退院後に家族が確認すべきことリスト|食事・排泄・入浴・薬・介護保険の準備

退院後の自宅生活に向けて、家族が食事・排泄・入浴・薬・介護保険などの確認リストを見ながら準備している様子。 医療・介護・福祉情報
退院後の生活では、食事・排泄・入浴・移動・薬・介護保険などを家族だけで抱え込まず、病院やケアマネジャーと確認しておくことが大切です。

「退院後、家族は何を準備すればいいのか」「確認することが多すぎて分からない」「介護が必要になったらどうしよう」と不安になる方は多いです。退院後に家で特に大変になりやすいのは、食事、排泄、入浴、移動、移乗です。薬や通院の確認も大切ですが、家で最低限の生活を送るには「食べる・トイレに行く・お風呂に入る・動く・乗り移る」ができるかを、退院前に確認しておく必要があります。

この記事は、退院後に家族が確認しておきたい一般的なポイントをまとめたものです。実際に必要な準備は、病状、介護度、家族の状況、住まい、地域のサービスによって異なります。退院後の生活に不安がある場合は、主治医、看護師、退院支援担当者、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談してください。

結論からいうと、退院後に家族が確認すべきことは、食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、通院、介護保険、訪問看護、住宅環境、緊急時対応、お金に分けると整理しやすいです。

退院日はゴールではありません。自宅生活のスタートです。

全部を家族だけで完璧に抱え込む必要はありません。退院前から病院や介護サービスとつながり、「誰に何を相談すればよいか」を確認しておきましょう。

退院後に家族がまず確認すること

  • 食事形態・とろみ・食事制限
  • トイレまで行けるか、排泄動作ができるか
  • 自宅で入浴できるか、浴槽をまたげるか
  • 杖・歩行器・車いすで移動できるか
  • ベッドから車いす、車いすからトイレへ移乗できるか
  • 退院時処方薬と飲み方
  • 次回受診日・紹介状・通院手段
  • 介護保険申請・ケアマネジャーの有無
  • 体調が悪くなったときの連絡先
  1. 結論|退院後の準備は「生活動作」と「医療・介護サービス」をセットで確認する
  2. 退院後の家族の準備はいつから始める?退院前・当日・1週間の流れ
  3. 退院後に家族が確認すべきこと一覧
  4. 退院後に家で大変になりやすいのは「食事・排泄・入浴・移動・移乗」
  5. 退院後1日の流れで見る「家で困りやすいこと」
  6. 1. 食事・嚥下|本人や家族が作るか、宅配食を使うか確認する
  7. 2. 排泄|トイレまで行けるか、ポータブルトイレやオムツが必要か確認する
  8. 3. 入浴|自宅で入れるか、浴槽をまたげるか確認する
  9. 4. 移動|杖・つたい歩き・歩行器・車いすを確認する
  10. 5. 移乗|ベッドから車いす、車いすからトイレへ移れるか確認する
  11. 6. 薬|退院後の飲み方・残薬・管理方法を確認する
  12. 7. 通院|次回受診・紹介状・検査予定を確認する
  13. 8. 介護保険|退院前に申請・ケアマネ確認をする
  14. 9. 訪問看護・訪問診療|医療的な管理が必要か確認する
  15. 10. リハビリ|移動・移乗・トイレ動作を確認する
  16. 11. 住宅環境|家に来てもらい、現地を見て確認することも大切
  17. 12. 緊急時対応|体調が悪くなったときの連絡先を確認する
  18. 13. お金・制度|医療費・介護費・必要書類を確認する
  19. 退院前カンファレンスで家族が聞いておきたい質問リスト
  20. 退院当日までに準備しておきたいもの
  21. 退院後1週間で家族が見るべきポイント
  22. 一人暮らしの親・遠方の家族が退院準備で注意したいこと
  23. 自宅退院が難しいと言われた場合|食事・排泄・入浴・移動のどこが課題か確認する
  24. 家族だけで抱え込まないために相談できる相手
  25. 退院後の家族負担を減らすために使えるサービス
  26. よくある質問
    1. Q1:退院後に家族がまず確認すべきことは何ですか?
    2. Q2:退院後に家で一番大変になりやすいことは何ですか?
    3. Q3:退院後の食事は家族が全部手作りしないといけませんか?
    4. Q4:退院後にトイレまで行けない場合はどうすればよいですか?
    5. Q5:自宅でお風呂に入れない場合はどうすればよいですか?
    6. Q6:退院前に自宅を見てもらうことはできますか?
    7. Q7:介護保険の申請は退院してからでも間に合いますか?
    8. Q8:退院後に訪問看護が必要かどうかは誰に聞けばよいですか?
    9. Q9:退院後にリハビリを続けたい場合はどうすればよいですか?
    10. Q10:一人暮らしの親が退院する場合、何を確認すべきですか?
    11. Q11:退院後に体調が悪くなったらどうすればよいですか?
    12. Q12:退院前カンファレンスには家族も参加した方がいいですか?
    13. Q13:退院後の介護が家族だけでは難しい場合はどうすればよいですか?
  27. まとめ|退院後の生活は家族だけで抱え込まない
  28. 参考情報

