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病院の機能と役割をわかりやすく解説|急性期・回復期・慢性期の違いと転院の理由

医療・介護・福祉情報

執筆:トントン|病院事務長/医療系国家資格保有

どうも、トントンです。

家の近くにある医療機関を思い浮かべてみると、大きな総合病院、救急病院、リハビリ病院、療養型の病院、クリニックなど、いろいろな種類があると思います。

ただ、患者さんやご家族からすると、

「病院って、どこも同じように診てくれるんじゃないの?」
「なぜ入院したばかりなのに転院と言われるの?」
「急性期・回復期・慢性期って何が違うの?」

と感じることも多いのではないでしょうか。

結論からいうと、病院にはそれぞれ得意な役割があります。
命を救うことに強い病院、リハビリに強い病院、長期療養を支える病院など、患者さんの状態に応じて役割分担がされています。

この記事では、病院の機能と役割について、特に入院医療を中心に、できるだけわかりやすく解説します。

※この記事は一般的な医療制度の解説です。実際の治療方針、転院先、入院期間などは、主治医・医療相談員・各医療機関にご確認ください。


この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • 病院とクリニックの違い
  • 病院の機能とは何か
  • 急性期・回復期・慢性期の違い
  • なぜ転院が必要になるのか
  • 地域医療構想と病院の役割分担
  • 患者さん・家族が病院を選ぶときの見方

まず、病院とクリニックは何が違うのか

最初に、よくある疑問から整理します。

「病院」と「クリニック」は、なんとなく規模の違いで呼び分けているように感じるかもしれませんが、制度上は主に病床数で区分されています。

厚生労働省の資料では、病院は20床以上の病床を有する医療機関、診療所は病床を有しない、または19床以下の病床を有する医療機関と整理されています。

つまり、ざっくりいうと次のようなイメージです。

種類病床数の目安主な役割
病院20床以上入院治療、手術、救急、リハビリ、長期療養など
有床診療所1〜19床外来診療に加え、短期入院など
無床診療所・クリニック0床外来診療、かかりつけ医機能など

もちろん、クリニックでも専門性の高い診療を行っているところはあります。
一方で、入院治療や救急対応、手術、集中的なリハビリ、長期療養などは、病院が担うことが多くなります。


病院の「機能」とは、患者さんの状態に応じた役割のこと

病院の機能とは、簡単にいうと、

どのような状態の患者さんに、どのような医療を提供する病院なのか

という役割のことです。

厚生労働省の病床機能報告制度では、医療機能は主に次の4つに区分されています。

医療機能役割のイメージ
高度急性期機能ICU、救命救急、集中治療など、特に診療密度の高い医療
急性期機能急な病気やけがに対して、状態の早期安定化を目指す医療
回復期機能急性期を経過した患者さんの在宅復帰やリハビリを支える医療
慢性期機能長期にわたり療養が必要な患者さんを支える医療

ここで大切なのは、大きい病院だから全部できる、小さい病院だから何もできない、という話ではないことです。

実際には、同じ病院の中でも病棟ごとに役割が違うことがあります。
たとえば、ある病棟は急性期、別の病棟は回復期、また別の病棟は慢性期というように、病院内で機能が分かれていることもあります。


高度急性期|命に関わる重症患者さんを集中的に診る

高度急性期は、急性期の中でも特に重症度が高く、診療密度の高い医療を必要とする患者さんを診る機能です。

たとえば、次のような病棟がイメージしやすいと思います。

  • 救命救急病棟
  • ICU・集中治療室
  • HCU・ハイケアユニット
  • 新生児集中治療室
  • 小児集中治療室
  • 周産期集中治療室

テレビドラマでよく見る「救命救急」「集中治療」のイメージに近いかもしれません。

高度急性期では、命を守るために医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、放射線技師、検査技師など、多くの職種が関わります。
そのため、どの病院でも同じように高度急性期医療を提供できるわけではありません。


