障害者雇用で働きたいけれど、どこに就労支援を相談すればいいのか分からない。転職エージェントを使うべきか、就労移行支援で準備を整えるべきか迷う。合理的配慮を面接でどう伝えればよいか不安。そんな悩みを持つ方は少なくありません。
結論から言うと、障害がある方の就職・転職では、いきなり求人へ応募する前に、今の自分がどの段階にいるかを整理することが大切です。
すぐに転職活動を進める段階なら、障害者向け転職エージェントやハローワークが選択肢になります。一方で、働く準備を整える段階なら、就労移行支援、自立訓練、地域の相談機関、障害福祉サービスを使いながら働き方を考える方法もあります。
この記事は、障害者雇用や就労支援サービスの一般的な仕組みをまとめたものです。実際に利用できる支援やサービスは、障害の状態、障害者手帳の有無、診断、通院状況、年齢、地域、在職中か休職中か、現在の就労状況によって異なります。具体的な利用については、ハローワーク、自治体、主治医、相談支援専門員、就労支援機関などに確認してください。
この記事では、医療系国家資格保有者であり、現在は病院事務長として医療・介護・福祉の現場に関わる立場から、採用側として見てきた立場も交えて解説します。
※本記事にはプロモーションを含む場合があります。ただし、本文では特定サービスの利用を強くすすめるのではなく、まずは制度・相談先・働き方の整理を優先して解説します。
この記事で分かること
この記事では、次の内容を整理します。
- 障害者雇用とは何か
- 障害者雇用と一般雇用の違い
- オープン就労とクローズ就労の違い
- 転職エージェント、就労移行支援、自立訓練の違い
- 就労継続支援A型・B型、就労定着支援、就労選択支援の基本
- 障害別・状態別に確認したい働き方のポイント
- 求人票や面接で確認したい合理的配慮
- 採用側が見ているポイント
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結論|障害者雇用は「求人探し」より先に働く準備を整理する
障害者雇用は、障害がある方が配慮を相談しながら働くための選択肢のひとつです。
ただし、障害者雇用だから必ず楽に働ける、必ず希望どおりに配慮してもらえる、という意味ではありません。仕事内容、勤務時間、通勤、通院、休憩、職場環境、必要な合理的配慮を、応募前から丁寧に確認することが大切です。
特に、次のような整理ができていると、求人選びや面接でのミスマッチを減らしやすくなります。
応募前の整理チェックリスト
- 今の体調で働ける時間・日数はどれくらいか
- 通勤時間や通勤手段に無理がないか
- 通院や服薬、休憩などで必要な配慮はあるか
- できる業務、得意な業務は何か
- 難しい業務、避けたい職場環境は何か
- 障害や体調について、どこまで職場に伝えるか
- 困ったときに相談できる人や機関はあるか
- 就職後に働き続けるための支援を使えるか
採用側として見てきた立場から言うと、企業や職場は「障害名だけ」を知りたいわけではありません。
採用側は、どの業務ができるのか、どのような配慮があれば安定して働けるのか、職場側で準備できることは何かを知りたいと考えます。
つまり、障害者雇用で大切なのは「自分の障害名を説明すること」だけではありません。働くために必要な条件を言葉にすることが、働き続けるうえで大切になります。
すぐに転職活動を進める人は、障害者向け転職エージェントやハローワークが合う場合があります。まだ生活リズムや自己理解を整えたい人は、就労移行支援や自立訓練、相談支援を検討してもよいでしょう。
障害者雇用とは?
