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病気や事故で障害が残ったら何を申請する?障害者手帳・障害年金・福祉サービスの順番を解説

医療・介護情報

執筆:事務長のトントン
最終更新日:2026年5月21日

病気や事故のあと、障害が残ったり、仕事や生活に支障が出たりした場合、障害者手帳・障害年金・障害福祉サービス などの制度を利用できる可能性があります。

ただし、これらの制度は、目的も申請先もタイミングも異なります。入院中や退院前に確認した方がよい制度もあれば、初診日から一定期間が経ってから申請する制度もあります。

この記事では、本人や家族が迷わないように、病気や事故のあとに確認したい制度、申請の優先順位、必要書類、入院中・外来通院中によくある申請パターンを整理します。

制度の対象者、必要書類、申請方法は、自治体・加入している健康保険・年金加入状況・障害の状態によって異なります。実際に申請する際は、市区町村の障害福祉窓口、年金事務所、加入している健康保険、医療機関の相談窓口などで確認してください。

あわせて読みたい
障害や福祉制度について、本で少し整理してから相談したい方は、障害のある本人・家族におすすめの本|制度・お金・仕事・親なき後を最初に学ぶ も参考になります。


  1. まず結論:病気や事故のあとに確認する順番
  2. 障害者手帳・障害年金・障害福祉サービスの違い
  3. 障害者手帳とは
    1. 身体障害者手帳
    2. 療育手帳
    3. 精神障害者保健福祉手帳
    4. 障害者手帳で受けられる主な支援
  4. 障害年金とは
    1. 初診日とは
    2. 障害基礎年金
    3. 障害厚生年金
    4. 障害年金の請求タイミング
    5. 障害年金で必要になりやすい書類
  5. 障害福祉サービスとは
    1. 主な障害福祉サービス
    2. 障害福祉サービスの申請フロー
    3. 障害者手帳がなくても使える場合がある
  6. 自立支援医療も確認する
  7. 介護保険との関係
  8. 誰が、いつ、どこに申請する?
  9. 入院中によくある申請パターン
    1. パターン1:入院費・手術費が高い
    2. パターン2:脳卒中・脊髄損傷・骨折などで退院後の介助が必要
    3. パターン3:仕事中・通勤中の事故で入院した
    4. パターン4:交通事故で入院し、後遺症が残りそう
    5. パターン5:精神科入院後、退院して地域生活に戻る
  10. 外来通院中によくある申請パターン
    1. パターン1:精神科・心療内科に通院している
    2. パターン2:難病・慢性疾患で通院している
    3. パターン3:復職・再就職を目指している
    4. パターン4:家族の介護負担が大きい
  11. 必要書類の早見表
  12. 家族・親族が最初にまとめておくとよいこと
  13. 相談先の使い分け
  14. よくある質問
    1. Q1. 病気や事故のあと、最初に申請する制度は何ですか?
    2. Q2. 障害者手帳がないと障害年金はもらえませんか?
    3. Q3. 障害者手帳がないと障害福祉サービスは使えませんか?
    4. Q4. 入院中でも申請できますか?
    5. Q5. 家族だけで年金事務所に相談できますか?
    6. Q6. 障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じですか?
    7. Q7. 精神障害者保健福祉手帳はいつ申請できますか?
    8. Q8. 障害年金は退院したらすぐ申請できますか?
    9. Q9. 傷病手当金と障害年金は同じものですか?
    10. Q10. 交通事故の後遺障害等級と障害者手帳の等級は同じですか?
    11. Q11. 退院後に介助が必要な場合、どこに相談すればいいですか?
    12. Q12. 障害者手帳と自立支援医療は同時に申請できますか?
  15. まとめ:申請の順番を間違えないことが大切
  16. 参考ソース
  17. 執筆者

