入院中は、治療そのものだけでなく、病棟での生活、ナースコール、主治医の説明、退院や転院、医療費、介護、家族の不安など、いろいろな困りごとが出てきます。
ただ、いざ困ったときに、
「これは看護師さんに言っていいの?」
「師長さんに相談すると、クレーム扱いになる?」
「医療相談室と患者相談窓口は何が違うの?」
「病院に直接言いにくいとき、外に相談できる場所はある?」
と迷ってしまう方は少なくありません。
結論からいうと、入院中に困ったときは、まず病棟スタッフに相談して大丈夫です。
それでも解決しない、または担当者には言いにくい場合は、看護師長に相談できます。
退院・転院・介護・医療費・制度のことは、医療相談室、地域医療連携室、医療ソーシャルワーカーが相談先になります。
病院への不安、説明不足、職員対応への不満などは、患者相談窓口や医療安全管理室につなげてもらう方法もあります。
さらに、院内で相談しても整理がつかない場合には、自治体などが設置する医療安全支援センターという外部相談先もあります。
ただし、急変、強い痛み、息苦しさ、意識がおかしい、転倒した、出血しているなどの緊急時は、相談窓口を探す場面ではありません。
入院中なら、すぐにナースコール、近くの職員、病棟スタッフへ伝えてください。
この記事では、病院事務長の現場目線で、入院中に困ったときの相談先と、角が立ちにくい伝え方を整理します。
- 入院中に困ったときは、まず誰に相談する?
- 相談先早見表|困りごと別に見る相談ルート
- 看護師長に相談するケース|病棟生活・看護ケア・ナースコールの不安
- 主治医・担当医に相談するケース|病状・治療方針・薬・検査のこと
- 医療相談室・地域医療連携室に相談するケース|退院・転院・介護・医療費
- 患者相談窓口・医療安全管理室に相談するケース|説明不足・職員対応・病院への不安
- 病院内で解決しないときの外部相談先|医療安全支援センターとは
- 相談するときの伝え方|責めるより「困っていること」を具体的に伝える
- 相談前にメモしておくこと
- 家族が相談するときに整理しておきたいこと
- 相談しても変わらない場合の次の手順
- 夜間や休日、退院後に急に体調が悪くなったときは?
- 入院中の困りごと関連記事
- よくある質問
- Q. 看護師長に直接相談してもいいですか?
- Q. 医療相談室は無料で相談できますか?
- Q. 医療相談室と患者相談窓口は何が違いますか?
- Q. 主治医に直接言いにくいときは誰に相談すればいいですか?
- Q. 退院を急に言われたらどうすればいいですか?
- Q. ナースコールを押しても来ないときはどう伝えればいいですか?
- Q. 家族だけで相談できますか?
- Q. 相談したことで病院に居づらくなりませんか?
- Q. 病院の外に相談できる窓口はありますか?
- Q. 夜間や休日に急に体調が悪くなったらどこに相談しますか?
- Q. 医療ミスかもしれないと思ったとき、どこに相談すればいいですか?
- Q. 病院への苦情はどこに言えばいいですか?
- Q. 家族が遠方で病院に行けない場合はどうすればいいですか?
- まとめ|入院中の困りごとは、ひとりで抱え込まず相談先を使い分けよう
- 参考資料
入院中に困ったときは、まず誰に相談する?