障害者雇用とは、障害のある方が職場で力を発揮しやすいよう、企業が障害者雇用率制度や合理的配慮などを踏まえて雇用する仕組みです。
日本では、障害者雇用促進法に基づき、一定規模以上の事業主に対して、常時雇用している労働者数に応じた障害者の雇用義務があります。
民間企業の法定雇用率は、令和6年4月から2.5%です。さらに、令和8年7月以降は2.7%へ引き上げられます。対象となる民間企業の範囲も、令和6年4月から40.0人以上、令和8年7月以降は37.5人以上へ広がります。制度の詳細は、厚生労働省の障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化についてで確認できます。
また、厚生労働省の事業主向けページでは、従業員が一定数以上の規模の事業主には、身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があると説明されています。
事業主には、毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークへ報告することや、障害者雇用推進者を選任する努力義務などもあります。
働く側が知っておきたいのは、障害者雇用は「特別扱い」ではなく、業務内容と必要な配慮をすり合わせながら働く仕組みだということです。
一般雇用では、障害や体調について職場に伝えずに働くこともあります。一方、障害者雇用では、障害者手帳の有無、求人条件、配慮事項、職場の受け入れ体制などを確認しながら進めることが多くなります。
障害者雇用・一般雇用・オープン就労・クローズ就労の違い
障害がある方の働き方を考えるときは、「障害者雇用か一般雇用か」と「障害を開示するかどうか」を分けて考えると整理しやすくなります。
| 働き方 | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 障害者雇用 | 障害を開示し、配慮を相談しながら働く | 通院・勤務時間・職場環境などの配慮を相談したい人 | 求人内容や仕事内容が自分に合うか確認が必要 |
| 一般雇用 | 一般枠で応募する | 配慮が少なくても働ける人、職種や条件の幅を広げたい人 | 障害や体調面の相談がしにくい場合がある |
| オープン就労 | 障害を職場に開示して働く | 必要な配慮を伝えながら働きたい人 | 伝える内容を事前に整理する必要がある |
| クローズ就労 | 障害を職場に開示せず働く | 開示せずに働きたい人 | 合理的配慮や支援機関との連携を受けにくい場合がある |
どちらが正解というものではありません。
たとえば、通院や勤務時間の調整が必要な人は、オープン就労や障害者雇用のほうが相談しやすい場合があります。一方で、障害を開示せずに働きたい、職種や待遇の選択肢を広げたいという理由で、一般雇用やクローズ就労を選ぶ人もいます。
大切なのは、障害名だけで決めないことです。体調、働ける時間、通勤、仕事内容、職場に求める配慮、将来の働き方を含めて考えましょう。
障害者雇用における合理的配慮とは?
合理的配慮とは、障害のある方が働くうえで生じる困りごとについて、本人と職場が話し合い、必要な調整を行う考え方です。
雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主は過重な負担にならない範囲で障害者に合理的配慮を提供することが義務づけられています。厚生労働省は、雇用分野における障害者への差別禁止や合理的配慮について、雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮で説明しています。
合理的配慮の例としては、筆談で面接を行う、机の高さを調整する、業務マニュアルを分かりやすくする、出退勤時刻・休暇・休憩について通院や体調に配慮する、といったものがあります。厚生労働省の資料でも、募集・採用時や採用後の具体例が示されています。
ただし、合理的配慮は「希望した内容が必ずそのまま実現する」という意味ではありません。本人の状態、職場の状況、業務内容、過重な負担に当たるかどうかなどを踏まえ、話し合いながら決めていくものです。
だからこそ、面接前に「何に困りやすいか」だけでなく、「どのような配慮があれば働きやすいか」を整理しておくことが大切です。
障害がある方が使える主な就労支援サービス