まず結論:病気や事故のあとに確認する順番

病気や事故の直後は、いきなり障害者手帳や障害年金から調べるよりも、まず 医療費、休業中の収入、退院後の生活支援 を確認することが大切です。

病気や事故のあとに確認する制度の優先順位。まずは医療費・休業中の収入・退院後の生活支援から確認します。
状況まず確認する制度相談先・申請先タイミング
入院費・治療費が高い高額療養費、限度額適用、マイナ保険証加入している健康保険、病院窓口入院・高額治療が分かった時点
会社を休んで給与が出ない、少ない傷病手当金勤務先、協会けんぽ・健康保険組合業務外の病気やけがで休職したとき
仕事中・通勤中の事故やけが労災保険勤務先、労働基準監督署できるだけ早く
交通事故でけがをした自賠責保険、任意保険、後遺障害手続き保険会社、弁護士、交通事故相談窓口治療中から記録を残す
退院後に介助・家事・通院支援が必要障害福祉サービス、介護保険市区町村の障害福祉窓口、病院の医療ソーシャルワーカー入院中、退院前
障害が残りそう障害者手帳市区町村の障害福祉窓口障害の状態が続く見込みになったとき
長期的に働けない、生活に大きな制限がある障害年金年金事務所、市区町村の国民年金担当原則、初診日から1年6か月前後
精神科通院、人工透析など継続医療がある自立支援医療市区町村窓口、医療機関継続通院が見込まれる時点

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が1か月の上限額を超えた場合、その超えた額が支給される制度です。入院や高額治療が見込まれる場合は、マイナ保険証の利用や限度額適用認定証により、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられる場合があります。
参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ

また、入院費では医療費だけでなく、差額ベッド代、病衣・タオルリース、洗濯代、文書料などの保険外費用がかかることがあります。個室代や大部屋満室時の扱いが気になる方は、差額ベッド代は払わなくていい?同意書・個室代・大部屋満室の確認ポイント もあわせて確認してください。入院中の洗濯やリース、洗濯代行については、入院中の洗濯はどうする?リース・自前洗濯・洗濯代行を比較|生活保護の場合も解説 で詳しく整理しています。

業務外の病気やけがで会社を休む場合は、健康保険の傷病手当金が使えることがあります。傷病手当金は、業務外の病気やけがで療養中であること、仕事に就けないこと、連続3日間の待期後4日目以降に仕事に就けないこと、給与の支払いがないことなどが要件になります。
参考:協会けんぽ「傷病手当金

仕事中または通勤中のけが・病気では、労災保険の対象になる可能性があります。交通事故では、自賠責保険や任意保険、後遺障害手続きが関係します。自賠責保険では、傷害、死亡、後遺障害について支払限度額が定められており、傷害では治療費、文書料、休業損害、慰謝料などが対象となります。
参考:国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容


障害者手帳・障害年金・障害福祉サービスの違い

病気や事故のあとによく出てくる中心制度は、主に 障害者手帳・障害年金・障害福祉サービス の3つです。

障害者手帳は「証明」、障害年金は「所得保障」、障害福祉サービスは「生活支援」と考えると整理しやすくなります。
制度目的主な窓口主なポイント
障害者手帳障害があることを公的に示し、各種支援や割引、税制上の制度などを使いやすくする市区町村の障害福祉窓口身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類
障害年金病気やけがで生活や仕事に制限が出た場合の所得保障年金事務所、市区町村の国民年金担当初診日、障害認定日、保険料納付要件が重要
障害福祉サービス自宅生活、外出、就労、日中活動、住まいなどを支える市区町村の障害福祉窓口支給決定、受給者証、サービス等利用計画が関係する

障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の総称です。手帳を持つことで、障害者総合支援法の対象となったり、自治体や事業者が独自に提供するサービスを利用できたりする場合があります。
参考:厚生労働省「障害者手帳について

障害年金は、障害者手帳とは別の制度です。障害基礎年金では、初診日、障害認定日の障害状態、保険料納付要件などを満たす必要があります。障害厚生年金では、初診日に厚生年金保険の被保険者であることなどが要件になります。
参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

障害福祉サービスは、個々の障害の程度、社会活動、介護者の状況、居住状況などを踏まえて個別に支給決定されるサービスです。介護の支援を受ける「介護給付」と、訓練等の支援を受ける「訓練等給付」に分けられます。
参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて


障害者手帳とは

障害者手帳は、障害のある人が各種制度や支援を利用しやすくするための公的な手帳です。手帳の種類によって、対象となる障害や申請方法が異なります。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた人に交付される手帳です。申請には、指定医の診断書・意見書、本人写真などが必要です。判定や交付の具体的な運用は自治体によって異なるため、市区町村の障害福祉窓口で確認します。

療育手帳

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害があると判定された人に交付される手帳です。制度の運用や判定基準は自治体ごとに定められているため、具体的な手続きは住んでいる市区町村の窓口で確認します。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定する手帳です。等級は1級から3級まであり、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断されます。