入院中の困りごとは、まずはいちばん近くにいる病棟スタッフに相談するのが基本です。
たとえば、病室での不安、食事、トイレ、眠れない、痛みがある、薬のことで確認したい、ナースコールの対応に不安がある、といった内容は、まず担当看護師や病棟スタッフに伝えてかまいません。
ただ、入院中の困りごとは、ひとつの職種だけで解決できるとは限りません。
痛みや治療方針は、主治医・担当医の判断が必要になることがあります。
退院後の介護や医療費は、医療ソーシャルワーカーや医療相談室の出番です。
職員対応や説明不足への不安は、患者相談窓口や医療安全管理室が関わることもあります。
ざっくり分けると、次のようになります。
| 相談先 | 向いている相談 |
|---|---|
| 病棟看護師・担当スタッフ | 病棟生活、痛み、症状変化、日々の困りごと |
| 看護師長 | ナースコール対応、看護ケア、病棟内の行き違い、職員対応への不安 |
| 主治医・担当医 | 病状、治療方針、薬、検査、手術、退院可能かどうかの医学的判断 |
| 医療相談室・地域医療連携室 | 退院、転院、介護保険、医療費、生活費、制度、家族支援 |
| 患者相談窓口・医療安全管理室 | 病院への不安、説明不足、職員対応、診療に関する不安 |
| 医療安全支援センター | 院内で整理がつかない医療に関する苦情・心配・相談 |
病院によって、窓口の名前はかなり違います。
「医療相談室」「医療福祉相談室」「地域医療連携室」「患者支援センター」「入退院支援センター」「患者サポートセンター」など、名前が違っても近い役割を持っていることがあります。
迷ったときは、病棟スタッフに、
「この内容は、どなたに相談すればよいですか?」
と聞いて大丈夫です。
相談先早見表|困りごと別に見る相談ルート
| 困っている内容 | まず相談する相手 | 相談の例 | それでも難しいとき |
|---|---|---|---|
| ナースコールを押してもなかなか来ない | 担当看護師・病棟スタッフ | 「何分くらい待っても来られないことがあり、不安です。緊急時はどう伝えればよいですか?」 | 看護師長、患者相談窓口 |
| 痛みや症状の変化がある | 担当看護師、必要時は主治医・当直医 | 「〇時から痛みが強くなりました。薬や診察が必要か確認してほしいです」 | すぐ再度ナースコール、近くの職員へ |
| 主治医の説明がよく分からない | 主治医・担当医、病棟看護師 | 「もう一度、今後の見通しを確認したいです」 | 看護師長、医療相談室 |
| 主治医に相談しにくい | 病棟看護師、看護師長 | 「先生に聞きたいことを整理したいのですが、間に入ってもらえますか?」 | 医療相談室、患者相談窓口 |
| 看護師や職員の対応に不安がある | 看護師長 | 「責めたいわけではないのですが、この対応で不安になりました」 | 患者相談窓口、医療安全管理室 |
| 退院を急に言われて不安 | 主治医、病棟看護師 | 「なぜ今退院なのか、退院後の生活はどうなるのか確認したいです」 | 医療相談室、地域医療連携室 |
| 転院先をどう選べばいいか分からない | 医療相談室、地域医療連携室 | 「リハビリ目的なのか、療養目的なのか、選び方を知りたいです」 | 主治医、医療ソーシャルワーカー |
| 医療費が心配 | 医事課、医療相談室 | 「入院費がどのくらいになるか、高額療養費などを知りたいです」 | 医療ソーシャルワーカー、市区町村、保険者 |
| 介護保険や障害年金、障害者手帳など制度を知りたい | 医療相談室、医療ソーシャルワーカー | 「退院後に使える制度を整理したいです」 | 市区町村、年金事務所、専門職 |
| 家族が遠方で支援できない | 医療相談室、退院支援担当 | 「家族が頻繁に来られません。退院後の支援を相談したいです」 | 地域包括支援センター、ケアマネジャー |
| 病院内で相談しても改善しない | 患者相談窓口、医療安全管理室 | 「いつ、誰に、何を相談したか整理したので、改めて相談したいです」 | 自治体の医療安全支援センターなど |
ナースコールが遅くなる背景や、病棟の人員配置そのものを知りたい方は、関連記事のナースコールを押しても看護師が来ない理由も参考にしてください。
この記事では、ナースコールが遅れる理由そのものではなく、困ったときに誰へ相談するかに絞って解説していきます。
看護師長に相談するケース|病棟生活・看護ケア・ナースコールの不安
看護師長は、病棟全体の看護体制やスタッフの動き、患者さんの療養環境を見ている立場です。
