病気、事故、発達障害、精神疾患、身体障害、知的障害、難病などをきっかけに、突然「障害」や「福祉制度」について調べることになる人は少なくありません。
本人も、親も、配偶者も、子どもも、きょうだいも、親戚も、最初はたいてい同じところで戸惑います。
- 何から調べればいいのかわからない
- 障害者手帳と障害年金の違いがわからない
- 医療費、生活費、仕事、将来の暮らしが不安
- 相談窓口に行く前に、少しだけ予習しておきたい
- 親なき後のことを考えると、気持ちが重くなる
この記事では、「障害のある家族におすすめの本」を探している方に向けて、福祉制度・障害年金・障害者手帳・医療費助成・仕事・親なき後まで、最初に読むと役立つ本を目的別に整理します。
ネット検索は早い一方で、情報が断片的になりやすく、制度名だけが増えて、かえって不安になることもあります。本は、制度・お金・暮らし・仕事・家族支援を、順番に整理してくれるのがよいところです。
ただし、障害福祉や障害年金、医療費助成、生活保護、成年後見などの制度は、年度改正、自治体ごとの運用、本人の状況によって変わります。本を読んで「うちも必ず使える」と判断するのではなく、最終的には市区町村、年金事務所、医療ソーシャルワーカー、相談支援専門員、社会保険労務士、成年後見や相続に詳しい専門職などへ確認することが大切です。
この記事には、書籍やサービスへのリンクが含まれる場合があります。リンク先で購入・申込みをすると、当サイトに収益が発生することがあります。
ただし、この記事の目的は、単に本を売ることではありません。障害のある本人や家族が、制度・お金・暮らし・仕事・親なき後について調べ始めたときに、どの順番で情報を整理すればよいかをわかりやすくまとめることを重視しています。
紹介している本は、購入して手元に置いてもよいですし、図書館で借りたり、電子書籍で読んだり、必要な章だけ読んだりしても大丈夫です。大切なのは、「全部を一気に理解すること」ではなく、今の不安を少しずつ言葉にして、相談先につながりやすくすることです。
この記事でわかること
- 障害のある本人・家族が最初に読む本
- 障害福祉制度・障害年金・障害者手帳がわかる本
- 発達障害・精神障害・高次脳機能障害・知的障害の家族向け本
- 親なき後・成年後見・相続を考える本
- 仕事・就労支援を考える本
- 本だけでは解決しないときの相談先
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障害や福祉制度を調べ始めた方は、本だけでなく、医療費・退院後の生活・仕事の支援もあわせて整理しておくと安心です。
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- 障害があっても“自分らしく働く”転職・就職完全ガイド
- 発達障害・グレーゾーンの方へ|自立訓練と就労移行支援の違い
- 生きづらさの原因とは?認知行動療法の考え方とセルフケア
- 時間がない人へ|障害のある家族におすすめの本5冊
- この記事の読み方|全部読まなくても大丈夫です
- この記事で紹介する本の選び方
- 目的別|障害のある家族におすすめの本 比較表
- 障害福祉制度がわかるおすすめ本
- 障害年金を学べるおすすめ本
- 障害者手帳・福祉サービス・医療費助成を理解できる本
- 発達障害の本人・家族におすすめの本
- 精神障害・うつ病・統合失調症の本人・家族におすすめの本
- 身体障害・高次脳機能障害・難病の本人・家族におすすめの本
- 知的障害・自閉スペクトラム症の家族におすすめの本
- 親なき後・成年後見・相続を考えるおすすめ本
- 障害のある人の仕事・就労支援におすすめの本
- 家族や支援者の心が軽くなる本
- 本で全体像をつかんだら、次は「相談先」と「生活の場」を整理する
- 本だけでは解決しないこと
- よくある質問
- 次に読むと理解が深まる関連記事
- まとめ|まず1冊読むことで、不安を整理できる
時間がない人へ|障害のある家族におすすめの本5冊
「全部読む余裕がない」という人は、まずここから選んでください。
| 今の悩み | まず読む本 | 理由 |
|---|---|---|
| 障害福祉制度をざっくり知りたい | 図解でわかる障害福祉サービス | 障害福祉サービス、関連制度、利用の流れを図解で見渡せる |
| 子どもや家族の将来が不安 | 障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて 第2版 | 保育、教育、就労、手帳、年金などを年代・場面ごとに整理できる |
| お金の制度をまとめて知りたい | 改訂 精神・発達・知的障害がある人の経済的支援ガイドブック | 障害年金、生活保護、高額療養費、自立支援医療、税などを横断できる |
| 障害年金を知りたい | 世界一やさしい障害年金の本 改訂版 | 障害年金の制度と請求の流れを、マンガと講義調でつかみやすい |
| 親なき後が不安 | 障害のある子が安心して暮らすために | 福祉とお金の両方から、将来の暮らしを考えやすい |
上の5冊は、「制度の名前を覚えるため」ではなく、相談に行く前に頭の中を整理するための本として読むのがおすすめです。
この記事の読み方|全部読まなくても大丈夫です
この記事では、制度、お金、手帳、医療費、発達障害、精神障害、身体障害、知的障害、親なき後、仕事、家族支援まで幅広く扱っています。
そのため、最初から最後まで全部読む必要はありません。今いちばん困っていることに近いところから読んでください。
- 制度全体がわからない人は、「障害福祉制度がわかるおすすめ本」へ
- 生活費や医療費が不安な人は、「障害年金を学べるおすすめ本」「障害者手帳・福祉サービス・医療費助成を理解できる本」へ
- 発達障害や精神障害について家族で理解したい人は、障害別の項目へ
- 病気や事故のあと、退院後の生活が不安な人は、身体障害・高次脳機能障害・リハビリ関連の項目へ
- 働くことが不安な人は、仕事・就労支援の項目へ
- 将来の住まい、お金、親なき後が不安な人は、親なき後・成年後見・相続の項目へ
