養指導、給食管理、厨房業務、委託会社との関係もチェックしたいポイントです。
管理栄養士・栄養士向けの記事は、関連記事の管理栄養士・栄養士の転職|厨房ばかりでつらい人へで解説しています。
医師の場合
若手医師の場合、令和8年度改定では40歳未満の医師の扱いも出てきます。
ただし、常勤給与の伸びだけで生活設計を考えるのは難しいこともあります。
収入を増やす方法として、非常勤、スポット、当直、健診、外来バイトを組み合わせる選択肢もあります。
医師の非常勤・スポットバイトについては、関連記事の医師バイトの探し方【2026年版】非常勤・スポット求人サイト3選で解説しています。
ベースアップ評価料で給料が上がらないと感じるときの考え方
「ベースアップ評価料があるのに、なぜ給料があまり上がらないの?」
この疑問はよくあります。
考えられる理由は、いくつかあります。
- 職場の対象職員が多く、1人あたりの配分が小さい
- 基本給ではなく手当で支給されている
- 社会保険料や税金が増えて、手取りでは目立ちにくい
- 定期昇給とベースアップが混ざって説明されている
- 賞与や夜勤手当への反映が限定的
- 医療機関の経営が厳しく、賃上げ原資に余裕がない
- 物価高のスピードが賃上げを上回っている
ここで大切なのは、「上がらないからすぐ辞める」ではなく、まず情報を整理することです。
次の3つを確認しましょう。
- 給与明細
- 職場の説明
- 求人相場
この3つを見ないと、自分の昇給が多いのか少ないのか判断しにくいです。
医療職全体の求人相場や転職活動の流れを見たい場合は、医療職の転職活動ガイドや、職種別の記事をまとめている医療職の転職・キャリアカテゴリを確認してみてください。
FAQ|ベースアップ評価料と医療従事者の給料に関するよくある質問
Q1. ベースアップ評価料で給料は必ず上がりますか?
必ず個人の給料が一定額上がるとは限りません。
ベースアップ評価料は、医療機関等が得た収入を賃金改善に充てる制度ですが、個人ごとの昇給額は職場の配分方針、職種、雇用形態、勤務時間、基本給、手当の設計によって変わります。
Q2. 手取りはいくら増えますか?
ざっくり目安では、額面増の75〜85%程度が手取りに残るケースがあります。
たとえば額面で月8,000円増なら、手取りでは月6,000〜6,800円程度に見えることがあります。
ただし、扶養、年齢、自治体、社会保険料率、所得税、住民税で変わります。
Q3. 3.2%や5.7%は全員にそのまま反映されますか?
そのまま反映されるとは限りません。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、医療機関等の対象職員について令和8年度に+3.2%、令和9年度にさらに+3.2%、看護補助者・事務職員については令和8年度に+5.7%、令和9年度にさらに+5.7%のベースアップ実現を支援するとされています。
ただし、これは個人の手取り増を保証するものではありません。
Q4. 医療事務も対象になりますか?
令和8年度改定では、対象職員の拡大として事務職員も対象とすることが示されています。
ただし、実際の支給方法や金額は勤務先の配分方針によります。
医療事務で「自分の職場の上がり幅は少ないのでは」と感じる場合は、給与明細を確認したうえで、医療職の転職活動ガイドを参考に求人相場も見ておくと判断しやすくなります。
Q5. 看護補助者はどれくらい上がる可能性がありますか?
看護補助者・事務職員については、令和8年度・令和9年度にそれぞれ5.7%の賃上げ支援が示されています。
仮に月給20万円の人が5.7%上がると、額面は月11,400円増、手取り目安では月8,500〜9,700円程度です。
ただし、これは概算であり、勤務先の配分によって変わります。
Q6. 看護師は対象ですか?
看護師は対象になり得ます。
令和8年度改定では、医療機関等に勤務する幅広い職員の賃上げを支援する方向性が示されています。
看護師の場合、ベースアップ分だけでなく、夜勤回数、夜勤手当、賞与月数、年間休日も年収に大きく影響します。求人相場を確認したい場合は、看護師転職サイトおすすめ5選も参考にしてください。
Q7. 医師は対象ですか?
40歳未満の医師・歯科医師については、対象職員の拡大の中で扱いが示されています。
ただし、一般職員のように「基本給×3.2%」と単純に考えるのではなく、制度上の算定方法や勤務先の配分方針を確認する必要があります。
医師の場合、常勤給与だけでなく非常勤・スポット勤務で収入を補う選択肢もあります。非常勤やスポット求人を考える場合は、医師バイトの探し方【2026年版】非常勤・スポット求人サイト3選も参考になります。
Q8. 40歳以上の医師は対象外ですか?
40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師は、ベースアップ評価料の制度上の対象職員には原則として含まれない扱いです。
ただし、勤務先が独自に賃金改善を行う場合は別です。
自分の給与に反映されるかどうかは、勤務先の人事・給与担当に確認しましょう。
Q9. パートや非常勤も対象になりますか?