次のような内容は、看護師長に相談してよいケースです。
- ナースコールを押しても来られない時間が続き、不安が強い
- 痛みやトイレなど、日常のケアで困っている
- 看護師ごとに説明や対応が違って戸惑う
- 職員の言い方や対応で不安になった
- 夜間の対応について、どうすればよいか確認したい
- 病棟生活のルールがよく分からない
- 家族として、本人の様子が心配で相談したい
ここで大切なのは、看護師個人を責める言い方にしないことです。
もちろん、患者さんや家族が不安や不満を感じることはあります。
忙しい背景があったとしても、不安を放置してよい理由にはなりません。
ただ、最初から、
「あの看護師さんの対応が悪い」
「誰が悪いんですか」
「あの人を担当から外してください」
と詰めるよりも、
「困っていることを相談したい」
「どうすれば安全に過ごせるか確認したい」
「病棟としての対応方法を教えてほしい」
という形にした方が、話が前に進みやすくなります。
たとえば、こう伝えてみてください。
「ナースコールを押しても来られない時間が何度かあり、本人も家族も不安になっています。看護師さんを責めたいわけではないのですが、緊急時にどう伝えればよいか、師長さんに相談できますか?」
この言い方なら、クレームというより、安全に入院生活を続けるための相談として受け止めてもらいやすくなります。
主治医・担当医に相談するケース|病状・治療方針・薬・検査のこと
病気そのもの、治療方針、薬、検査、手術、今後の見通しについては、基本的に主治医・担当医への相談が必要です。
たとえば、次のような内容です。
- 今の病状はどうなっているのか
- 治療の目的は何か
- 薬の効果や副作用が心配
- 検査結果の意味が分からない
- 退院できる医学的な目安を知りたい
- 転院が必要と言われた理由を知りたい
- 今後の生活にどんな影響がありそうか知りたい
ただ、入院中は医師が常に病棟にいるわけではありません。
外来、検査、手術、救急対応、他病棟の診療などを並行していることもあります。
そのため、いきなり廊下でつかまえて長く聞こうとするより、病棟看護師に、
「主治医の先生に確認したいことがあります。説明の時間を調整できますか?」
と伝える方がスムーズです。
主治医に直接言いにくい場合は、看護師や看護師長、医療相談室に、
「先生に確認したいことがあるのですが、うまく聞ける自信がありません。質問を整理するのを手伝ってもらえますか?」
と相談しても大丈夫です。
医療ソーシャルワーカーの業務内容としても、主治医から説明を受けたけれど「うまく聞き取れなかった」「質問できなかった」といった相談例が紹介されています。詳しくは日本医療ソーシャルワーカー協会の業務内容も参考になります。
医療相談室・地域医療連携室に相談するケース|退院・転院・介護・医療費
医療相談室や地域医療連携室は、入院中の患者さんや家族にとって、とても大事な相談先です。
病院によっては、次のような名前になっていることもあります。
- 医療相談室
- 医療福祉相談室
- 地域医療連携室
- 入退院支援室
- 患者支援センター
- 総合患者支援センター
- 退院支援センター
- 患者サポートセンター
ここでは、医療ソーシャルワーカー、退院支援看護師、事務職員などが関わり、退院後の生活や制度利用を一緒に整理します。
相談できる内容は、たとえば次のようなことです。
- 退院後、自宅で生活できるか不安
- 家族だけで介護できるか分からない
- 転院先をどう選べばよいか分からない
- リハビリ病院や療養病院について知りたい
- 介護保険の申請やサービスを知りたい
- 医療費や生活費が心配
- 障害者手帳、障害年金、難病制度などを知りたい
- 家族関係や生活環境に不安がある
- 本人が一人暮らしで、退院後の支援が必要
- 主治医の説明を聞いたが、家族として整理しきれない
日本医療ソーシャルワーカー協会では、医療ソーシャルワーカーの業務として、療養中の心理的・社会的問題、退院援助、受診・受療援助、経済的問題の調整などを示しています。
医療相談室は、「退院先を決めるだけの部署」ではありません。
不安がまだ言葉になっていない段階でも、相談してよい場所です。
たとえば、
「退院後の介護や費用が不安です。医療ソーシャルワーカーさんに相談できますか?」
「転院と言われましたが、どんな病院を選べばいいか分かりません。地域医療連携室につないでもらえますか?」
このように病棟スタッフへ伝えると、相談につながりやすくなります。