本は、相談先へ行く前の「準備運動」のようなものです。読んで終わりではなく、必要に応じて市区町村、医療機関の相談窓口、年金事務所、相談支援専門員、社会保険労務士、成年後見や相続に詳しい専門職へつながることが大切です。
この記事で紹介する本の選び方
制度の全体像がわかること
障害者手帳、障害福祉サービス、障害年金、自立支援医療、生活保護、成年後見、就労支援は、それぞれ別の制度です。
最初は細かい申請書の書き方よりも、「どんな制度があり、どこに相談すればよいのか」を見渡せる本が向いています。
本人・家族が読めること
障害福祉の本には、専門職向けの本も多くあります。この記事では、本人や家族が読んでも理解しやすい本を中心にしつつ、必要に応じて専門職向けの本も「詳しく知りたい人向け」として紹介します。
改訂状況や新しさを確認すること
障害年金、福祉サービス、成年後見、生活保護、医療費助成は制度改正の影響を受けます。古い本でも、家族の向き合い方や本人理解に役立つ名著はありますが、制度情報は最新の公的情報や自治体窓口で確認しましょう。
レビューだけで選ばないこと
ネット書店のレビューは参考になりますが、読者の状況や読んだ時期によって評価は変わります。この記事では、レビュー傾向だけでなく、出版社情報、改訂版の有無、内容の実用性、制度との接続を重視しています。
本だけで完結させないこと
本を読む目的は、「一人で全部解決すること」ではありません。相談先に行ったときに、自分や家族の状況を整理して伝えやすくすることです。
特に障害年金、生活保護、成年後見、家族信託、相続は、本人の状態、家族構成、初診日、保険料納付状況、資産、収入などで判断が変わります。
目的別|障害のある家族におすすめの本 比較表
| 目的 | おすすめ本 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 初心者向け | 図解でわかる障害福祉サービス | 制度全体をざっくり知りたい本人・家族 | 2022年発行のため、制度改正は最新確認が必要 |
| 制度全体 | 障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて 第2版 | 子どもの将来や家族の準備を考えたい人 | 子ども向け要素が強いが、成人後の見通しにも役立つ |
| お金全般 | 改訂 精神・発達・知的障害がある人の経済的支援ガイドブック | 生活費、医療費、税、年金を整理したい人 | 精神・発達・知的障害が中心 |
| 障害年金 | 世界一やさしい障害年金の本 改訂版 | 障害年金を初めて知る本人・家族 | 受給を保証する本ではない |
| 障害年金を詳しく | これならわかる〈スッキリ図解〉障害年金 第2版 | 手続きの流れや不服申立ても知りたい人 | 個別判断は年金事務所や社労士へ |
| 発達障害 | 発達障害の基礎知識 改訂版 | 子どもから大人まで発達障害を広く知りたい人 | 診断を自己判断するための本ではない |
| 精神障害 | じょうずな対処 今日から明日へ | 統合失調症のある本人・家族 | 治療方針は主治医と相談 |
| 高次脳機能障害 | 高次脳機能障害のリハビリテーション | 脳損傷後の生活やリハビリを知りたい家族 | 個別性が高く、医療職との相談が必要 |
| 知的障害・ASD | 障害のある人が使える支援 | 本人にもわかりやすい制度本を探している家族 | 一般書店では取り寄せになる場合がある |
| 親なき後 | 障害のある子が安心して暮らすために | 将来の住まい・お金・福祉を考えたい人 | 法律・相続は専門職相談が必要 |
| 就労支援 | 図解でわかる障害者雇用と就労支援 | 働くこと、合理的配慮、支援機関を知りたい人 | 地域資源は自治体差が大きい |
障害福祉制度がわかるおすすめ本
図解でわかる障害福祉サービス
制度名が多すぎて混乱している人が、最初に地図を広げるように読める本です。
書名:図解でわかる障害福祉サービス
著者:二本柳覚 編著
出版社:中央法規出版
障害者総合支援法、障害福祉サービス、関連制度を、図とイラストで理解しやすく整理した入門書です。障害福祉サービスという言葉を聞いたばかりの本人・家族に向いています。
どんな人に向いているか
障害福祉サービスの全体像を知りたい人、相談支援専門員に相談する前に予習したい人、親戚として大まかに制度を知っておきたい人。
この本で学べること
障害福祉サービスの種類、利用までの流れ、相談支援、在宅サービス、施設サービス、生活を支える関連制度。
注意点
2022年発行のため、2024年度以降の制度改正や自治体運用は最新情報の確認が必要です。入口を知る本として読み、実際の申請は市区町村の障害福祉窓口で確認しましょう。
障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて 第2版
子どもの将来が不安な家族が、「今から何を知っておけばいいか」を年代ごとに整理しやすい本です。
書名:障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて 第2版
著者:渡部伸
出版社:自由国民社
障害のある子が利用できる福祉サービス、公的支援、経済的サポート制度を、本人の年代や場面ごとに紹介する本です。
どんな人に向いているか
障害のある子どもの将来が不安な親、支援学校卒業後の制度を知りたい家族、親戚として制度の流れを知りたい人。
この本で学べること
保育・教育、就労、障害者手帳、生活支援、障害年金、親や親族が準備しておきたいこと。
注意点
子ども・親向けの視点が中心ですが、成人後の暮らしや制度の見通しにも役立ちます。制度の具体的な利用可否は自治体で確認しましょう。
現場で役立つ!社会保障制度活用ガイド 2026年版
障害福祉だけでなく、医療、介護、生活保護、年金、権利擁護まで横断して見たい人向けの本です。
書名:ケアマネ・相談援助職必携 現場で役立つ!社会保障制度活用ガイド 2026年版
編集・著者:中央法規「ケアマネジャー」編集部 編集/福島敏之 著
出版社:中央法規出版
生活保護、障害者福祉、医療保障、権利擁護、年金、介護保険、子ども家庭福祉、地域共生などを横断して整理できる本です。
どんな人に向いているか