診断書で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合、診断書が初診日から6か月以上経過した時点のものであることが必要です。また、手帳の有効期限は2年間で、更新を希望する場合は更新手続きが必要です。
参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について

障害者手帳で受けられる主な支援

障害者手帳で受けられる支援には、国の制度、自治体の制度、民間事業者の制度があります。代表的なものは次のとおりです。

分野主な内容
税金所得税・住民税の障害者控除など
交通鉄道、バス、タクシー、有料道路などの割引・助成
公共料金NHK受信料の免除・減免など
福祉補装具、日常生活用具、障害福祉サービスなど
就労障害者雇用、就労支援、職場配慮
生活公共施設利用料の減免、公営住宅関連の制度など

所得税では、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合、障害者控除を受けられることがあります。控除額は、一般の障害者、特別障害者、同居特別障害者で異なります。
参考:国税庁「No.1160 障害者控除

鉄道運賃の割引は事業者ごとに扱いが異なります。JR東日本では、身体障害者、知的障害者、精神障害者について、自治体発行の障害者手帳に旅客運賃減額欄の第1種または第2種の記載がある場合などに、割引対象となる案内があります。
参考:JR東日本「障害者割引制度のご案内

NHK受信料については、障害のある方がいる世帯などを対象に、一定の条件で全額免除または半額免除となる制度があります。免除を受けるには申請が必要です。
参考:NHK「受信料免除の対象となる方について


障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が出た場合に受け取れる可能性がある公的年金です。障害者手帳とは別制度であり、手帳の等級と障害年金の等級は一致するとは限りません。

障害年金で特に重要なのは、初診日障害認定日 です。障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を過ぎた日です。ただし、1年6か月以内に症状が固定した場合は、その日が障害認定日になる場合があります。
参考:日本年金機構「障害年金のご案内

初診日とは

初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。転院している場合でも、原則として最初に受診した医療機関の日が初診日になります。

障害年金では、初診日にどの年金制度に加入していたか、保険料納付要件を満たしているかが重要です。そのため、最初に受診した病院名、受診日、紹介状、診察券、領収書、薬の記録などは、できるだけ保管しておくことが大切です。

障害基礎年金

障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた人、20歳前に初診日がある人、または60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる間に初診日がある人などが対象になり得ます。

受給には、初診日要件、障害認定日の障害状態、保険料納付要件を満たす必要があります。20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要です。

障害厚生年金

障害厚生年金は、初診日に厚生年金保険の被保険者であった場合に対象になり得ます。障害厚生年金では1級、2級、3級のほか、一定の条件を満たす場合に障害手当金の対象となることがあります。

障害年金の請求タイミング

障害年金の請求には、主に次の2つがあります。

請求の種類内容
障害認定日による請求障害認定日に障害年金の基準に該当している場合の請求
事後重症による請求障害認定日には該当しなかったが、その後状態が悪化した場合の請求

事後重症による請求では、請求が遅れると受け取り開始も遅れます。生活や仕事への制限が続いている場合は、初診日から1年6か月が近づいた時点で、年金事務所や専門家に相談しておくとよいでしょう。

障害年金で必要になりやすい書類

書類内容
年金請求書年金事務所や市区町村窓口に備え付け
医師の診断書所定様式。障害認定日や請求日前の状態を記載
受診状況等証明書初診時の医療機関と診断書作成医療機関が違う場合、初診日確認に使う
病歴・就労状況等申立書発病から現在までの経過、生活や仕事の状況を本人側が説明する書類
受取先金融機関の通帳等本人名義の口座情報
第三者行為事故に関する書類交通事故など第三者行為の場合に必要となることがある

障害年金の請求では、医師の診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などが重要です。初診時の医療機関と診断書作成医療機関が異なる場合は、初診日を確認するために受診状況等証明書が必要になります。


障害福祉サービスとは

障害福祉サービスは、障害のある人が日常生活や社会生活を送るために必要な支援を受ける制度です。自宅での介助、外出支援、日中活動、就労支援、住まいの支援などがあります。

障害福祉サービスは、障害の程度、社会活動、介護者の状況、居住状況などを踏まえて個別に支給決定されます。制度上は、介護を中心とする「介護給付」と、訓練や就労支援などを中心とする「訓練等給付」に分けられます。

