どうも、トントンです。
今回は、病院の診療体制と医師体制について、診療科目と入院主治医の違いを中心に解説していきます。
病院のホームページを見ると、
- 内科
- 整形外科
- 脳神経外科
- リハビリテーション科
- 循環器内科
- 消化器内科
など、さまざまな診療科目が記載されています。
そのため、
この病院には整形外科があるから、骨折後の入院も整形外科の先生が診てくれるだろう。
リハビリテーション科があるから、リハビリ専門の先生が主治医になるだろう。
と思う方も多いかもしれません。
しかし、特に入院医療では、病院ホームページに書かれている診療科目と、実際に入院患者さんを担当する医師の専門分野が必ず一致するとは限りません。
この記事では、以下の内容をわかりやすく解説します。
- 病院の診療科目・標榜科目とは何か
- 診療科目と入院主治医が違うことがある理由
- 回復期・慢性期病院で医師体制を確認したい理由
- 入院・転院前に確認しておきたいポイント
病院選びや転院先選びで「こんなはずじゃなかった」とならないために、ぜひ参考にしてみてください。
結論|診療科目だけで「入院中に誰が診るか」は判断できない
まず結論からお伝えします。
病院の診療科目に書かれている科の医師が、必ずしも入院中の主治医になるとは限りません。
たとえば、病院のホームページに「整形外科」「脳神経外科」「リハビリテーション科」と書かれていても、その医師が外来だけを担当している場合があります。
また、入院病棟ごとに担当医が決まっていて、患者さんの病名とは少し違う専門分野の医師が主治医になることもあります。
もちろん、それがすぐに悪いというわけではありません。
入院中は、病気そのものだけでなく、全身状態、薬、栄養、リハビリ、退院支援などを総合的に見ていく必要があります。
特に回復期や慢性期の病院では、専門医が常勤しているかどうかだけでなく、病院全体として患者さんを支える体制があるかを見ることが大切です。
ただし、診療科目だけを見て判断してしまうと、入院後に、
思っていた診療体制と違った。
専門の先生が毎日診てくれると思っていた。
外来には専門医がいるけれど、入院病棟は担当していなかった。
ということが起こる可能性があります。
だからこそ、入院や転院を考えるときは、診療科目だけでなく、実際の医師体制まで確認することが大切です。
病院の診療科目・標榜科目とは?
病院やクリニックのホームページ、看板、パンフレットなどに書かれている「内科」「外科」「整形外科」「リハビリテーション科」などの診療科名を、一般的に標榜科目といいます。
わかりやすく言えば、標榜科目とは、
この医療機関では、この診療科の診療を行っています。
と外部に示している診療科名のことです。
たとえば、ある病院のホームページに、
診療科目:内科、整形外科、リハビリテーション科
と書かれていれば、その病院はそれらの診療科目を標榜しているということになります。
診療科名は、病院やクリニックを選ぶときの大切な目印です。
ただし、ここで注意したいのは、標榜科目があることと、その科の専門医が常勤で入院患者さんを診ていることは同じではないという点です。
診療科名は「完全に自由」ではないが、医師体制まではわからない
以前は「自由標榜制」という言葉で説明されることも多かったのですが、現在の診療科名には一定のルールがあります。
日本医師会の解説では、「内科」「外科」などの基本的な診療科名に加えて、部位や疾患名などを組み合わせた診療科名を標榜できる一方、不合理な組み合わせは診療科名として広告できないとされています。
つまり、診療科目は何でも好き勝手に書けるというものではありません。
ただし、診療科目に書かれているからといって、
- その科の専門医が常勤している
- その医師が入院患者さんを担当している
- 毎日その専門医の診察を受けられる
- 入院中の主治医がその診療科の医師になる
ということまで保証されているわけではありません。
ここが、患者さんやご家族にとって非常にわかりにくいポイントです。
麻酔科だけは特別な扱い
診療科名の中でも、麻酔科は少し特別です。
厚生労働省は、麻酔科を標榜するには、その診療に従事する医師が厚生労働大臣の許可を受ける必要があると案内しています。
そのため、「麻酔科」は他の診療科目とは少し違う扱いになります。
この記事のテーマは主に入院時の医師体制ですが、診療科目を見るうえで「麻酔科は例外的に許可が必要」と知っておくと、標榜科目の仕組みが少し理解しやすくなります。
診療科目・専門医・外来担当医・入院主治医の違い
病院の医師体制を考えるときは、次の4つを分けて考えるとわかりやすいです。