医療・介護・福祉・お金の制度をまとめて見たい家族、支援者、相談先に行く前に社会保障制度を俯瞰したい人。
この本で学べること
社会保障制度の全体像、制度ごとの利用の流れ、生活保護、医療保障、介護保険、年金、権利擁護などのつながり。
注意点
相談援助職向けなので、最初から全部読むと重く感じるかもしれません。必要な章だけ読む使い方がおすすめです。
障害年金を学べるおすすめ本
障害年金は、障害者手帳とは別の制度です。手帳があるから必ず障害年金を受け取れるわけではなく、反対に手帳がなくても請求を検討できる場合があります。
障害年金は、初診日、障害の状態、保険料納付状況などの確認が重要です。本で全体像を学んだうえで、具体的な請求については年金事務所や街角の年金相談センター、必要に応じて障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談しましょう。
世界一やさしい障害年金の本 改訂版
障害年金を「難しそう」と感じている本人・家族が、最初の入口として読みやすい本です。
書名:世界一やさしい障害年金の本 改訂版
著者:相川裕里子
出版社:Gakken
障害年金の制度と請求のしくみを、マンガと講義調で解説する入門書です。
どんな人に向いているか
障害年金という言葉を初めて聞いた人、病気やけがで働き方が変わった人、請求の流れをざっくり知りたい本人・家族。
この本で学べること
障害年金の基本、請求の流れ、診断書や申立書を考えるときの入口。
注意点
障害年金の受給を保証する本ではありません。初診日、障害の状態、保険料納付状況など、個別の確認が必要です。
これならわかる〈スッキリ図解〉障害年金 第2版
障害年金のしくみだけでなく、手続きのコツや不服申立てまで少し詳しく知りたい人向けです。
書名:これならわかる〈スッキリ図解〉障害年金 第2版
著者:松山純子
出版社:翔泳社
障害年金専門の社会保険労務士が、制度の仕組みや手続きのポイントを図表で解説する本です。
どんな人に向いているか
障害年金の入門書を読んだあと、もう少し具体的に請求手続きや注意点を知りたい人。
この本で学べること
障害年金の制度、手続きの流れ、精神障害・発達障害の申請、不服申立ての考え方。
注意点
請求の可否は個別事情で変わります。難しい場合は、年金事務所や障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談しましょう。
知的障害・発達障害のある子が大人になる前に知っておきたい 20歳前傷病の障害年金 しくみと請求のしかた
知的障害・発達障害のある子どもが20歳を迎える前に、家族が早めに読んでおきたい本です。
書名:知的障害・発達障害のある子が大人になる前に知っておきたい 20歳前傷病の障害年金 しくみと請求のしかた
著者:小西一航
出版社:日本法令
20歳前傷病による障害年金について、しくみや請求の流れを学べる本です。
どんな人に向いているか
知的障害や発達障害のある子どもがいる親、20歳前傷病による障害基礎年金を早めに知りたい家族、支援者。
この本で学べること
20歳前傷病の障害年金のしくみ、準備の流れ、請求時に確認したいポイント。
注意点
20歳前傷病の障害年金に焦点を当てた本です。本人の状況によって必要な書類や確認事項は変わるため、年金事務所や専門職へ相談しましょう。
障害者手帳・福祉サービス・医療費助成を理解できる本
障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳があります。また、医療費に関する制度として、自立支援医療や高額療養費制度などがあります。
病気や事故をきっかけに障害や福祉制度を調べ始めた場合、手帳や障害年金だけでなく、入院費用や差額ベッド代、高額療養費についても気になることがあります。
特に入院中に個室を利用した場合、「差額ベッド代は必ず払うのか」「大部屋が満室だった場合も請求されるのか」「高額療養費の対象になるのか」といった疑問が出やすいです。
差額ベッド代の考え方については、こちらの記事で詳しく整理しています。
関連記事:差額ベッド代は払わなくていい?同意書・個室代・大部屋満室の確認ポイント
プロとして知っておきたい!障害福祉サービスのしくみと使い方
制度を少し詳しく知りたい家族や、相談支援専門員・ケアマネジャーと話す機会がある人に向いています。
書名:プロとして知っておきたい!障害福祉サービスのしくみと使い方
編集・著者:中央法規「ケアマネジャー」編集部 編集/福島敏之 著
出版社:中央法規出版
障害者総合支援制度のしくみ、利用方法、各サービスの内容、利用料金などを解説した実務寄りの本です。
どんな人に向いているか
障害福祉サービスを詳しく知りたい家族、支援者、相談窓口との会話を理解しやすくしたい人。
この本で学べること
障害福祉サービスの利用方法、サービスごとの内容、利用料金、制度改正のポイント。
注意点
専門職向けの色があるため、最初は『図解でわかる障害福祉サービス』から読むほうが入りやすいです。
障害のある人が使える支援
知的障害のある本人にもわかりやすい制度本を探している家族に向いています。
書名:障害のある人が使える支援
著者:又村あおい
発行:全国手をつなぐ育成会連合会
簡単な説明とイラストで、福祉サービス、医療費の補助制度、年金、手当などを学べる本です。
どんな人に向いているか
知的障害のある本人、家族、支援学校卒業後の制度を知りたい家族、短い文章とイラストで制度を理解したい人。
この本で学べること
障害者手帳、福祉サービス、医療費補助、年金、手当、住まい、通う・働くサービス、障害のある子どもの支援。
注意点
一般の大手ネット書店では取り寄せになる場合があります。アフィリエイトリンクよりも、団体ページや注文先への案内として紹介するほうが自然です。
改訂 精神・発達・知的障害がある人の経済的支援ガイドブック
お金の制度が不安な人が、障害年金・生活保護・医療費・税制をまとめて確認できる本です。
書名:改訂 精神・発達・知的障害がある人の経済的支援ガイドブック
副題:障害年金と生活保護、遺言、税などのしくみと手続き
著者:青木聖久 編著
出版社:中央法規出版