入院中に転院をすすめられて不安な方は、関連記事の入院中に転院をすすめられたときの確認ポイントも参考にしてください。
また、リハビリ目的の転院や、医療保険リハビリの期限が気になる場合は、リハビリの期限や150日ルールが気になる方はこちらもあわせてご覧ください。
患者相談窓口・医療安全管理室に相談するケース|説明不足・職員対応・病院への不安
患者相談窓口は、患者さんや家族が、病院への不安や疑問を相談するための窓口です。
病院によっては、
- 患者相談窓口
- 総合相談窓口
- 患者サポート窓口
- 医療安全相談窓口
- 医療安全管理室
- 患者支援センター
- 患者の声相談窓口
など、名前が異なることがあります。
相談内容としては、次のようなものがあります。
- 説明が十分でなく、不安が残っている
- 職員の対応や言葉に傷ついた
- 診療内容について不安がある
- 病院内で誰に相談すればよいか分からない
- 病棟に相談したが、うまく伝わらなかった
- 医療安全に関わる不安がある
- 苦情というほどではないが、意見を伝えたい
ただし、患者相談窓口や医療安全管理室は、すべてをその場で解決する窓口ではありません。
また、医療ミスかどうか、誰に法的責任があるかを、その場で断定する窓口でもありません。
役割としては、
- 相談内容を聞く
- 院内の関係部署につなぐ
- 事実確認のきっかけにする
- 再説明や調整につなげる
- 病院内の改善に活かす
と考えると分かりやすいです。
「病院 苦情 どこに言う」と検索したくなるほど不安が強いときでも、最初の言い方は、
「苦情として責めたいというより、不安な点を整理して相談したいです」
で大丈夫です。
病院に不満や不安を伝えることは、ただ相手を責めるためではありません。
安全に療養するため、説明を整理するため、今後の対応を確認するための相談でもあります。
病院内で解決しないときの外部相談先|医療安全支援センターとは
病院内で相談しても整理がつかない場合や、どうしても病院に直接言いにくい場合には、外部の相談先として医療安全支援センターがあります。
医療安全支援センターは、都道府県、保健所を設置する市、特別区などに設置されている相談窓口です。
医療に関する苦情・心配・相談に対応し、患者さん・住民と医療機関との信頼関係づくりを支援する役割があります。
詳しくは、医療安全支援センター総合支援事業や医療安全支援センターとはで確認できます。
相談できる内容の例としては、
- 病院の説明に納得できない
- 医療機関との話し合い方を相談したい
- 院内の相談窓口に言っても整理できない
- どこに相談すればよいか分からない
- 医療に関する苦情や心配がある
などです。
ただし、ここはとても大事です。
医療安全支援センターは、医療行為に過失があったか、因果関係があるか、責任が誰にあるかを判断・決定する機関ではありません。
厚生労働省の医療安全支援センター運営要領でも、センターは過失や因果関係、責任の所在を判断・決定するのではなく、中立的な立場から問題解決に向けた双方の取り組みを支援するとされています。
相談前には、次のように整理しておくと話が伝わりやすくなります。
- いつ起きたか
- どこの病院・病棟で起きたか
- 誰に相談したか
- 何を説明されたか
- 何が分からないのか
- 何に困っているのか
- 病院に何を確認したいのか
全国の窓口は、全国の医療安全支援センターから確認できます。
相談するときの伝え方|責めるより「困っていること」を具体的に伝える
病院に相談するときは、感情を我慢しすぎる必要はありません。
入院中の不安は、本人にも家族にも大きな負担です。
ただ、最初から強い言い方で詰めると、事実確認よりも「苦情対応」になってしまい、話が進みにくくなることがあります。
おすすめは、次の3点をセットで伝えることです。
- 事実:いつ、何があったか
- 困っていること:何が不安か
- 希望:どうしてほしいか、何を確認したいか
たとえば、こうです。
「いつもお忙しいところすみません。責めたいわけではないのですが、〇日から〇〇で困っています。どなたに相談すればよいか教えていただけますか?」
「主治医の説明を受けたのですが、家族として理解しきれない部分があります。もう一度確認したい点を整理したいので、医療相談室につないでいただけますか?」
「退院後の介護や費用が不安です。医療ソーシャルワーカーさんに相談できますか?」
「ナースコールを押しても来られない時間が続き、不安が強くなっています。病棟でどのように対応すればよいか、師長さんに相談できますか?」