対象になり得ますが、勤務時間や雇用形態によって扱いが変わる可能性があります。
40歳未満の医師・歯科医師についても、常勤・非常勤別の金額が示されています。
自分が対象かどうかは、勤務先の人事・給与担当に確認しましょう。
Q10. ベースアップ評価料は賞与にも反映されますか?
反映される可能性はあります。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、ベースアップ評価料で得られる収入について、基本給等の引上げや、それに伴う賞与、時間外手当、法定福利費の増加分に充てることとされています。
ただし、賞与の計算方法は勤務先の給与規程によります。
Q11. 基本給ではなく手当で支給されることはありますか?
あります。
ベースアップ評価料による賃金改善は、基本給または毎月決まって支払われる手当の引上げとして行われることがあります。
手当で支給される場合は、賞与や退職金に反映されるかどうかを給与規程で確認しましょう。
Q12. 給与明細のどこを見ればいいですか?
基本給、固定手当、処遇改善手当、ベースアップ手当、夜勤手当、残業代、控除額を見ましょう。
手取りだけを見ると分かりにくいので、支給額と控除額を分けて確認するのがおすすめです。
Q13. 思ったより上がらない場合、誰に確認すればいいですか?
まずは給与明細と職場の説明資料を確認しましょう。
そのうえで、人事・給与担当、直属の上司、事務部門に確認するのがよいです。
聞くときは、
「ベースアップ評価料に関する賃金改善が、給与明細のどの項目に反映されているか確認したいです」
という聞き方がスムーズです。
Q14. 転職したほうがいい目安はありますか?
昇給額だけで判断するのは早いです。
ただし、職場の説明があいまい、人員不足が続いている、夜勤や残業を増やさないと年収が上がらない、同じ地域・職種の求人相場より明らかに低い場合は、転職を含めて情報収集する価値があります。
転職活動を始める前に全体像を整理したい人は、医療職の転職活動ガイドを読んでおくと、求人票の見方や給与交渉の考え方を整理しやすくなります。
Q15. 求人を見るときは年収以外に何を確認すべきですか?
基本給、賞与月数、夜勤回数、夜勤手当、残業時間、年間休日、有給消化率、退職金、住宅手当、教育体制、人員配置、業務負担、子育て・介護との両立、離職率や口コミを確認しましょう。
医療・介護・福祉の仕事は、年収だけで選ぶとミスマッチが起きやすいです。
まとめ|ベースアップ評価料は追い風。でも、自分の給与明細と求人相場は確認しよう
令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを後押しするため、ベースアップ評価料が拡充・見直しされています。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」では、医療機関等の対象職員について、令和8年度に+3.2%、令和9年度にさらに+3.2%、看護補助者・事務職員については令和8年度に+5.7%、令和9年度にさらに+5.7%のベースアップ実現を支援するとされています。
ただし、これは「全員の手取りが必ず3.2%または5.7%増える」という意味ではありません。
ベースアップ評価料は、医療機関等の賃上げ原資を支援する制度であり、個人ごとの給与額・手取り額を一律に保証する制度ではありません。
実際の手取り増は、基本給、手当、賞与、社会保険料、所得税、住民税、職場の配分方針によって変わります。
ざっくり見るなら、額面で月8,000円上がっても、手取りでは月6,000〜7,000円程度に見えるケースがあります。
そして、医療・福祉の賃上げ率は、全産業平均と比べるとまだ弱い面があります。
厚生労働省の令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査では、全体の1人平均賃金の改定率が4.4%だったのに対し、医療・福祉は2.3%でした。
だからこそ、次の3つが大事です。
- 給与明細で、どの項目が増えたか確認する
- 職場の説明や給与規程を見る
- 同じ職種・地域・経験年数の求人相場を確認する
転職は、すぐ辞めることではありません。
今の職場の待遇を客観的に見るための手段でもあります。
医療職の転職活動全体を確認したい人は、医療職の転職活動ガイドを参考にしてください。
看護師の求人相場を確認したい人は、看護師転職サイトおすすめ5選が参考になります。
薬剤師の求人相場を確認したい人は、薬剤師の転職で後悔しない職場選びを確認してみてください。
リハ職の求人相場を確認したい人は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職サイトおすすめ3選が参考になります。
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医師の非常勤・スポットバイトを確認したい人は、医師バイトの探し方【2026年版】非常勤・スポット求人サイト3選も参考になります。
ベースアップ評価料は、医療従事者にとって追い風です。
ただ、その追い風が自分の生活にどれくらい届いているのかは、給与明細と求人相場の両方を見ないと分かりません。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の給与額・税額・社会保険料・雇用条件を保証するものではありません。正確な支給額は勤務先の説明や給与明細をご確認ください。
参考資料
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定「1.賃上げ対応」
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について
- 厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要「賃上げ・基本料等の引き上げ」
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定の概要「調剤報酬」
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定の概要「歯科」
- 厚生労働省:令和7年賃金構造基本統計調査
- 厚生労働省:令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査
- 国税庁:令和6年分 民間給与実態統計調査