障害がある方の就職・転職では、民間サービス、公的機関、障害福祉サービスを組み合わせて考えることができます。
厚生労働省は、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスとして、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援の5種類を示しています。
| 支援サービス | 主な対象 | 目的 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 就職・転職を考えている人 | 求人相談・職業紹介 | 公的窓口で相談したい人 |
| 障害者向け転職エージェント | 転職意思がある人 | 求人紹介・書類添削・面接対策 | 企業求人を比較したい人 |
| 就労選択支援 | 就労系障害福祉サービスの利用を考える人など | 本人に合う働き方や支援の選択を整理 | A型・B型・就労移行支援などを検討したい人 |
| 就労移行支援 | 一般就労を目指す人 | 訓練・就職支援・職場定着の準備 | 働く準備や自己理解を整えたい人 |
| 自立訓練 | 生活面や自己理解を整えたい人 | 生活訓練・社会参加の準備 | すぐ就職より生活リズムを整えたい人 |
| 就労継続支援A型 | 一般企業での就労がすぐには難しく、雇用契約に基づく就労が可能な人 | 雇用契約を結んで働く場の提供 | 福祉サービスを使いながら働きたい人 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約に基づく就労が難しい人 | 生産活動・日中活動の機会提供 | 体調に合わせて活動したい人 |
| 就労定着支援 | 就労移行支援などを利用して一般企業に就職した人 | 就職後の相談・職場定着支援 | 就職後の不安や生活面の課題を相談したい人 |
| 障害者就業・生活支援センター | 就職と生活面を一体で相談したい人 | 就業面・生活面の相談支援 | 仕事だけでなく生活面も相談したい人 |
就労選択支援は、障害者本人が就労先や働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントを活用して本人の希望、就労能力、適性などに合った選択を支援する仕組みです。令和7年10月1日施行のサービスとして示されています。詳しくは厚生労働省の就労選択支援についても確認してください。
なお、障害福祉サービスの利用条件は、自治体、本人の状態、障害者手帳の有無、診断、通院状況、年齢、在職中か休職中かなどによって異なる場合があります。サービス名だけで判断せず、自治体や相談支援専門員、事業所に確認してください。
転職エージェントと就労移行支援はどう違う?
障害者向け転職エージェントと就労移行支援は、どちらも就職・転職に関係しますが、役割が違います。
| 項目 | 障害者向け転職エージェント | 就労移行支援 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 求人紹介・転職活動支援 | 働く準備・訓練・就職支援 |
| 向いている人 | すでに転職意思があり、応募準備を進めたい人 | 生活リズム、自己理解、配慮事項の整理が必要な人 |
| 支援内容 | 求人紹介、書類添削、面接対策、企業との調整 | 訓練、実習、ビジネスマナー、自己理解、職場定着支援 |
| 利用条件 | サービスごとに異なる。障害者手帳が必要な場合がある | 自治体の支給決定などが必要。条件は地域や状態で異なる |
| 注意点 | 求人がない地域・職種もある | 現職中は利用できない場合がある。通所条件も確認が必要 |
転職エージェントは、求人紹介や転職活動の支援が中心です。履歴書・職務経歴書を用意でき、転職意思がある程度はっきりしている人に向いています。
一方、就労移行支援は、一般就労を目指す方に対して、働くために必要な知識や能力を高める訓練を行う障害福祉サービスです。
「今すぐ応募したい」のか、「まず働く準備を整えたい」のかで、選ぶ支援は変わります。
働く準備から考えたい方は、既存記事の発達障害・グレーゾーン向け 自立訓練と就労移行支援の違いも参考にしてください。
自分に合う就労支援サービスの選び方
すぐに就職・転職活動を進めたい人
すでに働く意思がはっきりしていて、希望職種や勤務条件をある程度考えられる人は、障害者向け転職エージェント、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターが選択肢になります。
