" /> 自立訓練と就労移行支援の違い|対象・内容・選び方ガイド | いりょかいブログ

【発達障害・グレーゾーンの方へ】自立訓練と就労移行支援の違いと「あなたに合った支援」の見つけ方

医療・介護情報

※本記事はプロモーションを含みます。
記事内のリンクから商品を購入すると、当サイトに収益が発生する場合があります。
内容は筆者の体験と調査に基づき、公平性を意識して作成しています。

はじめに

「人との会話がうまくいかない」「仕事が長続きしない」「常に孤独感を感じている」
——こうした悩みを抱える方々の中には、発達障害やその傾向が背景にある場合があります。

明確な診断がない、もしくはグレーゾーンであるという理由から、「支援の対象にならない」と感じ、孤立している方も少なくありません。ですが、そうした人々にも適切な支援が用意されています。

今回は、就労や社会参加を支える「自立訓練」と「就労移行支援」の違いを中心に、福祉サービスの仕組みや、選択肢の幅・個別性の必要性について整理していきます。

発達障害の現状と課題

発達障害を抱える方の数は年々増加傾向にあります。
文部科学省の調査によれば、通常学級に在籍する児童生徒のうち、学習面や行動面に著しい困難がある、いわゆる“発達障害の可能性がある”子どもは約6.5%に上るとされています。

また、厚生労働省の「生活のしづらさなどに関する調査」(令和4年)では、障害者手帳を持っていないものの、生活上の困難を感じている人が17.4万人にのぼることが明らかになりました。

れらは、「支援の枠組みに入りきれない人が相当数存在している」という現実を示しています。

就労や自立を促す支援制度とは?

就労や生活の安定を支援する制度には、大きく5つの選択肢があります。それぞれ目的や利用対象が異なり、「今の状態」に合わせて選ぶ必要があります。

● 主要な制度と目的

支援名目的主な利用対象ゴール
自立訓練(生活訓練)生活力・社会性の向上社会生活や人間関係に困難のある人就労準備、地域生活の安定
就労継続支援B型作業の習慣づけ、体力維持就労が難しい人継続的な通所、A型への移行
就労継続支援A型雇用契約のもとで軽作業一定の就労能力がある人一般就労、A型継続
就労移行支援一般就労への訓練・実習就労を目指す18~65歳の人一般企業への就職
定着支援職場への適応と定着一般就労を開始した人離職防止、継続支援

これらの支援は、直線的な“段階”ではなく、本人の状態や目標に応じた「グラデーション」で捉えるのが現実的です。

支援のグラデーションと選び方

支援制度は「段階的」ではなく、「横並びの選択肢」として捉えることが重要です。

たとえば──

  • 就労継続支援B型と自立訓練を併用して、生活リズムと働く感覚を同時に整える
  • A型からB型に戻ることで、再調整の時間を取る
  • 自立訓練で自信をつけてから、就労移行支援へと移行する

こうした選び直しや組み合わせは、失敗ではなく“合っていく過程”の一部です。

よくある支援の組み合わせ例

  • 自立訓練+B型支援:日常生活と作業を並行して整える
  • 自立訓練→就労移行支援→一般就労:生活基盤から職場定着までの一貫支援
  • B型→A型→一般就労:段階的に就労能力を育てていく流れ

いずれも、「本人の状態・希望・得意/苦手」に合わせてカスタマイズされます。

現場での支援事例:苦手をなくすのではなく、“活かす・整える”支援へ

◆ 事例①:Aさん・20代・ASD傾向+感覚過敏

Aさんは就職活動を繰り返してはうまくいかず、「自分は働けないのでは」と感じていました。診断を受け、就労継続支援B型を勧められたものの、「軽作業なんてできるのか…」と不安を抱えていました。

自立訓練では、生活リズムの調整や、他者との距離感を測る練習からスタート。音への過敏さに配慮し、作業所では静かなスペースに配置されるよう調整されました。

「苦手をなくす」よりも「苦手が目立たないふるまい方」を練習。会話で疲れるときは事前にスタッフにサインを出すなど、“環境調整”と“自己理解”を軸に支援を展開。現在はA型作業所へ移行し、週3日・4時間の就労を継続しています。

◆ 事例②:Bさん・30代・ADHD+就労歴あり

Bさんは営業職の経験がありましたが、遅刻やスケジュール管理が難しく退職。その後うつ症状もあり、自宅にこもる期間が続いていました。

自立訓練では、タイムマネジメントや日記による行動記録からスタート。「人と関わるのは得意」と話すBさんには、週1回のグループワークを設定。成功体験の積み重ねで自己肯定感が回復していきました。