障害年金、生活保護、高額療養費、自立支援医療、税制など、お金に関わる制度をまとめて学べる本です。
どんな人に向いているか
精神障害、発達障害、知的障害のある本人・家族で、生活費、医療費、税金、年金、生活保護などを整理したい人。
この本で学べること
障害年金、生活保護、傷病手当金、手当、労災、雇用保険、所得控除、高額療養費、自立支援医療など。
注意点
精神・発達・知的障害が中心です。身体障害や難病の場合も参考になりますが、該当制度は自治体や医療機関で確認しましょう。
発達障害の本人・家族におすすめの本
発達障害は、同じ診断名でも特性の現れ方がかなり違います。本を読むときは、「この本に書いてある特徴が全部あてはまるか」ではなく、「本人に合う工夫を探す」つもりで読むのがおすすめです。
発達障害の基礎知識 改訂版
子どもから大人まで、発達障害を広く見渡したい人向けの入門書です。
書名:0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版
著者:宮尾益知
出版社:河出書房新社
幼児期から大人、進学から就職まで、発達障害について幅広く整理できる本です。
どんな人に向いているか
子どもの発達が気になり始めた親、大人になってから発達障害の可能性を考え始めた本人、進学・就職を見据えたい家族。
この本で学べること
ASD、ADHD、学習の困難、家庭・学校・職場での対応、ライフステージごとの支援。
注意点
診断を自己判断するための本ではありません。困りごとが続く場合は、医療機関、発達相談、自治体の相談窓口などにつながりましょう。
発達障害かもだけど、お金のことちゃんとしたい人の本
お金の管理が苦手で、支払い忘れや衝動買いに悩む本人・家族に向いています。
書名:発達障害かもだけど、お金のことちゃんとしたい人の本
著者:岩切健一郎
出版社:ダイヤモンド社
発達障害やグレーゾーンの人が、お金の管理で困りやすい場面に向き合う本です。
どんな人に向いているか
支払い忘れ、衝動買い、貯金の苦手さ、カードやサブスク管理で困っている本人・家族。
この本で学べること
お金の管理を「意思の強さ」だけに頼らず、仕組みで整える考え方。
注意点
福祉制度や障害年金の専門書ではありません。日常のお金の使い方や家計管理を整える本として読みましょう。
成人期の自立に必要な 発達障害のある子のライフスキル支援
進学、就職、一人暮らしを見据えて、生活スキルをどう支えるか考えたい家族向けです。
書名:成人期の自立に必要な 発達障害のある子のライフスキル支援
著者:梅永雄二
出版社:金子書房
時間管理、金銭管理、健康管理、感情調整など、成人後の社会参加に必要なライフスキル支援を扱う本です。
どんな人に向いているか
中学生・高校生・大学生の子どもがいる家族、将来の就労や一人暮らしを見据えたい家族、支援者。
この本で学べること
時間管理、金銭管理、健康管理、感情調整、就労・社会参加に向けた支援。
注意点
本人が一人で読む本というより、家族や支援者が支援方法を学ぶ本です。
発達障害・グレーゾーンで働きづらさを感じている方へ
発達障害やグレーゾーンの特性がある場合、本人の努力だけで仕事や生活の困りごとを解決しようとすると、かなり疲れてしまうことがあります。
本で特性や支援の考え方を学ぶことも大切ですが、就労移行支援、自立訓練、相談支援、医療機関との連携など、外部の支援を使うことも選択肢です。
働きづらさや社会参加の不安がある方は、こちらの記事も参考にしてください。
- 発達障害・グレーゾーンの方へ|自立訓練と就労移行支援の違いと「あなたに合った支援」の見つけ方
- 発達障害の生きづらさに悩むあなたへ|自立訓練「エンラボカレッジ」の特徴と対象を解説
- 生きづらさの原因とは?「気にしすぎる性格」だけではない|認知行動療法の考え方とセルフケア
精神障害・うつ病・統合失調症の本人・家族におすすめの本
精神障害や精神疾患について調べるときは、本人を責めないこと、家族だけで抱え込まないことが大切です。
本で病気や家族対応を学ぶことは大切ですが、医療的な診断や治療方針の判断は主治医や専門機関に相談しましょう。
じょうずな対処 今日から明日へ
統合失調症のある本人と家族が、地域で暮らしていくための学びを得られるテキストです。
書名:全改訂第1版 じょうずな対処 今日から明日へ
副題:学びあい 支えあい リカバリー
発行:COMHBO地域精神保健福祉機構
統合失調症のある本人や家族が、病気の理解、本人への関わり方、地域での暮らしを学ぶためのテキストです。
どんな人に向いているか
統合失調症のある本人の家族、本人との関わり方に悩んでいる人、家族会や学習会で使える本を探している人。
この本で学べること
統合失調症の理解、本人への関わり方、家族の学び、地域での暮らし、リカバリーの考え方。
注意点
治療方針や薬の調整を決める本ではありません。治療については主治医に相談しましょう。
マンガでわかる!統合失調症〔家族の対応編〕
文字だけの専門書がしんどい家族でも、本人への接し方を考えやすい本です。
書名:マンガでわかる!統合失調症〔家族の対応編〕
マンガ・構成:中村ユキ
原案・監修:高森信子
出版社:日本評論社
統合失調症のある本人への接し方を、マンガを通じて学べる本です。
どんな人に向いているか
本人と衝突しやすい家族、どう声をかければよいかわからない人、マンガで学びたい人。
この本で学べること
本人の気持ちの理解、回復力を高める接し方、家族のサポート方法。
注意点
2016年発行の本です。接し方や家族支援の考え方としては参考になりますが、制度情報は最新の公的情報で確認しましょう。
生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患
本人の体験から、精神疾患を外側からではなく内側から理解したい人向けです。
書名:生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患
編著:YPS横浜ピアスタッフ協会/NPO法人コンボ/蔭山正子
監修:夏苅郁子/笠井清登
発行:COMHBO地域精神保健福祉機構
体験者の視点から精神疾患を考える本です。
どんな人に向いているか