主な障害福祉サービス

サービス内容使う場面
居宅介護自宅での入浴、排せつ、食事、調理、洗濯、掃除など退院後、自宅で介助が必要
重度訪問介護常時介護が必要な人への長時間支援、外出支援、入院中の意思疎通支援など重い障害で長時間の支援が必要
同行援護視覚障害のある人の外出支援通院、買い物、移動
行動援護知的障害・精神障害などで行動上の支援が必要な人への支援外出時の危険回避、行動支援
短期入所介護者の病気や休養などの際に短期間入所する家族の負担軽減、緊急時
生活介護日中の介護、創作活動、生産活動など日中の居場所、介護、活動
自立訓練身体機能や生活能力を高める訓練退院後の生活再建
就労移行支援一般就労に向けた訓練・求職活動支援復職・就職を目指す
就労継続支援A型・B型働く場や生産活動の機会を提供一般就労が難しいが働きたい
就労定着支援就職後の職場定着を支援就職後の生活・職場課題の調整
共同生活援助グループホームでの生活支援家族と離れて暮らす、一人暮らしが難しい
自立生活援助一人暮らしの定期訪問・相談退院・退所後の単身生活

居宅介護では、入浴、排せつ、食事などの介護や、調理、洗濯、掃除などの家事、生活全般の援助を受けられます。重度訪問介護では、常時介護が必要な人に、居宅での介護、家事、外出支援、入院中の意思疎通支援などが行われます。

同行援護は視覚障害により移動が著しく困難な人への外出支援、行動援護は知的障害や精神障害により行動上の支援が必要な人への支援です。短期入所は、介護者の病気などで短期間の入所が必要な場合に、施設で入浴・排せつ・食事の介護などを行います。

障害福祉サービスの申請フロー

自治体によって細かな違いはありますが、障害福祉サービスの利用は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 市区町村の障害福祉窓口に相談
  2. 利用申請
  3. 必要に応じて障害支援区分の認定調査
  4. サービス等利用計画案の作成
  5. 市区町村による支給決定
  6. 障害福祉サービス受給者証の発行
  7. サービス提供事業所と契約
  8. サービス利用開始

障害福祉サービスは、申請したその日からすぐ利用できるとは限りません。退院後すぐに自宅介助や通院支援が必要になりそうな場合は、入院中から病院の医療ソーシャルワーカーや市区町村の障害福祉窓口へ相談しておくことが重要です。

発達障害、グレーゾーン、精神疾患などで、生活の立て直しや就労準備に悩んでいる場合は、自立訓練と就労移行支援の違いと「あなたに合った支援」の見つけ方 も参考になります。

障害者手帳がなくても使える場合がある

障害福祉サービスは、障害者手帳がないと絶対に利用できない制度ではありません。対象となる難病の方は、障害者手帳を持っていなくても、必要と認められた支援を受けられる場合があります。

厚生労働省の資料では、令和7年4月1日から障害福祉サービス等の対象となる難病が369疾病から376疾病へ見直され、対象疾病に罹患していることがわかる証明書を持参して市区町村の窓口に申請するよう案内されています。
参考:厚生労働省「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます

対象疾病に該当するかどうか、どのサービスが使えるかは個別判断になります。難病、精神疾患、発達障害、高次脳機能障害などで生活に支障がある場合は、「手帳がないから無理」と決めつけず、市区町村の障害福祉窓口に相談してください。


自立支援医療も確認する

自立支援医療は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度です。種類は、精神通院医療、更生医療、育成医療です。
参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要

種類主な対象
精神通院医療統合失調症などの精神疾患があり、通院による精神医療を継続的に必要とする人
更生医療身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の人で、障害を除去・軽減する治療により効果が期待できる人
育成医療身体に障害を有する18歳未満の児童で、障害を除去・軽減する治療により効果が期待できる人

精神科・心療内科への継続通院がある場合は、精神障害者保健福祉手帳よりも先に、自立支援医療の精神通院医療を検討することがあります。また、人工関節、ペースメーカー、腎移植、人工透析などでは、更生医療・育成医療が関係する場合があります。

生きづらさ、反芻思考、白黒思考、過緊張などがあり、セルフケアの考え方も整理したい方は、生きづらさの原因とは?「気にしすぎる性格」だけではない|認知行動療法の考え方とAwarefy活用法 も参考になります。


介護保険との関係

65歳以上の人、または40歳以上65歳未満で特定疾病により介護保険の対象となる人は、障害福祉サービスと介護保険サービスの調整が必要になることがあります。

訪問介護と居宅介護・重度訪問介護のように、サービス内容が重なる場合は、介護保険サービスが優先されることがあります。一方で、障害福祉サービス固有の支援が必要な場合や、介護保険サービスだけでは必要な支援量が足りない場合は、障害福祉サービスを併用できる場合があります。

介護保険の対象になる年齢の方は、障害福祉窓口だけでなく、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護保険担当窓口にも相談しましょう。


誰が、いつ、どこに申請する?