「病院に不満を言いたいというより、説明が分からず不安が残っています。患者相談窓口に相談できますか?」
大切なのは、相手を責めるためではなく、困っていることを解決するために相談するという形にすることです。
相談前にメモしておくこと
相談するときは、頭の中だけで話そうとすると、どうしても感情が先に出やすくなります。
事前にメモを作っておくと、病院側にも伝わりやすくなります。
メモしておきたいのは、次の内容です。
- いつ起きたか
- どこで起きたか
- 何に困っているか
- すでに誰に相談したか
- どんな説明を受けたか
- どうしてほしいか
- 患者本人の希望
- 家族として不安な点
- 緊急性があるか
- もう一度説明してほしい内容
たとえば、
「〇月〇日夜、トイレ介助をお願いしたくてナースコールを押したが、しばらく来られず本人が不安になった。今後、緊急時はどう伝えればよいか確認したい」
という形なら、事実と希望が整理されています。
反対に、
「いつも全然来ない」
「何もしてくれない」
「ひどい病院だ」
という言い方だけだと、病院側も具体的に確認しにくくなります。
不満を伝えてはいけない、という意味ではありません。
何が起きて、何に困っていて、何を確認したいのかを分けることが大切です。
家族が相談するときに整理しておきたいこと
家族が相談する場合は、まず患者本人の意思をできる範囲で確認しておきましょう。
本人が話せる状態であれば、
- 何に困っているか
- 何を聞いてほしいか
- 家族からどこまで伝えてよいか
- 説明に同席してよいか
- 退院後はどうしたいか
を確認しておくと、病院側も対応しやすくなります。
本人の同席が難しい場合は、本人の希望をメモして伝えるとよいです。
また、病院は個人情報保護の観点から、家族であっても説明できる範囲が限られることがあります。
医療・介護関係事業者向けの個人情報保護に関するQ&Aでも、家族等への病状説明については、できる限り患者本人の意思に配慮する必要があるとされています。詳しくは、個人情報保護委員会の患者・利用者の病状等をその家族等に説明する際の留意点が参考になります。
そのため、家族から相談するときは、
「本人は、私が説明を聞くことを希望しています」
「本人の同席が難しいため、本人の希望をメモしてきました」
と伝えるとスムーズです。
感情的に詰めるよりも、
- 確認したいこと
- 決めなければならないこと
- 家族ができること、できないこと
- 本人の希望
を整理して相談する方が、結果的に本人のためになりやすいです。
相談しても変わらない場合の次の手順
相談しても状況が変わらないときは、つらいですよね。
ただ、いきなりSNSで病院名や職員名を出したり、録音を無断で公開したりするのは、トラブルにつながることがあります。
まずは、次の順番で整理してみてください。
1. もう一度、相談内容を整理する
まずは、事実と希望を分けます。
- 何が起きたのか
- いつ起きたのか
- 誰に相談したのか
- 何が改善していないのか
- 何を求めているのか
ここが整理されていないと、別の窓口に相談しても話が伝わりにくくなります。
2. 別ルートに相談する
同じ相手に何度伝えても進まない場合は、別の相談先に変える方法があります。
たとえば、
- 担当看護師で難しいなら、看護師長へ
- 病棟で難しいなら、患者相談窓口へ
- 退院・転院・費用の話なら、医療相談室へ
- 医療安全に関わる不安なら、医療安全管理室へ
- 主治医に言いにくいなら、看護師長や医療相談室に間に入ってもらう
という方法です。
3. 院内で整理できない場合は、外部窓口を確認する
院内で相談しても整理がつかない場合は、自治体の医療安全支援センターなど外部相談先を確認します。
ただし、医療安全支援センターは、過失や責任を判断する場所ではありません。
医療事故や法的責任の判断が必要な場合は、医療安全支援センターだけでなく、弁護士など専門家への相談も検討する、という表現にとどめておくのが現実的です。
4. SNSでの拡散や無断公開は慎重に
不安や怒りが強いと、SNSに書きたくなる気持ちは自然です。
ただ、病院名、職員名、病室、他の患者さんが分かる情報、録音データなどを公開すると、名誉毀損、プライバシー、個人情報、病院との関係悪化など、別のトラブルになる可能性があります。
説明内容を正確に残したい場合は、
「聞き漏れ防止のため、録音してもよいですか?」
と事前に確認する方が安全です。
夜間や休日、退院後に急に体調が悪くなったときは?
