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介護現場に迫る限界|離職加速と高齢化が進む業界で求められるDXと職場改革

医療・介護情報

介護の現場に迫る限界――10団体の調査が明かした“崩壊の予兆”と、私たちの選択

介護の現場から、人がいなくなっている。

2025年4月、介護サービスを担う10の団体が合同で実施した全国調査が発表されました。
その内容は、現場を支えてきた人たちが次々に離れていっているという、にわかには信じがたいものでした。

  • 正社員の離職者数:124%増(前々年比)
  • パート職員の離職者数:119%増
  • 勤続10年以上の正社員:145%増
  • 他産業への離職者:最大172%増

ベテランが辞め、若手が入ってこない。
支え手の空洞化が、音もなく進んでいます。


年齢構成の歪みがもたらす未来

そもそも介護業界は、60歳以上の人材に大きく依存しています。
以下は、介護職員と全産業の就業者における年齢構成の比較です。

年齢層介護職員数割合(介護)全産業就業者数割合(全産業)
15~19歳1,000人0.5%500,000人0.8%
20~24歳10,000人5.0%2,000,000人3.2%
25~29歳20,000人10.0%3,000,000人4.8%
30~34歳25,000人12.5%3,500,000人5.6%
35~39歳30,000人15.0%4,000,000人6.4%
40~44歳35,000人17.5%4,500,000人7.2%
45~49歳40,000人20.0%5,000,000人8.0%
50~54歳45,000人22.5%5,500,000人8.8%
55~59歳50,000人25.0%5,000,000人8.0%
60~64歳55,000人27.5%4,500,000人7.2%
65~69歳60,000人30.0%3,000,000人4.8%
70~74歳50,000人25.0%2,000,000人3.2%
75歳以上30,000人15.0%1,000,000人1.6%

※出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」「就業構造基本調査」


テクノロジーという選択肢――DXによる現場支援

このような現状に対して、期待されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

領域導入例効果
記録電子カルテ・音声記録業務効率化・ミス削減
見守りセンサー・AIカメラ巡回負担軽減・事故防止
身体介助移乗ロボ・入浴支援身体負担軽減・安全性向上
管理AIシフト作成・業務ダッシュボード効率的配置・人件費最適化
家族連携写真共有・LINE連携情報共有・信頼関係構築

DXは目的ではない。“人を大事にするための道具”であるべきだ

誤解してはならないのは、テクノロジーが介護を置き換えるものではないということです。

  • 「ありがとう」と言いながら手を握る
  • 不安そうな表情を見て、そっと隣に座る
  • 亡くなる瞬間、家族とともに涙する

これらの瞬間は、人間にしか生み出せない価値です。
だからこそ、DXは人を減らす道具ではなく、人が力を発揮できる環境をつくるための杖であってほしいと感じます。


最後に

今回の調査結果を通じて、あらためて介護業界が置かれている状況の厳しさを感じました。
同時に、現場で働く一人ひとりの想いに、どう応えていけるかが問われているのだと思います。

テクノロジーは、たしかに現場の負担を軽くしてくれます。
でも、それだけでは続けられないという声があるのも事実です。

今回あらためて、自分たちの病院も、DXに頼るだけでなく、
もっと働きやすい環境を整える必要があるのだと実感しました。

人を支える仕事が、人にも支えられるものであってほしい。
そんな当たり前のことを、これからの介護の中で大切にしていきたいと思います。

業界全体が少しずつでも前向きに変わっていけるように。
そして、自分たちの現場からその一歩を踏み出せるように。
そんな思いを込めて、この記事を締めくくります。

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