| 用語 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 診療科目 | 病院が外部に表示している診療科名 | 実際の入院担当医とは限らない |
| 専門医 | 特定の診療領域で専門的な研修・経験を積んだ医師 | 専門医がいるか、常勤か、病棟担当かを確認 |
| 外来担当医 | 外来診療を担当する医師 | 外来だけ担当している場合がある |
| 入院主治医 | 入院中の治療や管理を担当する医師 | 患者さんの病名と専門分野が完全に一致しないこともある |
ここで特に大事なのは、外来担当表に専門医の名前があることと、入院中にその専門医が主治医になることは別問題という点です。
病院によっては、専門医が外来だけを担当していて、入院病棟は別の医師が担当していることがあります。
なぜ診療科目と入院中の主治医が違うことがあるのか
では、なぜ病院の診療科目と、実際の入院主治医の専門分野が違うことがあるのでしょうか。
主な理由は、次の3つです。
理由1|専門医が外来だけを担当していることがある
病院のホームページに専門の診療科目が書かれていても、その診療科の医師が外来だけを担当している場合があります。
たとえば、
- 週1回だけ非常勤医が外来をしている
- 専門外来はあるが、入院病棟は担当していない
- 外来診療と病棟診療の担当医が分かれている
といったケースです。
この場合、ホームページや外来担当表には専門医の名前があっても、入院したときの主治医は別の医師になることがあります。
理由2|病棟ごとに担当医が決まっていることがある
病院では、診療科ごとではなく、病棟ごとに担当医が決まっていることがあります。
特に、
- 回復期リハビリテーション病棟
- 地域包括ケア病棟
- 療養病棟
- 慢性期病棟
などでは、病棟全体を担当する医師が主治医になることがあります。
この場合、患者さんが脳梗塞後のリハビリ目的で入院していても、主治医が脳神経内科医や脳神経外科医ではなく、内科系の医師になることがあります。
また、骨折後のリハビリ目的で入院していても、整形外科医ではなく、内科系の医師が全身管理を担当することもあります。
理由3|回復期・慢性期では「全身管理」が大切になることがある
急性期病院では、救急対応、手術、集中的な治療、高度な検査などが中心になります。
一方で、回復期や慢性期の病院では、急性期治療が終わった後のリハビリ、療養、在宅復帰支援、全身状態の管理が中心になります。
回復期・慢性期では、病名だけでなく、
- 血圧や心臓の状態
- 糖尿病などの持病
- 腎機能
- 認知症
- 栄養状態
- 嚥下機能
- 感染症リスク
- 薬の調整
- リハビリの進み具合
などを総合的に見る必要があります。
そのため、必ずしも「病名に一番近い診療科の医師」が主治医になるとは限らないのです。
回復期・慢性期の病院では、病院の役割も理解しておこう
入院医療の診療体制を考えるときは、病院の役割もあわせて知っておくと理解しやすくなります。
ざっくり言うと、病院には次のような役割があります。
| 病院・病棟の役割 | 主な目的 |
|---|---|
| 急性期 | 救急対応、手術、集中的な治療、状態の安定化 |
| 回復期 | リハビリ、在宅復帰支援、生活動作の回復 |
| 慢性期 | 長期療養、全身状態の管理、医療的ケア |
たとえば、急性期病院で脳梗塞や骨折の治療を受けたあと、状態が落ち着くと、回復期リハビリ病院や慢性期病院への転院を提案されることがあります。
「入院したばかりなのに、なぜもう転院なの?」と感じる方も多いと思いますが、これは病院ごとに役割が分かれているためです。
急性期病院から次の病院へ移る理由については、関連記事の入院したばかりなのに、なんですぐ転院しなければいけないの??でも詳しく解説しています。
また、回復期リハビリ病院の基本的な役割や、どのような病気・けがで入院できるのかを知りたい方は、リハビリ病院ってどんなとこ?も参考にしてください。
よくあるケース|診療科目と主治医の専門が違う例
具体的には、次のようなケースがあります。
脳梗塞後のリハビリ入院
急性期病院では、脳神経内科や脳神経外科の医師が治療を担当していた。
その後、回復期リハビリ病院へ転院したところ、入院中の主治医は一般内科の医師だった。
このようなケースはあります。
脳梗塞そのものの急性期治療は終了していて、回復期ではリハビリ、再発予防、血圧管理、内服管理、栄養管理、退院支援などが中心になるためです。
骨折後のリハビリ入院
急性期病院で整形外科の手術を受けた。
その後、リハビリ目的で別の病院に転院したところ、主治医は整形外科医ではなく内科系の医師だった。