基本的には、申請者は本人です。ただし、病気や事故の直後、入院中、認知機能や精神状態に不安がある場合などは、家族・親族が書類準備や窓口相談を手伝うことが多くあります。

年金相談や手続きを代理人に委任する場合、日本年金機構は、委任者本人が作成した委任状の提出が必要と案内しています。本人が病気やけがで委任状を作成できない場合は、年金事務所などへ相談します。
参考:日本年金機構「年金相談や手続きを代理人に委任するとき

制度申請先主に動く人申請・相談のタイミング
高額療養費・限度額適用加入している健康保険、病院窓口本人、家族が補助入院・高額治療が分かった時点
傷病手当金健康保険、勤務先本人、勤務先、医師業務外の病気やけがで休職したとき
労災保険労働基準監督署、勤務先本人、勤務先仕事中・通勤中の事故後すぐ
自賠責・任意保険保険会社本人、家族、弁護士など交通事故後、治療中から
自立支援医療市区町村窓口本人、家族が補助継続通院が見込まれるとき
障害者手帳市区町村の障害福祉窓口本人、家族が補助障害状態が続く見込みになったとき
障害福祉サービス市区町村の障害福祉窓口本人、家族、相談支援専門員退院前、在宅生活に支援が必要な時点
障害年金年金事務所、市区町村本人、家族が補助、社労士など原則、初診日から1年6か月前後
制度ごとの申請タイミングは異なります。入院中から準備できるもの、初診日から一定期間が必要なものを分けて確認しましょう。

入院中によくある申請パターン

パターン1:入院費・手術費が高い

入院費や手術費が高くなりそうな場合は、まず高額療養費制度と限度額適用を確認します。協会けんぽは、医療費が高額になりそうな場合、マイナ保険証の利用または限度額適用認定証の提示が便利と案内しています。
参考:協会けんぽ「限度額適用認定証

動き方

  1. 病院の会計窓口、医事課に相談する
  2. マイナ保険証で限度額情報を提供できるか確認する
  3. 必要に応じて、加入している健康保険に限度額適用認定証を申請する
  4. 入院が長引く場合は、高額療養費、多数回該当、医療費控除も後で確認する

入院中は、医療費以外にも差額ベッド代、入院セット、洗濯代、食事代などが気になりやすい時期です。費用の全体像を確認したい場合は、差額ベッド代は払わなくていい?同意書・個室代・大部屋満室の確認ポイント入院中の洗濯はどうする?リース・自前洗濯・洗濯代行を比較|生活保護の場合も解説 もあわせて確認してください。

パターン2:脳卒中・脊髄損傷・骨折などで退院後の介助が必要

退院後に、入浴、排せつ、食事、移動、通院、家事に支援が必要になりそうな場合は、入院中から病院の医療ソーシャルワーカーに相談します。

自宅生活に戻るなら、居宅介護、重度訪問介護、短期入所、生活介護、自立訓練などを検討します。障害福祉サービスの利用には、申請、支給決定、受給者証の発行、事業所との契約などが必要になるため、退院前から準備することが大切です。

動き方

  1. 主治医・リハビリ職に、退院後の生活能力を確認する
  2. 医療ソーシャルワーカーに制度相談を依頼する
  3. 市区町村の障害福祉窓口または介護保険窓口へつなげてもらう
  4. 必要に応じて障害福祉サービスや介護保険を申請する
  5. 身体障害者手帳の診断書を書ける時期を主治医・指定医に相談する
  6. 初診日、入退院日、転院歴、リハビリ経過を記録し、将来の障害年金に備える

入院中に転院や回復期リハビリ病院の話が出ることもあります。転院の理由や家族が確認すべきことは、入院したばかりなのに転院と言われたら?理由と家族が確認すべきこと で詳しく解説しています。