本人の気持ちを理解したい家族、支援者、精神疾患を体験者の視点から学びたい人。
この本で学べること
精神疾患のある人の体験、周囲との見え方のズレ、生きづらさを減らす視点。
注意点
体験談は大切ですが、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。本人の言葉を聞く姿勢とあわせて読みましょう。
家族も本人も、心の整理が追いつかないときは
精神疾患や精神障害について調べ始めたばかりの時期は、本人だけでなく家族も混乱しやすいです。
「どう声をかければよいのか」「本人を傷つけていないか」「家族として何をすればよいのか」と悩むこともあります。
本で病気や家族対応を学ぶことは大切ですが、家族だけで抱え込まないことも同じくらい大切です。気持ちの整理やセルフケアについては、こちらの記事でもまとめています。
関連記事:生きづらさの原因とは?「気にしすぎる性格」だけではない|認知行動療法の考え方とセルフケア
※セルフケアやアプリは、医師による診断・治療・カウンセリングの代わりになるものではありません。つらさが強い場合、生活に大きな支障がある場合、自傷や希死念慮がある場合は、医療機関、主治医、精神保健福祉センター、保健所などへ相談してください。
身体障害・高次脳機能障害・難病の本人・家族におすすめの本
身体障害、高次脳機能障害、難病は、原因や症状、使える制度が幅広い分野です。1冊ですべてを理解するのは難しいため、制度の本、疾患別の本、生活支援の情報を組み合わせるのがおすすめです。
病気や事故のあと、入院・転院・リハビリが続いている方へ
脳卒中、骨折、交通事故、難病などをきっかけに障害や後遺症が残った場合、本で制度を学ぶだけでなく、「いま入院している病院の役割」「転院先の選び方」「リハビリがいつまで受けられるのか」も大切になります。
特に急性期病院から回復期リハビリ病院へ転院する場合、家族は短い期間で多くの判断を求められることがあります。転院の理由やリハビリ病院の役割を先に知っておくと、医療機関との話し合いもしやすくなります。
- 入院したばかりなのに転院と言われたら?理由と家族が確認すべきこと
- 病院の機能と役割をわかりやすく解説|急性期・回復期・慢性期の違い
- リハビリ病院とは?入院できる人・期間・回復期リハビリテーション病棟を解説
- リハビリ病院の選び方|実績指数・施設基準・医師体制を家族向けに解説
- リハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位・介護保険移行を解説
高次脳機能障害のリハビリテーション
脳卒中や交通事故のあと、本人の変化に家族が戸惑っているときに読みたい本です。
書名:高次脳機能障害のリハビリテーション
副題:脳損傷後の後遺症に向き合う
監修:橋本圭司
出版社:講談社
高次脳機能障害の基本やリハビリ、日常生活での工夫を学ぶ本です。
どんな人に向いているか
脳卒中、交通事故、脳外傷などのあとに、記憶、注意、感情、段取り、社会生活で困りごとが出ている本人・家族。
この本で学べること
高次脳機能障害の基本、リハビリ、日常生活での工夫。
注意点
本人の症状はかなり個別性があります。リハビリ方針は主治医、リハビリ職、医療ソーシャルワーカーと相談しましょう。
私の夫は高次脳機能障害です
退院後の生活で、家族が「病院では見えなかった困りごと」に直面したときに助けになる本です。
書名:私の夫は高次脳機能障害です
副題:本人・家族がおだやかに暮らすための妻たちの知恵 夫の行動研究から
監修:奥宮暁子
編著:薮中弘美・ポロミナ編集部
出版社:医歯薬出版
高次脳機能障害のある夫と暮らす妻たちの知恵をまとめた本です。
どんな人に向いているか
高次脳機能障害のある配偶者と暮らしている人、退院後の生活に戸惑っている家族、医療・福祉職。
この本で学べること
病院では見えにくい生活上の困りごと、家族の対応、介護者自身のケア。
注意点
制度の最新情報を追う本というより、家族の生活の工夫を学ぶ本です。家族だけで抱え込まず、医療職や福祉職とつながりましょう。
難病については公的情報もあわせて確認する
難病については、疾患ごとに症状、医療費助成、生活支援、就労支援が大きく変わります。書籍だけでなく、難病情報センターや自治体の情報も確認しましょう。
難病の場合、医療費助成、障害者手帳、障害年金、介護保険、障害福祉サービス、就労支援などが関係することがあります。本人の状況によって使える制度が異なるため、主治医、医療ソーシャルワーカー、自治体の相談窓口に確認しましょう。
知的障害・自閉スペクトラム症の家族におすすめの本
知的障害や自閉スペクトラム症の本は、制度の本と、本人の感じ方を知る本の両方が役立ちます。
障害のある人が使える支援
本人にもわかりやすい言葉で、制度の入口を学べる本です。
書名:障害のある人が使える支援
著者:又村あおい
発行:全国手をつなぐ育成会連合会
障害者手帳、お金、相談、住まい、通う・働くサービス、障害のある子どもの支援を、短い文章とイラストで学べる本です。
どんな人に向いているか
知的障害のある本人、家族、支援学校卒業後の制度を知りたい家族。
この本で学べること
福祉サービス、年金、手当、医療費、住まい、日中活動、就労系サービス。
注意点
取り寄せになることがあります。一般書店より、団体ページや育成会経由の注文を確認しましょう。
はじめてまなぶ自閉スペクトラム症
ASDを少し深く学びたい家族・支援者に向いています。
書名:はじめてまなぶ自閉スペクトラム症
副題:診断から実践へ
著者:本田秀夫
出版社:金剛出版
自閉スペクトラム症について、診断から支援実践への考え方を学べる本です。
どんな人に向いているか
ASDについて少し深く学びたい親、支援者、学校や職場での理解を深めたい人。
この本で学べること
自閉スペクトラム症の基本、診断から支援実践への考え方、当事者や家族の視点。
注意点
最初の1冊としてはやや専門的に感じる人もいます。入門書を読んだあとに読むと理解しやすいでしょう。
自閉症の僕が、今も跳びはねる理由
本人の内側の世界を知りたい家族や支援者に向いています。
書名:自閉症の僕が、今も跳びはねる理由
著者:東田直樹