これもあり得ます。
骨折そのものの手術や急性期治療は終わっていて、転院先ではリハビリ、痛みの管理、持病の管理、転倒予防、退院後の生活調整などが中心になることがあるためです。
複数の病気がある高齢者の入院
高齢の患者さんでは、ひとつの病気だけでなく、複数の病気や生活上の課題を抱えていることが多くあります。
たとえば、
- 脳梗塞後の麻痺
- 骨折後の筋力低下
- 心不全
- 糖尿病
- 腎機能低下
- 認知症
- 嚥下障害
- 低栄養
などです。
このような場合、特定の専門科だけでなく、全身を広く見ながら、看護師、リハビリ職、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどと連携する体制が重要になります。
病院ホームページで確認したいポイント
病院を探すときは、診療科目だけで判断せず、次の情報も確認してみてください。
1. 医師紹介ページを見る
医師紹介ページでは、次のような項目を確認します。
- 医師の専門分野
- 専門医資格
- 常勤医か非常勤医か
- 担当している外来
- 入院病棟も担当しているか
- リハビリ病棟や療養病棟に関わっているか
ただし、医師紹介ページだけでは、実際の病棟担当まではわからないこともあります。
その場合は、地域医療連携室や医療相談室に確認するのがよいです。
2. 外来担当表を見る
外来担当表を見ると、どの医師が何曜日に外来を担当しているかがわかります。
ただし、ここでも注意が必要です。
外来担当表に名前がある医師が、入院患者さんも担当しているとは限りません。
外来は外来、入院は入院で担当が分かれている病院もあります。
3. 入院案内・病棟紹介を見る
入院や転院を考えている場合は、診療科目よりも、病棟の種類を確認することが大切です。
たとえば、
- 急性期病棟
- 回復期リハビリテーション病棟
- 地域包括ケア病棟
- 療養病棟
- 障害者病棟
などです。
どの病棟に入院するかによって、医師体制、看護体制、リハビリ体制、退院支援の内容が変わります。
特にリハビリ病院を選ぶ場合は、診療科目だけでなく、施設基準、実績指数、医師体制、リハビリ体制、退院支援などをあわせて確認することが大切です。
リハビリ病院の具体的な選び方については、関連記事のリハビリ病院の選び方|実績指数・施設基準・医師体制を家族向けに解説で詳しくまとめています。
4. 医療情報ネット「ナビイ」も使う
病院ホームページだけでなく、公的な検索サービスも活用できます。
厚生労働省の医療情報ネット「ナビイ」は、診療日や診療科目といった一般的な情報に加えて、対応可能な疾患・治療内容、提供しているサービスなどから全国の医療機関を検索できるシステムです。
病院ホームページとあわせて確認すると、情報収集の幅が広がります。
ただし、ナビイで確認できる情報も、最終的には実際の入院主治医や病棟担当医まで細かくわかるとは限りません。
入院・転院前には、病院の相談窓口や現在入院している病院の地域医療連携室に確認することが大切です。
入院・転院前に確認しておきたい質問リスト
回復期・慢性期病院へ転院する場合は、現在入院している急性期病院の、
- 地域医療連携室
- 医療相談室
- 患者サポート窓口
- 退院支援窓口
などに相談することが多いです。
病院によって名称は違いますが、転院先の情報や地域の病院事情をよく知っている部署です。
急性期病院から転院を提案される背景や、地域医療連携室の役割については、入院したばかりなのに、なんですぐ転院しなければいけないの??でも解説しています。
そのうえで、次のような質問をしてみると、医師体制を確認しやすくなります。
地域医療連携室・医療相談室に聞くこと
- この病院に入院した場合、主治医は何科の先生になりますか?
- 病状に関係する専門医は常勤していますか?
- その専門医は外来だけですか?病棟も担当していますか?
- 主治医が専門医でない場合、専門的な判断が必要なときはどう対応しますか?
- 急性期病院との連携体制はありますか?
- 状態が悪化した場合、どこの病院に搬送されますか?
- リハビリ、看護、薬剤、栄養、相談員とのチーム体制はありますか?
病院見学・相談時に聞くこと
可能であれば、転院前に病院見学や相談の機会を持つと安心です。
その際は、次のようなことを確認してみてください。
- 入院する病棟の担当医は何名いますか?
- 常勤医は何名いますか?
- 夜間や休日の医師体制はどうなっていますか?
- リハビリは1日どのくらい受けられますか?
- 家族への説明はどのタイミングでありますか?
- 退院支援はいつから始まりますか?
- 急変時の対応はどうなっていますか?