就労移行支援へ移行後は、「営業ではなく、内勤での仕事」を希望し、実習と相談を重ねて現在は中小企業の総務職に時短勤務で就労しています。

◆ 事例③:Cさん・40代・統合失調症+発達傾向(医療と併走)

Cさんは20代で統合失調症の診断を受け、入退院を繰り返してきました。症状は落ち着いていましたが、「就労」に対する不安が強く、医師からも「焦らないほうがよい」との意見がありました。

クリニックと連携し、自立訓練に通所。主治医・訪問看護・支援員が連携し、「安心して外出できる時間帯」や「不安が高まりやすい場面」を整理しながら、支援方針を共有。

本人の希望で、静かな作業を中心としたB型作業所を週2日からスタート。現在も通院と自立訓練を継続しながら、少しずつ社会参加のステップを進めています。

医療との関係性と併用の重要性

福祉と医療は、本来“併走する関係”にあります。

  • 医療:症状の診断・投薬・心理的治療などを担う
  • 福祉:生活・就労・社会参加を支える

医療の「診断」や「治療」が終わっても、それだけでは就労や生活は成り立ちません。逆に、福祉の支援だけでは病状の安定や専門的ケアが不十分になることもあります。

だからこそ、両者が連携することが、回復と社会参加の鍵になるのです。

う、通所先と医療機関で情報を共有するといった「併用」が推奨されます。

支援が届きにくい“グレーゾーン”という課題

支援の「網目」からこぼれやすい人々の存在が問題となっています。

  • 診断があっても手帳がない
  • 自覚はあるが病院に行っていない
  • 病名がつかず、医療・福祉のどちらにもつながっていない
  • 社会的には困っているが、「制度上は対象外」

このような“グレーゾーン”にこそ、幅のある選択肢柔軟な支援導線が必要です。

定着までの道のりは不安定で当たり前

たとえ就職したとしても、それが“ゴール”ではありません。

  • 職場の理解が十分でない
  • 通勤の負担が大きい
  • 体調の波に左右される
  • 感情のコントロールが難しい

こうした中で、「辞めないこと」や「頑張り続けること」を前提にした支援ではなく、“続けられる働き方”を一緒に探す支援が必要です。

の両面を支える支援、自立訓練+就労支援の併用は有効です。

「生きていく力」を育てるという視点

「制度を使うこと」自体が目的ではありません。
大切なのは、社会の中で自分らしく生きていくために、

  • 自分のペースを守る
  • 自分の強みを活かす
  • 不安があっても支援とつながれる

そうした「生きる力」を育てるために、制度は“道具”であり“杖”であるべきです。

利用までの流れ(実際に支援を受けるには)

  1. 自治体の福祉課や相談支援事業所に相談
  2. 医師の意見書(または診断書)を取得(必要に応じて)
  3. 「障害福祉サービス受給者証」の申請・発行
  4. 自立訓練・就労支援等の事業所と面談・契約し、利用開始

多くの地域では「相談支援専門員」が支援計画を作成し、スムーズに支援につながるようサポートしてくれます。

民間サービスとの関係

最近は、エンラボカレッジのような民間が運営する「自立訓練」事業所も登場しています。
手帳がなくても相談できる/オンラインで説明会に参加できる/就職だけでなく自己理解にも焦点を当てているなど、柔軟な運営形態が特徴です。

「制度に乗るのが怖い」「まずは軽く相談したい」人にとっては、民間サービスも重要な選択肢です。

こうした取り組みは、公的支援と併用することで、“制度のすき間”を埋める存在として期待されています。

経済的な負担について

障害福祉サービスは、原則として1割負担
ただし、所得に応じて自己負担が「無料〜月上限あり」になることが多く、

  • 生活保護や年金受給世帯:自己負担なし
  • 年収が低い単身世帯:月額0~9,300円程度

というケースもあります。費用面がネックで利用をためらっている方も、一度自治体窓口で相談するのがおすすめです。

まとめ:制度の「土台」から、あなたらしい歩み方を

誰にでも、“生きづらさ”はあります。
大切なのは、自分のペースで、自分の方法で「生きていく力」を育てていくこと。

そして、それを支える手段として、福祉サービスや支援制度があるのです。

  • 自立訓練で「生活の土台」を整える
  • 就労支援で「働く力」を引き出す
  • 医療と連携しながら「安心して社会とつながる」

そうした支援の“組み合わせ”ができるように、制度が柔らかく、広がりを持っていることが今、求められています。

参考リンク

タイトルとURLをコピーしました