この段階では、次の内容を整理しておきましょう。
- 履歴書・職務経歴書
- 希望職種
- 希望勤務地
- 働ける時間・日数
- 障害の開示範囲
- 必要な配慮事項
- 通院や体調管理の予定
- 避けたい業務や環境
ハローワークには障害のある方向けの専門窓口があり、就職活動の相談や障害者専用求人への紹介などを行っています。地域によって窓口名や対応内容が異なることがあるため、最寄りのハローワークで確認しましょう。
障害者向け転職エージェントは、求人紹介、書類添削、面接対策、企業との調整などを相談できる場合があります。ただし、対象地域、年齢、障害者手帳の有無、在職中かどうか、希望職種によって紹介できる求人は変わります。
働きたいが、まだ自信がない人
「働きたい気持ちはあるけれど、生活リズムが不安」
「ブランクがある」
「自分に合う仕事が分からない」
このような場合は、すぐ求人へ応募するより、就労移行支援、自立訓練、相談支援、主治医や支援機関への相談から始める方法があります。
自信がないことを責める必要はありません。働く準備を整える時間は、就職後に長く働き続けるための土台になります。
特に、生活リズム、自己理解、通所の練習、人との関わり方、体調管理を整えたい場合は、自立訓練が合うこともあります。
詳しくは、発達障害・グレーゾーン向け 自立訓練と就労移行支援の違いで解説しています。
仕事が長く続かず悩んでいる人
退職を繰り返している場合は、「自分に合わなかった」で終わらせず、退職理由や困りごとのパターンを整理することが大切です。
たとえば、次のような点を振り返ってみましょう。
- 業務量が多すぎなかったか
- 指示の出され方が合っていたか
- 音や光、においなど職場環境の負担はなかったか
- 対人関係で困りやすい場面はなかったか
- 通勤時間や勤務時間に無理がなかったか
- 通院や休憩を相談できていたか
- 体調悪化時の連絡方法が決まっていたか
就労移行支援、就労定着支援、障害別プログラム、ジョブコーチ支援などが選択肢になる場合があります。
ジョブコーチ支援は、障害のある方が職場に適応できるよう、本人だけでなく事業主や職場の従業員にも助言を行う支援です。独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援でも説明されています。
身体障害があり、職場環境や通勤が不安な人
身体障害がある方の転職では、仕事内容だけでなく、職場環境の確認がとても大切です。
確認したいポイントは、次のような内容です。
- 通勤経路
- 駅から職場までの距離
- エレベーターや階段
- トイレの使いやすさ
- 休憩場所
- デスク周りの動線
- 移動の多さ
- 重い物を持つ業務の有無
- 通院配慮
- 在宅勤務や時差出勤の可否
身体障害に特化した転職支援や、障害者向け転職エージェント、ハローワークを使うことで、応募前に職場環境を確認しやすくなる場合があります。
身体障害がある方の転職で確認したいポイントは、既存記事の身体障害者のための転職完全ガイドで詳しく解説しています。
発達障害があり、仕事の進め方や人間関係が不安な人
発達障害がある方の場合、仕事の段取り、報連相、優先順位づけ、感覚過敏、ミスの傾向、曖昧な指示への対応、職場の人間関係などが負担になることがあります。
発達障害専門の就労移行支援、自立訓練、障害者向け転職エージェントが選択肢になります。
大切なのは、「何が苦手か」だけでなく、「どういう伝え方・環境なら力を発揮しやすいか」を整理することです。
たとえば、次のような整理が役立ちます。
- 口頭指示より文字のほうが分かりやすい
- 一度に複数の指示を受けると混乱しやすい
- 静かな場所のほうが集中しやすい
- 業務手順書があると作業しやすい
- 報告のタイミングを決めてもらうと動きやすい
発達特性があり、働く準備から考えたい方は、発達障害・グレーゾーン向け 自立訓練と就労移行支援の違いも参考にしてください。
うつ症状・精神障害があり、復職や再就職が不安な人
うつ症状、双極性障害、適応障害、不安障害、統合失調症などがあり、復職や再就職に不安がある場合は、医療判断を急がず、主治医や支援機関に相談しながら進めましょう。
就労移行支援、自立訓練、リワーク支援、障害者向け転職エージェントなどが選択肢になる場合があります。