もちろん、すべてを細かく聞く必要はありません。
ただ、「診療科目に書いてあるから大丈夫」と思い込むのではなく、実際に誰が、どのような体制で診てくれるのかを確認することが大切です。
専門医がいない病院は避けるべき?
ここで誤解してほしくないのは、専門医が常勤していない病院=悪い病院ではないということです。
地域や病院の規模によっては、すべての診療科の専門医を常勤で配置することは難しい場合があります。
特に回復期や慢性期の病院では、専門的な治療そのものよりも、
- 全身状態の管理
- リハビリ
- 栄養管理
- 服薬管理
- 退院支援
- 在宅復帰
- 家族支援
などが重要になることもあります。
そのため、専門医の有無だけで病院の良し悪しを判断するのではなく、次のように考えるとよいです。
自分や家族の病状に対して、必要な医療・リハビリ・看護・相談体制があるか。
これが一番大切です。
専門医が常勤していなくても、必要時に専門病院と連携していたり、急変時の搬送体制が整っていたり、多職種でしっかり支えている病院もあります。
逆に、診療科目が多く書かれていても、入院病棟の医師体制が自分や家族の病状に合っているとは限りません。
診療科目を見るときのチェックリスト
最後に、病院ホームページを見るときのチェックポイントをまとめます。
| 確認する場所 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 診療科目 | どの科を標榜しているか | 入院主治医の専門とは限らない |
| 医師紹介 | 専門分野・資格・常勤/非常勤 | 病棟担当かどうかも確認 |
| 外来担当表 | 専門医の外来日 | 外来のみ担当の可能性がある |
| 入院案内 | どの病棟に入院するか | 病棟によって医師体制が違う |
| リハビリ紹介 | PT・OT・STなどの体制 | 医師体制とあわせて確認 |
| 地域医療連携室 | 転院先候補の情報 | 具体的に質問する |
| 医療情報ネット | 診療科目・対応疾患・サービス | 公的情報として補助的に使う |
リハビリ病院を選ぶ場合は、このチェックリストに加えて、施設基準や実績指数、退院支援の体制も確認しておくと安心です。
詳しくは、リハビリ病院の選び方|実績指数・施設基準・医師体制を家族向けに解説も参考にしてみてください。
よくある質問
診療科目が多い病院ほど安心ですか?
診療科目が多いことは、情報としては参考になります。
ただし、診療科目が多いからといって、すべての診療科の専門医が常勤しているとは限りません。
特に入院や転院を考えている場合は、診療科目の数よりも、実際の医師体制、病棟担当医、急変時の対応、リハビリや看護の体制を確認することが大切です。
外来担当表に専門医がいれば、入院中も診てもらえますか?
必ずしもそうとは限りません。
外来担当医が入院病棟も担当している場合もありますが、外来のみ担当している場合もあります。
入院中にその専門医が主治医になるかどうかは、病院に確認した方がよいです。
回復期リハビリ病院では、病気の専門医が主治医になりますか?
必ずしも病気の専門医が主治医になるとは限りません。
たとえば、脳梗塞後のリハビリ入院でも、主治医が脳神経内科医や脳神経外科医ではなく、内科系の医師になることがあります。
ただし、回復期ではリハビリ、全身管理、退院支援、多職種連携が重要になるため、専門医の有無だけでなく、病院全体の支援体制を確認することが大切です。
回復期リハビリ病院そのものの仕組みを先に知りたい方は、リハビリ病院ってどんなとこ?も参考になります。
転院前に医師体制を確認するのは失礼ですか?
失礼ではありません。
むしろ、入院後のミスマッチを防ぐために大切な確認です。
たとえば、
主治医は何科の先生になりますか?
専門的な判断が必要なときは、どのように対応していますか?
急変時はどこと連携していますか?
といった質問は、患者さんやご家族にとって自然な確認です。
おわりに|診療科目は入口。入院では医師体制まで確認しよう
病院のホームページに書かれている診療科目は、病院を選ぶうえで大切な情報です。
しかし、診療科目に書かれているからといって、その専門医が入院中の主治医になるとは限りません。
特に回復期・慢性期病院への入院や転院では、
- 診療科目
- 医師紹介
- 外来担当表
- 病棟の種類
- 常勤医・非常勤医
- 専門医の有無
- 急変時の連携体制
- リハビリや看護の体制
- 退院支援
をあわせて確認することが大切です。
病院選びで大切なのは、「何科が書いてあるか」だけではなく、「誰が、どのような体制で診てくれるのか」を確認することです。
入院や転院は、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても大きな出来事です。
不安なことがあれば、現在入院している病院の地域医療連携室や医療相談室に相談しながら、納得できる病院選びをしていきましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。