出版社:KADOKAWA
自閉症のある著者の言葉から、本人の感覚や伝えにくさ、周囲の理解の大切さを考える本です。
どんな人に向いているか
子どもや家族の行動を「困った行動」とだけ見てしまいがちなとき、本人の感じ方を知りたい家族や支援者。
この本で学べること
自閉症のある本人の感覚、伝えにくさ、周囲の理解の大切さ。
注意点
著者個人の体験として読むことが大切です。すべての自閉スペクトラム症の人に同じように当てはめないようにしましょう。
親なき後・成年後見・相続を考えるおすすめ本
親なき後は、「お金を残すこと」だけではありません。
住まい、日中活動、医療、福祉サービス、相談先、本人の意思、きょうだいの負担、成年後見、相続などを少しずつ整理していくテーマです。
障害のある子が安心して暮らすために
親なき後を考え始めた家族が、福祉とお金の両方から将来を整理しやすい本です。
書名:障害のある子が安心して暮らすために
副題:支援者が知っておきたいお金・福祉・くらしのしくみと制度
著者:渡部伸
出版社:合同出版
親なき後の生活を組み立てるために、福祉とお金の両方を考える本です。
どんな人に向いているか
障害のある子どもがいる親、成人した子どもの将来を考える家族、きょうだいや親戚として何を準備すればよいか知りたい人。
この本で学べること
親なき後、住まい、福祉サービス、お金、本人の希望、家族だけで抱え込まない考え方。
注意点
成年後見、相続、家族信託、生活保護、障害年金、住まいなどが絡みます。本だけで決めず、自治体や権利擁護窓口、法律職、福祉職へ相談しましょう。
障害や生きづらさのある子が生涯受けられる支援やサービスの上手な使い方
制度、施設、専門家を横断して、親亡き後への備えを考えたい家族に向いています。
書名:障害や生きづらさのある子が生涯受けられる支援やサービスの上手な使い方
著者:弁護士法人AURA
出版社:秀和システム
制度、施設、専門家、公的支援、親亡き後の備えを横断的に学べる本です。
どんな人に向いているか
親なき後、手帳、生活保護、家族信託、財産管理、施設や専門家について横断的に知りたい家族。
この本で学べること
生涯にわたる支援制度、施設、専門家、親亡き後の準備、公的支援の活用。
注意点
法律や財産管理に関する内容は、本人や家族の状況によって判断が変わります。弁護士、司法書士、税理士、社会福祉士などへの相談も検討しましょう。
改訂新版 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本
親なき後の財産管理、成年後見、相続を考え始めた家族向けです。改訂新版 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本親なき後の財産管理、成年後見、相続を考え始めた家族向けです。
書名:改訂新版 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本
著者:鹿内幸四朗
監修:杉谷範子
出版社:大和出版
親なき後のお金、財産管理、成年後見、相続などを考える本です。
どんな人に向いているか
障害のある子どもの将来のお金が不安な親、成年後見や相続を初めて調べる家族。
この本で学べること
親なき後の財産管理、成年後見、相続、家族が準備する考え方。
注意点
法律や財産管理は個別性が非常に高い分野です。成年後見、家族信託、遺言、相続については、弁護士、司法書士、税理士、社会福祉士などの専門職に相談しましょう。
きょうだいの進路・結婚・親亡きあと
障害のある兄弟姉妹がいる“きょうだい”の不安に、正面から向き合う本です。
書名:きょうだいの進路・結婚・親亡きあと
副題:50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます
著者:藤木和子
出版社:中央法規出版
障害のある兄弟姉妹がいる「きょうだい」の不安に、きょうだいであり弁護士でもある著者がQ&A形式で答える本です。
どんな人に向いているか
障害のある兄弟姉妹がいる人、親亡き後に自分がすべて背負うのではないかと不安な人、親がきょうだいの気持ちを知りたいとき。
この本で学べること
きょうだいの不安、扶養、結婚、進路、親亡き後、法律面からの整理。
注意点
親が読む場合は、「きょうだいに将来を背負わせるため」ではなく、「きょうだいの気持ちを知るため」に読むのがおすすめです。
障害のある人の仕事・就労支援におすすめの本
障害のある本人が働くときは、「一般就労か福祉的就労か」だけでなく、体調、通院、合理的配慮、職場との相性、支援機関とのつながりが大切です。
本で学んだあと、実際の就職・転職支援も確認しておく
仕事や就労支援については、本で制度や考え方を学ぶだけでなく、実際に使える支援機関やサービスを知っておくことも大切です。
障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、民間の転職支援サービスなど、選択肢はいくつかあります。
働くことを具体的に考え始めた方は、こちらの記事も参考にしてください。
図解でわかる障害者雇用と就労支援
働くことを考え始めた本人・家族が、就労支援の全体像をつかみやすい本です。
書名:図解でわかる障害者雇用と就労支援
著者:二本柳覚、山下朋美 編著
出版社:中央法規出版
障害者雇用の法制度、支援体制、障害特性、合理的配慮、助成制度、実践事例を図とイラストで理解できる入門書です。
どんな人に向いているか
障害者雇用を考えている本人、家族、就労移行支援や就労継続支援について知りたい人、企業側の視点も知りたい人。
この本で学べること
障害者雇用の制度、合理的配慮、就労支援機関、助成制度、職場での実践例。
注意点
就労支援は地域資源の差が大きい分野です。ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、相談支援専門員などに相談しましょう。
就労選択支援ガイドブック
新しい就労選択支援を詳しく知りたい支援者・家族向けです。
書名:就労選択支援ガイドブック
編集:前原和明
出版社:中央法規出版
本人の希望や適性をふまえた就労先・働き方の選択を支援するための本です。