ここで大切なのは、「もう大丈夫」と一気に決めることではありません。
勤務時間、通院、疲れやすさ、休憩、体調悪化時の連絡方法などを、現実的に整理することが大切です。
また、復職や再就職を考えるときは、家族だけで抱え込まず、主治医、相談支援専門員、就労支援機関、職場の担当者などに相談しましょう。
難病があり、治療と仕事の両立が不安な人
難病がある方は、体調変動、通院、治療、疲労、勤務時間、在宅勤務、休憩、急な欠勤の可能性などを確認する必要があります。
難病専門の就労移行支援、障害者向け転職エージェント、ハローワーク、主治医、自治体窓口への相談が選択肢になります。
確認したいポイントは、次のような内容です。
- 通院頻度
- 体調が変動しやすい時間帯
- 長時間勤務の負担
- 在宅勤務の可否
- 休憩の取りやすさ
- 急な体調悪化時の連絡方法
- 仕事内容と身体的負担
- 職場への開示範囲
障害者手帳の有無だけでなく、診断、通院状況、自治体判断、対象疾病などによって利用できる支援が変わることがあります。自己判断で決めず、相談先を複数持っておきましょう。
聴覚障害があり、就職や職場コミュニケーションが不安な人
聴覚障害がある方は、面接や職場でのコミュニケーション方法を事前に整理しておくことが大切です。
たとえば、次のような方法があります。
- 筆談
- チャット
- メール
- 手話
- 音声認識ツール
- 会議内容の文字共有
- 緊急時の視覚的な連絡方法
- 職場内の情報共有ルール
聴覚障害専門の就労移行支援や、障害者向け転職エージェント、ハローワークの専門窓口などが選択肢になります。対象地域や対応方法は、事前に確認してください。
面接では、「聞こえにくいこと」だけでなく、「どうすれば情報共有しやすいか」を伝えると、採用側も業務との相性を考えやすくなります。
障害のある学生・既卒で就活が不安な人
新卒・既卒の就活は、一般転職とは動き方が違います。
障害学生向け就活エージェント、大学のキャリアセンター、ハローワーク、自治体、学び直し支援などを使い分けましょう。
学生の場合は、次のような準備が大切です。
- 自己分析
- インターンや職場体験
- 配慮事項の整理
- 応募書類
- 面接練習
- 学校と支援機関の連携
- 家族との情報共有
新卒・既卒では、一般転職とは違う支援サービスが用意されている場合があります。障害者手帳の有無、対象学年、卒業後の年数、対象地域などを確認しましょう。
相談先と相談できること
どこに相談すればよいか分からないときは、ひとつの窓口だけで決めなくて大丈夫です。
公的機関、医療、福祉、民間サービスを組み合わせて考えましょう。
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| ハローワーク | 求人相談、職業紹介、障害者雇用相談 |
| 障害者就業・生活支援センター | 就職と生活面の相談、職場定着、関係機関との連携 |
| 就労移行支援事業所 | 就労準備、訓練、職場実習、就職活動支援 |
| 自立訓練事業所 | 生活リズム、自己理解、社会参加の準備 |
| 主治医 | 体調、通院、就労上の注意点の相談 |
| 自治体 | 障害福祉サービスの利用相談、支給決定の確認 |
| 相談支援専門員 | サービス利用計画、地域資源の整理 |
| 転職エージェント | 求人紹介、書類・面接対策、企業との調整 |
障害者就業・生活支援センターは、雇用、保健、福祉、教育などの関係機関と連携し、就業面と生活面を一体的に支援する機関です。厚生労働省によると、令和8年4月1日時点で全国に340箇所設置されています。
障害者雇用の面接で採用側が見ているポイント
ここは、病院事務長として採用側に関わる立場から、特に大切だと感じる部分です。
採用側は、障害名だけを見ているわけではありません。実際には、次のような点を確認しています。
| 採用側が確認したいこと | 理由 |
|---|---|
| どの業務ができるか | 配属先や仕事内容を考えるため |
| どの業務が難しいか | 入職後のミスマッチを防ぐため |
| どのような配慮が必要か | 職場側で準備できることを確認するため |
| 勤務時間や通院頻度 | シフトや業務量を調整できるか考えるため |
| 休憩や体調悪化時の対応 | 安定して働き続ける仕組みを考えるため |
| コミュニケーション方法 | 上司・同僚との連携方法を整えるため |