また、脳卒中後、骨折後、入院後の体力低下などで「リハビリはいつまで受けられるのか」が気になる方は、リハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位・介護保険移行を解説 も参考になります。

パターン3:仕事中・通勤中の事故で入院した

仕事中や通勤中のけが・病気では、労災保険の対象になる可能性があります。この場合、健康保険ではなく、労災保険として治療や休業補償の手続きを進めることがあります。

動き方

  1. 会社へ労災の可能性を伝える
  2. 医療機関に労災扱いか確認する
  3. 労働基準監督署に相談する
  4. 後遺症が残る場合は、労災の障害補償、障害者手帳、障害年金も別に確認する

パターン4:交通事故で入院し、後遺症が残りそう

交通事故では、治療、保険会社とのやり取り、後遺障害、自賠責保険、任意保険が関係します。自賠責保険の請求では、加害者請求、被害者請求、損害調査、支払いの流れがあります。

動き方

  1. 事故日、事故状況、警察届出、保険会社を記録する
  2. 診断書、画像検査、リハビリ記録を保管する
  3. 症状固定の時期を医師に確認する
  4. 自賠責・任意保険の後遺障害手続きを確認する
  5. 障害者手帳、障害福祉サービス、障害年金も別制度として確認する

交通事故の後遺障害等級、障害者手帳の等級、障害年金の等級は、それぞれ別制度です。自賠責保険の後遺障害等級が認定されたからといって、障害者手帳や障害年金が自動的に決まるわけではありません。

パターン5:精神科入院後、退院して地域生活に戻る

精神科入院後は、退院後の通院、服薬、生活リズム、家事、金銭管理、就労、住まいの支援が重要です。

継続的な精神科通院が必要な場合、自立支援医療の精神通院医療を検討します。精神障害者保健福祉手帳は、診断書で申請する場合、初診日から6か月以上経過した時点の診断書が必要です。

動き方

  1. 退院前カンファレンスで生活課題を整理する
  2. 自立支援医療を申請する
  3. 初診日から6か月以降、精神障害者保健福祉手帳を検討する
  4. グループホーム、自立生活援助、自立訓練、就労移行支援などを検討する
  5. 初診日から1年6か月前後で障害年金を相談する

生活リズムや就労準備に不安がある場合は、自立訓練と就労移行支援の違いと「あなたに合った支援」の見つけ方 も参考になります。


外来通院中によくある申請パターン

パターン1:精神科・心療内科に通院している

精神科通院が続いている場合、まず自立支援医療の精神通院医療を確認します。生活や仕事への支障が続き、初診日から6か月以上経過している場合は、精神障害者保健福祉手帳も検討します。

さらに、初診日から1年6か月前後になっても生活や就労に大きな制限がある場合は、障害年金の相談を行います。

パターン2:難病・慢性疾患で通院している

対象となる難病では、障害者手帳がなくても、必要と認められた障害福祉サービスを利用できる場合があります。対象疾病に該当するかどうか、どのサービスが利用できるかは、市区町村の障害福祉窓口で確認します。

通院、家事、入浴、移動、就労に支援が必要な場合は、居宅介護、同行援護、行動援護、就労支援、生活介護、自立訓練などを検討します。

パターン3:復職・再就職を目指している

病気やけがのあと、すぐに元の働き方へ戻るのが難しい場合は、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援などを検討します。

就労移行支援は一般就労に向けた訓練や求職活動支援、就労継続支援A型・B型は働く場や生産活動の機会を提供するサービスです。

障害がある方の就職・転職、障害者雇用、就労支援サービスをもう少し詳しく知りたい場合は、障害があっても“自分らしく働く”転職・就職完全ガイド も参考になります。

会社員で休職中の場合は、傷病手当金、会社の休職制度、産業医面談、復職支援、職場配慮も確認します。傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事に就けず、一定の要件を満たす場合に支給対象となります。

パターン4:家族の介護負担が大きい

家族の介護負担が大きくなっている場合、短期入所、居宅介護、生活介護、グループホームなどを検討します。

短期入所は、介護者の病気などで短期間の入所が必要な障害者等に対して、入浴、排せつ、食事などの支援を行うサービスです。

介護者が疲れ切ってから相談するのではなく、「通院の付き添いが限界」「夜間の見守りがつらい」「一人にできない時間が増えた」など、具体的な困りごとを早めに窓口へ伝えることが大切です。