急性期|病気やけがを治療し、状態を安定させる

急性期とは、病気やけがが起きた直後など、患者さんの状態が変わりやすい時期です。

たとえば、次のような場面です。

  • 救急車で搬送された
  • 手術が必要になった
  • 肺炎や心不全などで急に状態が悪くなった
  • 骨折して入院した
  • 脳梗塞や脳出血を発症した

急性期病院の大きな役割は、診断・治療を行い、患者さんの状態を早く安定させることです。

ここで大事なのは、急性期病院は「最後までずっと入院する病院」ではないことです。

もちろん、必要な治療が続いている間は急性期病院で診てもらいます。
しかし、状態が落ち着いてくると、次の段階として回復期病院、慢性期病院、自宅、介護施設などへの移行が検討されます。

このあたりの「なぜ転院と言われるのか」については、別記事の
入院したばかりなのに転院と言われたら?理由と家族が確認すべきこと
で詳しく解説しています。


回復期|リハビリや退院準備で生活を取り戻す

回復期は、急性期の治療が一段落したあと、身体機能や生活動作の回復を目指す時期です。

特にイメージしやすいのは、回復期リハビリテーション病棟です。

たとえば、次のような方が対象になりやすいです。

  • 脳梗塞や脳出血のあと、歩行や日常生活動作のリハビリが必要な方
  • 大腿骨近位部骨折などの手術後に、歩く練習が必要な方
  • 長期入院や手術後に体力が落ち、自宅生活に向けた支援が必要な方

回復期病院の目的は、単に病気を治すことだけではありません。

家に帰るために、生活を立て直すこと
これが大きな役割です。

食事、トイレ、入浴、着替え、歩行、家事動作、家族の介助方法、退院後のサービス調整など、生活全体を見ながら支援していきます。

リハビリ病院の基本を知りたい方は、
リハビリ病院とは?入院できる人・期間・回復期リハビリテーション病棟をわかりやすく解説
も参考にしてください。

また、実際にリハビリ病院を選ぶ段階では、施設基準、リハビリ体制、医師体制、退院支援などを見る必要があります。病院選びの具体的な見方は、
リハビリ病院の選び方|実績指数・施設基準・医師体制を家族向けに解説
で詳しくまとめています。


慢性期|長期療養が必要な患者さんを支える

慢性期は、病状が比較的安定しているものの、長期的な医療や療養が必要な状態です。

たとえば、次のような方が入院されることがあります。

  • 医療的な管理が継続して必要な方
  • 重度の障害があり、長期療養が必要な方
  • 難病などで継続的な医療管理が必要な方
  • 自宅や施設での生活が難しく、療養環境が必要な方

慢性期病院や療養病棟は、急性期病院のように手術や救急対応を中心とする場所ではありません。
一方で、医療的な管理、看護、介護、栄養管理、褥瘡予防、看取り支援など、長期的に患者さんを支える重要な役割があります。

「治す医療」だけでなく、支える医療の役割が大きいのが慢性期です。


なぜ病院は役割分担されているのか

患者さんやご家族からすると、

「同じ病院で最後まで診てくれればいいのに」

と思うこともあると思います。

これは本当に自然な感情です。
入院したばかりで不安な時期に「転院」と言われたら、戸惑うのは当然です。

ただ、医療現場側から見ると、病院の設備、人員、病床数、財源には限りがあります。

すべての病院に、救命救急、集中治療、手術室、リハビリスタッフ、療養病床、在宅支援機能をフル装備することは現実的ではありません。

そこで、地域全体で、

  • 命を救う病院
  • 治療を行う病院
  • リハビリを行う病院
  • 長期療養を支える病院
  • 在宅医療を支える診療所・訪問看護

というように、役割を分けて連携する仕組みが作られています。

つまり、転院は「追い出される」という意味ではなく、
患者さんの状態に合った次の医療へバトンを渡すこと
と考えると、少し見え方が変わるかもしれません。


地域医療構想とは、地域全体で医療の役割分担を考える仕組み

病院の機能分担を考えるうえで関係してくるのが、地域医療構想です。

医療計画は、都道府県が国の基本方針に基づいて、地域の実情に応じた医療提供体制を確保するために策定するものです。第8次医療計画では、5疾病・6事業および在宅医療、地域医療構想、病床機能の情報提供、医師確保などが主な記載事項として整理されています。