| 緊急時の対応 | 本人と職場双方の安全を守るため |
採用側は、できないことを責めたいのではありません。
入職後に「聞いていた仕事内容と違った」「必要な配慮が準備できなかった」「本人も職場も困ってしまった」というミスマッチを避けたいのです。
採用側としては、「何ができないか」だけでなく、「どの条件なら力を発揮しやすいか」を知りたいと考えています。配慮事項は弱みの申告ではなく、働き続けるための情報共有です。
もちろん、職場側にも合理的配慮や障害者雇用制度への理解が求められます。ただし、職場がすべてを自動的に整えてくれるわけではありません。
だからこそ、本人、支援者、採用側が「どの業務なら力を発揮しやすいか」「どこに配慮が必要か」をすり合わせることが大切です。
障害者雇用の求人票で確認すべきポイント
障害者雇用の求人票を見るときは、給与や勤務地だけで判断しないようにしましょう。
確認したいポイントは、次のとおりです。
- 仕事内容は具体的に書かれているか
- 雇用形態は正社員、契約社員、パートなどどれか
- 勤務時間や残業の有無はどうか
- 在宅勤務や時差出勤は可能か
- 通院配慮について相談できるか
- 休憩場所はあるか
- トイレ、階段、エレベーター、移動環境は問題ないか
- 業務量や繁忙期の負担はどの程度か
- 配属先や上司、相談担当者は決まっているか
- 職場定着支援や支援機関との連携は可能か
求人票の言葉は、企業によって具体度が違います。
「配慮あり」と書かれていても、どのような配慮なのかは面接で確認が必要です。
求人票の基本的な見方は、既存記事の医療職の求人票の見方|転職前に確認すべきポイントも参考になります。
障害者雇用に特化した内容は、今後「障害者雇用の求人票で確認すべきこと」で詳しく解説予定です。
面接で合理的配慮・配慮事項をどう伝えるか
配慮事項は、「できないことの一覧」ではありません。
働くために必要な条件を、職場と共有するための情報です。
面接で伝える内容としては、次のようなものがあります。
- 通院頻度
- 勤務時間や残業への希望
- 疲れやすさ、休憩の取り方
- 音・光・においなどへの過敏さ
- コミュニケーション方法
- 移動、階段、重い物を持つ業務への配慮
- 体調悪化時の連絡方法
- できる業務と難しい業務
- 過去にうまくいった配慮
- 支援機関との連携希望
伝え方の例としては、次のように整理できます。
長時間立ち続ける業務は難しいですが、座って行う事務作業やメールでの連絡業務は対応できます。月1回の通院があるため、事前に勤務日を相談できると安定して働きやすいです。
このように、「難しいこと」と「できること」「必要な配慮」をセットで伝えると、採用側も業務との相性を考えやすくなります。
面接全般の準備は、既存記事の医療職の転職面接で聞かれること|質問例と答え方も応用できます。
障害者雇用での配慮事項の伝え方は、今後「障害者雇用の面接で配慮事項をどう伝える?」で詳しく解説予定です。
障害者雇用・就労支援でよくある失敗
ここでいう失敗は、読者を責めるためのものではありません。
事前に知っておくことで避けやすくなるポイントです。
よくあるのは、次のようなケースです。
- 障害者雇用なら必ず配慮してもらえると思ってしまう
- 必要な配慮を自分でも整理できていない
- 求人票の仕事内容をよく確認していない
- 通勤時間や勤務時間を軽く見てしまう
- 体調や通院頻度を無理して隠してしまう
- 就職を急ぎすぎて準備不足のまま応募する
- 支援サービスの対象地域や利用条件を確認していない
- 1つのサービスだけで判断してしまう
障害者雇用や就労支援は、使えば自動的にうまくいくものではありません。
ただ、相談先を使いながら、自分の状態、希望、必要な配慮を整理していくことで、ミスマッチを減らせる可能性があります。
家族や支援者だけで抱え込む必要もありません。公的機関、医療、福祉、転職支援、学校、職場など、使える相談先を少しずつ増やしていきましょう。
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この親記事では、障害者雇用・就労支援の全体像を整理しました。
次は、自分の状況に近い記事を読むと理解しやすくなります。
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よくある質問
Q1:障害者雇用とは何ですか?