必要書類の早見表

制度主な書類誰に依頼する?
身体障害者手帳申請書、指定医の診断書・意見書、写真など主治医、指定医、市区町村窓口
療育手帳申請書、判定に必要な資料など市区町村、児童相談所、知的障害者更生相談所
精神障害者保健福祉手帳申請書、診断書または障害年金証書等、写真など精神科主治医、市区町村窓口
障害年金年金請求書、診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、口座情報など年金事務所、主治医、初診医療機関
障害福祉サービス申請書、サービス等利用計画案、医師意見書、本人確認書類など市区町村、相談支援専門員、医師
自立支援医療申請書、診断書、保険証情報、所得確認書類など市区町村、主治医
傷病手当金傷病手当金支給申請書、医師の証明、事業主証明など勤務先、主治医、健康保険
労災保険労災保険給付関係の請求書、事業主証明など勤務先、労働基準監督署、医療機関

身体障害者手帳では、診断書・意見書が重要です。精神障害者保健福祉手帳では、診断書または精神障害を支給事由とする年金給付を受けていることを証する書類などが使われます。

障害年金では、医師の診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などが重要です。病歴・就労状況等申立書は、発病から現在までの経過や、生活・就労状況を本人側から説明する書類です。


家族・親族が最初にまとめておくとよいこと

本人が入院中、療養中、精神的に不安定な時期に、制度を一人で調べるのは大きな負担です。家族や親族が支援する場合は、まず次の情報を整理しておくと、病院・役所・年金事務所での相談が進みやすくなります。

メモすること具体例
初診日最初に病院へ行った日、救急搬送日
医療機関最初の病院、転院先、主治医名
病名・けが診断名、後遺症、検査結果
入退院歴入院日、退院予定日、転院日
生活の困りごと歩けない、入浴できない、料理できない、通院に付き添いが必要
仕事の困りごと休職日、仕事内容、できなくなった作業、復職見込み
家族状況同居家族、介護できる人、日中独居かどうか
お金医療費、給与、休職制度、保険、年金加入歴
事故の場合事故日、場所、相手方、保険会社、警察届出、労災かどうか

制度の相談では、「困っています」だけでなく、次のように生活上の困りごとを具体的に伝えることが大切です。

  • 入浴に介助が必要
  • 通院に一人で行けない
  • 休職して給与がない
  • 家族が日中仕事で不在
  • 一人暮らしに戻るのが不安
  • 夜間の見守りが必要
  • 復職したいが、以前の業務ができない

相談先の使い分け

困りごと相談先
入院費・外来費が高い加入している健康保険、病院窓口
休職中の生活費勤務先、協会けんぽ・健康保険組合
仕事中・通勤中の事故勤務先、労働基準監督署
交通事故保険会社、弁護士、交通事故相談窓口
退院後の介助病院の医療ソーシャルワーカー、市区町村の障害福祉担当
障害福祉サービス市区町村の障害福祉担当、相談支援事業所
障害者手帳市区町村の障害福祉担当
障害年金年金事務所、街角の年金相談センター、市区町村の国民年金担当
精神科通院費市区町村の自立支援医療担当、精神科医療機関
65歳以上の介護地域包括支援センター、介護保険担当、ケアマネジャー

よくある質問

Q1. 病気や事故のあと、最初に申請する制度は何ですか?

最初に確認したいのは、医療費と休業中の収入に関する制度です。入院費や治療費が高い場合は高額療養費や限度額適用、会社を休んで給与が出ない場合は傷病手当金、仕事中や通勤中の事故なら労災保険、交通事故なら自賠責保険や任意保険を確認します。

Q2. 障害者手帳がないと障害年金はもらえませんか?

いいえ。障害年金は、障害者手帳とは別制度です。障害年金では、初診日、障害認定日の障害状態、保険料納付要件などを満たすかが重要です。障害者手帳の有無や等級だけで、障害年金の受給可否が決まるわけではありません。

Q3. 障害者手帳がないと障害福祉サービスは使えませんか?

必ずしもそうではありません。対象となる難病の人は、障害者手帳を持っていなくても、必要と認められた支援を受けられる場合があります。対象疾病や利用できるサービスは、市区町村の担当窓口で確認します。

Q4. 入院中でも申請できますか?