地域によって、人口構成も、医師や看護師の数も、病院の数も、救急搬送の状況も違います。

都市部では病院が多くても、地方では病院が少なく、医師や看護師の確保が難しい地域もあります。
だからこそ、地域ごとに「どの機能の病床がどれくらい必要か」「どの病院がどの役割を担うか」を話し合う必要があります。

また、新たな地域医療構想では、2040年を見据えて、入院医療だけでなく外来・在宅医療・介護連携も対象とし、「治す医療」と「治し支える医療」の役割分担を明確化する方向が示されています。

地域医療構想の現在地や、病床再編の現実についてもう少し深く知りたい方は、
地域医療構想調整会議の現在地
もあわせて読んでみてください。


病院を選ぶときは「病院名」だけでなく「役割」を見る

患者さんやご家族が病院を選ぶとき、どうしても病院名や建物の大きさ、口コミ、家からの近さを見がちです。

もちろん、家から近いことは大切です。
面会、洗濯物、退院支援、家族の負担を考えると、距離は無視できません。

ただし、それだけで選ぶと、

「思っていた医療と違った」
「リハビリをたくさんしてもらえると思っていた」
「専門の先生が毎日診てくれると思っていた」
「長く入院できると思っていた」

というズレが起こることがあります。

病院を見るときは、次のような点を確認しておくとよいです。

確認したいこと見るポイント
病院の機能急性期、回復期、慢性期、地域包括ケアなど
入院目的治療、リハビリ、療養、退院支援など
医師体制どの診療科の医師が主治医になるのか
リハビリ体制PT・OT・ST、土日祝の対応、実績など
退院支援医療相談室、地域連携室、在宅・施設調整
家族の負担距離、面会、説明体制、相談しやすさ

特に注意したいのが、診療科目に書かれている科の医師が、必ずしも入院中の主治医になるとは限らないという点です。

このあたりは、
教えて?病院の診療体制・医師体制|診療科目と入院主治医の見方
で詳しく解説しています。


入院中に困ったら地域医療連携室・医療相談室に相談する

転院や退院の話が出ると、不安になる方は多いです。

「もう少し今の病院にいられないの?」
「次の病院はどう選べばいいの?」
「家に帰る準備なんてまだできていない」
「介護保険のこともよくわからない」

こういうときは、病院の地域医療連携室医療相談室に相談してください。

病院によって名称は少し違いますが、主に次のような支援をしてくれます。

  • 転院先の相談
  • 退院後の生活相談
  • 介護保険や福祉制度の案内
  • 在宅医療や訪問看護との連携
  • 施設入所に関する相談
  • 家族の不安の整理

医療相談員、社会福祉士、看護師などが関わることが多く、患者さんと家族にとって大事な相談窓口です。

転院と言われたときは、まず感情的に拒否するよりも、

「なぜ転院が必要なのか」
「次の病院では何を目的に入院するのか」
「候補先の病院にはどんな違いがあるのか」
「自宅退院を目指せるのか、施設も検討するのか」

を確認していくと、話が整理しやすくなります。


まとめ|病院はそれぞれ役割が違う

病院には、それぞれ役割があります。

急性期病院は、病気やけがを治療し、状態を安定させる役割。
回復期病院は、リハビリや退院準備を通じて生活を取り戻す役割。
慢性期病院は、長期療養や医療的管理が必要な方を支える役割。

どれが上、どれが下という話ではありません。
患者さんの状態によって、必要な医療の種類が変わるだけです。

病院の役割を知っておくと、入院中に転院の話が出たときも、

「なぜ今この話が出ているのか」
「次の病院では何をしてもらうのか」
「家族として何を確認すればよいのか」

が少し見えやすくなります。

医療制度はどうしても専門用語が多く、患者さんやご家族にはわかりにくい部分があります。
このブログでは、病院事務長として医療現場に関わる立場から、できるだけやさしい言葉で医療と介護の仕組みを発信していきます。

この記事が、病院選びや入院生活の不安を少しでも減らすきっかけになれば嬉しいです。


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