どんな人に向いているか
就労選択支援という新しい制度を知りたい支援者、詳しく制度を知りたい家族、本人に合う働き方を考えたい人。
この本で学べること
就労選択支援の理念、就労アセスメント、本人の希望や適性をふまえた働き方の選択支援。
注意点
支援者向けの本です。本人・家族が最初に読むなら『図解でわかる障害者雇用と就労支援』のほうが入りやすいでしょう。
精神障害者枠で働く 雇用のカギ 就労のコツ 支援のツボ
精神障害のある人の雇用事例や働き続ける工夫を知りたい人向けです。
書名:精神障害者枠で働く 雇用のカギ 就労のコツ 支援のツボ
著者:里中高志
出版社:中央法規出版
精神障害者雇用に取り組む企業事例や、働き続けるためのポイントを学べる本です。
どんな人に向いているか
精神障害のある本人、家族、就職や復職を考えている人、企業や支援者。
この本で学べること
精神障害者雇用の事例、働き続けるためのポイント、企業側の工夫。
注意点
2014年発行で、現在の制度とは異なる部分がある可能性があります。考え方や事例として参考にし、障害者雇用率や就労支援制度は最新情報を確認しましょう。
家族や支援者の心が軽くなる本
制度の本は大切ですが、家族が疲れきっているときに、制度本だけを読むのはしんどいものです。
そんなときは、本人の視点、家族の体験、きょうだいの気持ちに触れる本が助けになることがあります。
本人の視点を知りたいとき
『自閉症の僕が、今も跳びはねる理由』は、自閉症のある本人の内側の世界を知る本として、家族の心を少しやわらげてくれる一冊です。本人の行動を「困った行動」とだけ見ず、「何か理由があるのかもしれない」と考えるきっかけになります。
配偶者として支える生活に悩むとき
『私の夫は高次脳機能障害です』は、入院後の生活で見えてくる困りごとを、家族の視点から知る本です。制度の説明だけでは届かない、家族の暮らしの実感を学べます。
きょうだいの不安を知りたいとき
『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと』は、親にも本人にも言いにくい、きょうだいの不安に向き合う本です。親が読む場合は、きょうだいに負担を背負わせるためではなく、きょうだいの気持ちを知るために読むのがおすすめです。
精神疾患のある本人の体験を知りたいとき
『生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患』は、体験者の視点から精神疾患を考える本です。家族や支援者が「外から見る理解」だけに偏らないための一冊になります。
本で全体像をつかんだら、次は「相談先」と「生活の場」を整理する
本を読むと、制度名や支援の種類は少しずつ見えてきます。
ただ、実際の生活では、制度を知るだけでは足りないことがあります。
- 今の病院にどこまで入院できるのか
- 退院後は自宅、施設、グループホーム、リハビリ病院のどこがよいのか
- 医療保険のリハビリから介護保険へ移る時期はいつなのか
- 障害福祉サービスと介護保険のどちらを使うのか
- 本人が働きたい場合、どこに相談すればよいのか
- 家族が介護や支援を続けられない場合、どこに助けを求めるのか
こうしたことは、本だけで決めるより、病院の相談窓口、市区町村、相談支援専門員、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどと一緒に整理したほうが現実的です。
入院中や転院前後で不安が強い方は、以下の記事も参考になります。
- 入院したばかりなのに転院と言われたら?理由と家族が確認すべきこと
- リハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位・介護保険移行を解説
- リハビリ病院とは?入院できる人・期間・回復期リハビリテーション病棟を解説
本だけでは解決しないこと
本は、制度や支援を知るための入口です。けれど、実際の手続きは、本人の年齢、障害の状態、世帯の収入、保険料納付状況、住んでいる自治体、家族構成によって変わります。
次のような相談先につながることも、同じくらい大切です。
市区町村の障害福祉窓口
障害者手帳、障害福祉サービス、補装具、日常生活用具、相談支援などの入口になります。まずは住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口に確認しましょう。
相談支援専門員・基幹相談支援センター
障害福祉サービスを利用するとき、サービス等利用計画の作成やモニタリングなどに関わります。本人や家族の生活全体を見ながら、必要なサービスにつなぐ役割があります。
医療ソーシャルワーカー
入院中、退院前後、医療費、生活費、福祉制度、仕事、介護、住まいの相談に関わることがあります。病院によっては、地域医療連携室、医療相談室、患者支援センターなどの名称で相談窓口が設置されています。
年金事務所・街角の年金相談センター
障害年金については、年金事務所や街角の年金相談センターで相談できます。初診日、年金加入状況、保険料納付状況、必要書類などを確認しましょう。
社会保険労務士
障害年金の請求が複雑な場合、障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談する方法もあります。依頼には費用がかかることが多いため、契約前に料金体系を確認しましょう。
福祉事務所
生活に困っている場合は、生活保護の相談も選択肢になります。生活保護の相談・申請は、住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当が窓口になります。
地域包括支援センター
高齢の家族、介護保険、認知症、介護と障害が重なる場合は、地域包括支援センターが相談先になることがあります。障害福祉と介護保険の両方が関係する場合は、市区町村やケアマネジャー、相談支援専門員に確認しましょう。
成年後見・相続・家族信託の相談先
成年後見、相続、遺言、家族信託は法律や税金が関わります。弁護士、司法書士、税理士、社会福祉士など、複数の専門職に相談しながら進めるのが安全です。
よくある質問
障害者手帳と障害年金は同じ制度ですか?