入院中に急に体調が悪くなった場合は、相談窓口ではなく、すぐにナースコールや近くの職員へ伝えてください。
一方、退院後や自宅で、
「救急車を呼ぶべきか分からない」
「今すぐ病院に行くべきか迷う」
という場合には、地域によって**#7119**が使えることがあります。
#7119は、急な病気やけがのときに、救急車を呼んだ方がよいか、今すぐ病院に行った方がよいかなどを電話で相談できる仕組みです。詳しくは、総務省消防庁の救急安心センター事業 #7119をご確認ください。
子どもの休日・夜間の急な症状で迷う場合は、#8000もあります。
#8000は、保護者が休日・夜間の子どもの症状への対処や受診の必要性に迷ったとき、小児科医師・看護師に電話相談できる仕組みです。詳しくは、厚生労働省の子ども医療電話相談事業 #8000をご確認ください。
退院後や夜間に受診すべきか迷ったときは、関連記事の退院後や夜間に受診すべきか迷ったときの相談先も参考にしてください。
入院中の困りごと関連記事
入院中の困りごとに関係する記事を、目的別にまとめます。
- ナースコールを押しても看護師が来ない理由
病棟の人員配置や1日の流れを知りたい方へ。 - 入院中に転院をすすめられたときの確認ポイント
急に転院と言われて不安な方へ。 - リハビリの期限や150日ルールが気になる方はこちら
リハビリ病院への転院や介護保険リハビリへの移行が気になる方へ。 - #7119や#8000などの相談窓口
退院後や夜間に、病院へ行くべきか迷ったときに。
よくある質問
Q. 看護師長に直接相談してもいいですか?
はい、相談して大丈夫です。
特に、ナースコール対応、病棟生活、看護ケア、職員対応、説明の行き違いなどは、看護師長に相談しやすい内容です。
いきなり個人を責めるより、
「困っていることを相談したいです」
と伝えると話が進みやすくなります。
Q. 医療相談室は無料で相談できますか?
多くの病院では、医療相談室や医療福祉相談室の相談は無料です。
ただし、診断書、証明書、セカンドオピニオン、文書作成、電話料金などは別扱いになる場合があります。
心配な場合は、相談前に、
「相談料はかかりますか?」
と確認しておくと安心です。
Q. 医療相談室と患者相談窓口は何が違いますか?
ざっくり言うと、医療相談室は退院・転院・介護・医療費・制度・生活支援の相談に向いています。
患者相談窓口は、病院への不安、説明不足、職員対応、診療に関する疑問などを相談する窓口です。
ただし、病院によって役割や名称が重なることもあります。
迷ったら、
「医療相談室と患者相談窓口、どちらに相談すればよい内容ですか?」
と聞いて大丈夫です。
Q. 主治医に直接言いにくいときは誰に相談すればいいですか?
病棟看護師、看護師長、医療相談室に相談して大丈夫です。
「主治医に聞きたいことがあるのですが、うまく聞けないので整理したいです」
と伝えると、質問の準備や説明時間の調整につながることがあります。
主治医に直接言えないからといって、相談をあきらめる必要はありません。
Q. 退院を急に言われたらどうすればいいですか?
まず、主治医に、
- なぜ今退院なのか
- 退院後に必要な医療や介護は何か
- 自宅で注意すべきことは何か
- 退院後に悪くなったらどこへ連絡するのか
を確認しましょう。
そのうえで、医療相談室や地域医療連携室に、介護保険、訪問看護、転院、施設、費用などを相談します。
詳しくは、入院中に転院をすすめられたときの確認ポイントも参考にしてください。
Q. ナースコールを押しても来ないときはどう伝えればいいですか?
強い痛み、息苦しさ、転倒、意識がおかしいなど緊急性がある場合は、遠慮せず再度ナースコールを押し、可能なら近くの職員に声をかけてください。
あとで相談する場合は、
「〇時ごろ、〇分ほど来られず不安でした。緊急時はどう伝えればよいか確認したいです」
と、事実と希望をセットで伝えるとよいです。
ナースコールが遅れる背景を知りたい方は、ナースコールを押しても看護師が来ない理由も参考になります。
Q. 家族だけで相談できますか?
相談自体はできることが多いです。
ただし、病状説明や個人情報に関わる内容は、本人の同意や意思確認が必要になる場合があります。
本人が話せる状態であれば、
「家族に説明してよいか」
「誰に説明してよいか」
「どこまで共有してよいか」
を確認しておくとスムーズです。
Q. 相談したことで病院に居づらくなりませんか?
不安ですよね。
ただ、患者さんや家族が困りごとを相談すること自体は自然なことです。
伝え方としては、
「責めたいわけではなく、安心して入院生活を送るために相談したいです」
とするとよいです。
病院側としても、早めに不安を共有してもらった方が、説明や調整につなげやすいことがあります。