制度によっては、入院中から相談・準備できます。特に高額療養費、限度額適用、労災、傷病手当金、退院後の障害福祉サービスは、入院中に動き始めた方がよい場合があります。障害福祉サービスは、申請、支給決定、受給者証の発行、事業所との契約まで時間がかかることがあります。

Q5. 家族だけで年金事務所に相談できますか?

本人の委任状があれば、家族や友人などが代理で年金相談を行うことができます。窓口では、本人の委任状と、相談する人自身の本人確認書類などが必要です。本人が病気やけがで委任状を作成できない場合は、年金事務所などへ相談します。

Q6. 障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じですか?

同じとは限りません。障害者手帳と障害年金は別制度で、認定基準も異なります。障害基礎年金では、障害認定日に障害等級表に定める1級または2級に該当していることなどが要件とされています。

Q7. 精神障害者保健福祉手帳はいつ申請できますか?

診断書で申請する場合、診断書が初診日から6か月以上経過した時点のものである必要があります。また、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間で、更新を希望する場合は更新手続きが必要です。

Q8. 障害年金は退院したらすぐ申請できますか?

原則として、初診日から1年6か月を過ぎた日が障害認定日です。ただし、1年6か月以内に症状が固定した場合は、その日が障害認定日になることがあります。人工透析、心臓ペースメーカー装着など、一部には特例的な扱いがあります。

Q9. 傷病手当金と障害年金は同じものですか?

違います。傷病手当金は、業務外の病気やけがで会社を休み、給与が出ない場合などに健康保険から支給される制度です。障害年金は、病気やけがで長期的に生活や仕事に制限が出た場合に、年金制度から支給される制度です。傷病手当金は、支給開始日から通算1年6か月まで支給される制度です。

Q10. 交通事故の後遺障害等級と障害者手帳の等級は同じですか?

同じ制度ではありません。交通事故の後遺障害は自賠責保険などの手続きで扱われ、障害者手帳や障害年金はそれぞれ別の制度として審査されます。自賠責保険の後遺障害等級が認定されたからといって、障害者手帳や障害年金が自動的に決まるわけではありません。

Q11. 退院後に介助が必要な場合、どこに相談すればいいですか?

入院中であれば、まず病院の医療ソーシャルワーカーや退院支援担当者に相談します。退院後の入浴、排せつ、食事、通院、家事、見守りなどに支援が必要な場合は、市区町村の障害福祉窓口や介護保険窓口につないでもらいましょう。

Q12. 障害者手帳と自立支援医療は同時に申請できますか?

制度上は別の申請ですが、同じタイミングで相談・準備できることがあります。精神科通院が継続している場合は、自立支援医療の精神通院医療を先に確認し、初診日から6か月以上経過して生活や仕事への支障が続く場合は、精神障害者保健福祉手帳も検討します。


まとめ:申請の順番を間違えないことが大切

病気や事故のあとは、本人も家族も不安が大きく、制度名を聞くだけで疲れてしまうことがあります。最初に見る順番は、次のように考えると整理しやすくなります。

  1. 医療費を抑える
    高額療養費、限度額適用、自立支援医療など
  2. 休んでいる間の収入を守る
    傷病手当金、労災、会社の休職制度、民間保険など
  3. 退院後・通院中の生活を整える
    障害福祉サービス、介護保険、相談支援、通院支援など
  4. 障害が続く場合の証明を取る
    身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  5. 長期的な所得保障を確認する
    障害年金、労災の障害補償、自賠責の後遺障害など

制度は、知っている人だけのものではありません。困っている本人や家族を支えるための仕組みです。分からないときは、病院の相談員、市区町村の障害福祉窓口、年金事務所、加入している健康保険に「何から相談すればよいですか」と聞くところから始めてください。

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参考ソース


執筆者

事務長のトントン

病気や事故のあとに必要となる医療費助成、福祉制度、障害者手帳、障害年金、退院後の生活支援について、本人やご家族が最初に知っておきたい情報をわかりやすく整理しています。

本記事は、厚生労働省、日本年金機構、自治体、関係機関の公表情報をもとに作成しています。制度の対象者、申請方法、必要書類は自治体や個別の状況により異なる場合があります。実際に申請する際は、市区町村の障害福祉窓口、年金事務所、加入している健康保険、医療機関の相談窓口などへご確認ください。

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