同じではありません。
障害者手帳は、福祉サービスや各種支援、割引制度などにつながる制度です。一方、障害年金は公的年金制度です。
手帳があるから必ず障害年金を受け取れるわけではなく、障害年金には初診日、障害の状態、保険料納付要件などの確認が必要です。
本を読めば、障害年金を受け取れるかわかりますか?
大まかな考え方は学べますが、受給できるかどうかは個別事情によります。
障害年金は、初診日、保険料納付状況、診断書、病歴・就労状況等申立書などが重要です。年金事務所、街角の年金相談センター、障害年金に詳しい社会保険労務士などに相談しましょう。
制度の本は古いものでも読んでいいですか?
考え方や家族の向き合い方を学ぶ本としては、古い本でも役立つことがあります。
ただし、制度、金額、申請先、様式、対象者の条件は変わることがあります。古い本を読む場合は、必ず自治体、年金事務所、公的機関の最新情報で確認しましょう。
本人に本を読ませたほうがよいですか?
本人の状態や希望によります。
無理に読ませるより、家族が先に読み、本人の気持ちを尊重しながら必要な情報を一緒に整理するほうがよい場合もあります。本人が読みやすい本を選ぶ場合は、短い文章、図解、マンガ、イラストが多い本から始めると負担が少ないことがあります。
親なき後はいつから考えればいいですか?
「今すぐ全部決める」必要はありませんが、早めに少しずつ考えることは大切です。
住まい、日中活動、お金、支援者、医療、きょうだいの気持ち、成年後見、相続などを、一度に決めようとすると苦しくなります。まずは本で全体像を知り、相談支援専門員、市区町村、権利擁護相談窓口、法律職などにつながりましょう。
障害のある家族について調べるとき、本とネット検索はどちらがよいですか?
どちらも役立ちます。
本は、制度や支援の全体像を順番に理解しやすいのがメリットです。一方で、制度改正や自治体ごとの運用までは追いきれないことがあります。
ネット検索は最新情報を確認しやすい一方で、情報が断片的になりやすく、何から読めばよいかわからなくなることがあります。
おすすめは、まず本で全体像をつかみ、その後に市区町村、年金事務所、医療機関、相談支援専門員などの最新情報を確認する流れです。
病気や事故のあとに障害が残った場合、まず何を調べればよいですか?
まずは、今後の医療、リハビリ、生活支援、お金の制度を分けて整理するとよいです。
- 医療やリハビリについては、主治医やリハビリ職、医療ソーシャルワーカーへ相談
- 退院後の生活については、病院の相談窓口、市区町村、地域包括支援センターへ相談
- 障害福祉サービスについては、市区町村の障害福祉窓口へ相談
- 障害年金については、年金事務所や街角の年金相談センターへ相談
入院中や転院前後の不安がある方は、転院と言われたときに家族が確認すべきことも参考にしてください。
障害のある本人が働きたいと言った場合、家族は何から調べればよいですか?
まずは、本人の希望、体調、通院状況、働ける時間、必要な配慮を整理しましょう。
そのうえで、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援、就労継続支援、民間の障害者向け就職・転職支援などを確認します。
仕事や就労支援については、障害があっても“自分らしく働く”転職・就職完全ガイドでも詳しく整理しています。
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障害や福祉制度について調べ始めた方は、本で全体像をつかんだあと、医療費・退院後の生活・リハビリ・仕事の支援もあわせて確認しておくと安心です。
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まとめ|まず1冊読むことで、不安を整理できる
障害のある本人や家族が、最初からすべての制度を理解する必要はありません。
まずは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 障害福祉サービスの全体像を知る
- お金の制度を知る
- 手帳、医療費助成、障害年金の違いを知る
- 本人の暮らしと仕事を考える
- 家族だけで抱え込まず、相談先につながる
- 親なき後や相続は、早めに少しずつ考える
最初の1冊を読むだけでも、「何がわからないのか」が見えてきます。
本は、答えを全部くれるものではありません。けれど、不安でいっぱいのときに、頭の中を整理してくれる地図にはなります。
焦らなくて大丈夫です。
まずは、今いちばん困っていることに近い1冊から読んでみてください。