障害がある方が働きやすいよう、企業が障害者雇用率制度や合理的配慮などを踏まえて雇用する仕組みです。具体的な制度や対象は、厚生労働省などの最新情報を確認しましょう。
Q2:障害者雇用と一般雇用はどちらがよいですか?
どちらが正解とは言えません。必要な配慮、仕事内容、体調、通院、希望する働き方によって変わります。配慮を相談したい場合は障害者雇用やオープン就労、開示せずに働きたい場合は一般雇用やクローズ就労を考える人もいます。
Q3:オープン就労とクローズ就労の違いは何ですか?
オープン就労は、障害や体調について職場に開示して働く方法です。クローズ就労は、障害を開示せずに働く方法です。開示することで配慮を相談しやすくなる一方、伝える内容の整理が必要です。
Q4:障害者向け転職エージェントと就労移行支援は何が違いますか?
転職エージェントは、求人紹介や転職活動支援が中心です。就労移行支援は、働くための訓練や就職準備、職場定着を支援する障害福祉サービスです。
Q5:障害者手帳がないと支援は使えませんか?
サービスによって異なります。障害者手帳が必要な場合もあれば、診断書、通院状況、自治体の判断が関わる場合もあります。各サービス、自治体、相談支援専門員に確認しましょう。
Q6:働いている最中でも就労移行支援は使えますか?
就労移行支援は、現職中の利用ができない場合があります。休職中の利用可否も含め、自治体や事業所に確認してください。
Q7:配慮事項は面接でどこまで伝えるべきですか?
働くうえで必要な配慮は、できるだけ具体的に整理して伝えることが大切です。通院、勤務時間、休憩、コミュニケーション方法、移動、体調悪化時の連絡方法など、業務に関係する範囲で伝えましょう。
Q8:就職に自信がない場合、転職エージェントに登録してもよいですか?
転職意思や準備状況によります。求人応募に進む準備がある場合は転職エージェントが合うこともあります。まだ働く準備に不安が大きい場合は、就労移行支援、自立訓練、相談機関の利用も選択肢です。
Q9:障害者雇用なら必ず配慮してもらえますか?
合理的配慮は重要ですが、内容は本人の状態、職場の状況、過重な負担に当たるかどうかなどによって変わります。面接や入職前に、できること・難しいこと・必要な配慮をすり合わせることが大切です。
Q10:どこに相談すればよいか分かりません。
まずは、ハローワーク、地域の障害者就業・生活支援センター、自治体、相談支援専門員、主治医、就労移行支援事業所などが相談先になります。転職意思がはっきりしている場合は、障害者向け転職エージェントも選択肢です。
Q11:家族が先に相談してもよいですか?
家族が相談できる窓口もあります。ただし、就職・転職は本人の希望や体調、働き方が大きく関わります。家族だけで決めず、本人の意向を確認しながら、支援機関につなげていきましょう。
まとめ|障害者雇用は、自分に合う働き方と支援を整理することから始めよう
障害者雇用は、障害がある方が働くための選択肢のひとつです。
ただし、障害者雇用、一般雇用、オープン就労、クローズ就労には違いがあります。どれが正解というものではなく、本人の状態、希望、必要な配慮、仕事内容、職場環境によって選ぶものです。
すぐ転職活動を進める人は、障害者向け転職エージェントやハローワークが選択肢になります。まず働く準備を整えたい人は、就労移行支援、自立訓練、相談支援、障害福祉サービスを検討してもよいでしょう。
採用側は、障害名だけで採否を決めたいわけではありません。業務内容と本人の希望・能力・配慮事項が合うかを確認したいと考えています。
求人票や面接では、仕事内容、勤務時間、通院、職場環境、必要な合理的配慮を確認しましょう。
家族や支援者だけで抱え込まず、ハローワーク、自治体、主治医、相談支援専門員、就労支援機関、転職支援サービスなどを使って構いません。
次は、自分の状況に近い記事を読みながら、働き方と相談先を少しずつ整理していきましょう。
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