Q. 病院の外に相談できる窓口はありますか?
あります。
代表的なものが、都道府県、保健所設置市、特別区などに設置される医療安全支援センターです。
医療に関する苦情・心配・相談に対応しています。
全国の窓口は、全国の医療安全支援センターから確認できます。
ただし、医療安全支援センターは、過失や責任の所在を判断する機関ではありません。
Q. 夜間や休日に急に体調が悪くなったらどこに相談しますか?
入院中なら、まずナースコールや近くの職員です。
退院後や自宅で救急車を呼ぶべきか迷う場合は、地域によって#7119が使えます。
子どもの休日・夜間の急な症状で迷う場合は#8000があります。
ただし、明らかに緊急性が高いと感じる場合は、迷わず119番も選択肢です。
詳しくは、退院後や夜間に受診すべきか迷ったときの相談先もご覧ください。
Q. 医療ミスかもしれないと思ったとき、どこに相談すればいいですか?
まずは、病院の患者相談窓口や医療安全管理室に、何が起きたのか、どの説明が分からないのかを整理して相談します。
院内で整理できない場合は、医療安全支援センターに相談する方法もあります。
ただし、医療安全支援センターは、過失や責任の所在を判断する機関ではありません。
法的責任の判断が必要な場合は、弁護士など専門家への相談も検討してください。
Q. 病院への苦情はどこに言えばいいですか?
まずは、病院内の患者相談窓口、総合相談窓口、医療安全管理室などを確認しましょう。
病棟内のことなら看護師長、退院や費用のことなら医療相談室が適している場合もあります。
どこに言えばよいか分からないときは、病棟スタッフや受付で、
「患者相談窓口はありますか?」
と聞いて大丈夫です。
Q. 家族が遠方で病院に行けない場合はどうすればいいですか?
まずは病棟スタッフや医療相談室に、
「家族が遠方で頻繁に来られません。電話やオンラインで相談できる方法はありますか?」
と確認してみましょう。
病院によって対応方法は異なりますが、電話説明、面談日の調整、キーパーソンの確認、退院支援の相談などにつながることがあります。
本人の同意や意思確認が必要になる場合もあるため、本人が話せる状態であれば、家族へ説明してよいかをあらかじめ確認しておくとスムーズです。
まとめ|入院中の困りごとは、ひとりで抱え込まず相談先を使い分けよう
入院中に困ったときは、まず病棟スタッフに相談して大丈夫です。
ただし、困りごとの内容によって、向いている相談先は変わります。
病棟生活やナースコール、看護ケアの不安は、看護師長。
病状や治療方針、薬、検査のことは、主治医・担当医。
退院、転院、介護、医療費、制度のことは、医療相談室や医療ソーシャルワーカー。
病院への不安、説明不足、職員対応への不満は、患者相談窓口や医療安全管理室。
院内で整理がつかない場合は、医療安全支援センターなど外部相談先。
大切なのは、最初から「苦情」として強くぶつけることではなく、事実・困っていること・希望を整理して伝えることです。
もちろん、患者さんや家族が不安になるのは自然なことです。
病院側に忙しい事情があっても、説明不足や不安がそのままでよいわけではありません。
ひとりで抱え込まず、相談先を使い分けてください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療方針・法律判断を行うものではありません。実際の対応は、入院先の医師・看護師・相談窓口、自治体の窓口、必要に応じて専門家へご確認ください。
参考資料
- 医療安全支援センター総合支援事業
医療に関する心配や相談を受け付けている窓口であることを確認しました。 - 医療安全支援センターとは
医療安全支援センターの設置主体、主な業務、中立的な立場、相談者のプライバシーへの配慮などを確認しました。 - 厚生労働省 医療安全支援センター運営要領
医療安全支援センターが、過失や因果関係、責任の所在を判断・決定する機関ではないことを確認しました。 - 日本医療ソーシャルワーカー協会 医療ソーシャルワーカーの業務内容
退院援助、経済的問題の調整、心理的・社会的問題、受診・受療援助などの業務内容を確認しました。 - 総務省消防庁 救急安心センター事業 #7119
急な病気やけがで、救急車を呼ぶべきか、今すぐ受診すべきか迷うときの電話相談であることを確認しました。 - 厚生労働省 子ども医療電話相談事業 #8000
休日・夜間の子どもの症状について、小児科医師・看護師に電話相談できる仕組みであることを確認しました。 - 個人情報保護委員会 患者・利用者の病状等をその家族等に説明する際の留意点
家族への病状説明では、できる限り本人の意思に配慮する必要があることを確認しました。