結論|退院後の準備は「生活動作」と「医療・介護サービス」をセットで確認する

退院後は、入院中に病院が管理してくれていた生活を、自宅で支えることになります。

病院では、食事形態、薬の時間、排泄状況、入浴、移動、リハビリ、体調変化を、医師、看護師、薬剤師、リハビリ職、管理栄養士などが分担して見ています。

しかし自宅では、その多くを本人や家族、そして介護サービスで支えていくことになります。

そのため、退院前にまず確認したいのは次の5つです。

  • 食事は本人や家族が準備できるのか
  • トイレや入浴などの生活動作ができるのか
  • 杖、歩行器、車いすなどで移動できるのか
  • ベッドから車いす、車いすからトイレへ移れるのか
  • 薬、通院、介護保険、訪問看護などの支援体制が整っているのか

病院運営・退院支援側から見ても、退院時にここが曖昧なままだと、家族が退院後すぐに困りやすいです。

特に食事、排泄、入浴、移動、移乗は、自宅生活の土台です。薬と食事は退院当日から必要になりますし、トイレや移乗が難しい場合は、家族の介護負担が一気に大きくなることがあります。

退院前に病院へ質問しておくことで、退院後の混乱や不安を減らしやすくなります。困ったときは、病院、ケアマネジャー、訪問看護、地域包括支援センターへ相談して大丈夫です。

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防の支援などを行う市町村設置の機関です。介護保険の申請や、退院後の生活に不安があるときの相談先として覚えておきましょう。制度の概要は、厚生労働省の地域包括ケアシステムに関するページでも確認できます。

退院後の家族の準備はいつから始める?退院前・当日・1週間の流れ

退院準備は、退院日が決まってから一気にやろうとすると大変です。

できれば「退院が見えてきた段階」から、少しずつ確認していきましょう。

時期家族が確認すること
退院が見えてきたら介護保険、ケアマネ、住宅環境、通院手段、家族の役割分担を確認する
退院前カンファレンス食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、医療処置、緊急時対応を質問する
退院当日書類、薬、予約票、お薬手帳、連絡先、介護サービスの開始日を確認する
退院後1週間食事量、薬、トイレ、入浴、移動、転倒しそうな場面、家族負担を見る

退院後の生活は、病院の中とは環境が大きく変わります。

退院前、退院当日、退院後1週間に分けて考えると、家族も動きやすくなります。

退院後に家族が確認すべきこと一覧

まずは全体像を見ておきましょう。

確認することなぜ大切か主な確認先
食事・嚥下むせ、食事量低下、栄養不足が心配になるため医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士
排泄トイレまで行けない、間に合わない、夜間が不安になりやすいため看護師、リハビリ職、ケアマネ
入浴浴室での転倒、浴槽またぎ、家族の介助負担が大きいため看護師、リハビリ職、ケアマネ
移動杖、つたい歩き、歩行器、車いすなどの確認が必要なためリハビリ職、ケアマネ、福祉用具業者
移乗ベッドから車いす、車いすからトイレへの乗り移りが生活に直結するためリハビリ職、看護師、ケアマネ
飲み忘れ、重複、自己中断を避けるため医師、薬剤師、看護師
通院次回受診、検査、紹介状を確認するため主治医、外来看護師、医事課
介護保険自宅で使えるサービスを整えるためケアマネ、市区町村、地域包括支援センター
訪問看護医療処置や体調観察が必要な場合があるため主治医、看護師、ケアマネ
住宅環境転倒や生活動作の不安を減らしやすくするためリハビリ職、ケアマネ、福祉用具業者
緊急時対応体調悪化時に慌てないため病院、訪問看護、ケアマネ
お金・制度医療費や介護費の見通しを立てるため医事課、市区町村、ケアマネ
家族の役割分担介護負担を一人に集中させないため家族、ケアマネ

全部を一度に完璧に準備する必要はありません。

まずは退院後すぐに困りやすい、食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、通院、緊急時の連絡先から確認しましょう。

退院後に家で大変になりやすいのは「食事・排泄・入浴・移動・移乗」

退院後の生活で家族が大変になりやすいのは、細かく見ると次の5つです。

  • 食事
  • 排泄
  • 入浴
  • 移動
  • 移乗

入院中は、食事の準備、トイレの介助、入浴の見守り、ベッドから車いすへの移乗、病室内の移動などを、病院スタッフが状況に応じて支えています。

しかし自宅に戻ると、これらの動作を本人と家族、そして必要に応じて介護サービスで支えていくことになります。

ここで大切なのは、「歩けるかどうか」だけで退院後の生活を判断しないことです。

たとえば、病院の廊下を歩けても、自宅では玄関の段差、狭い廊下、低いベッド、トイレの立ち座り、浴槽をまたぐ動作で困ることがあります。

退院後の生活を考えるときは、次のように分けて確認すると整理しやすくなります。

生活動作家で困りやすいこと確認したいこと相談先
食事食事作り、むせ、食事量低下、食形態の調整本人や家族が作れるか、宅配食を使うか、嚥下対応が必要か医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士、ケアマネ
排泄トイレまで行けない、間に合わない、夜間が不安トイレ動作ができるか、ポータブルトイレやオムツが必要か看護師、リハビリ職、ケアマネ
入浴浴室までの移動、浴槽のまたぎ、転倒の不安自宅で入れるか、手すりやシャワーチェアが必要か、通所サービスでの入浴を使うかリハビリ職、看護師、ケアマネ
移動杖歩行、つたい歩き、歩行器、車いす移動、段差家の中を移動できるか、杖・歩行器・車いすが必要かリハビリ職、ケアマネ、福祉用具業者
移乗ベッドから車いす、車いすからトイレへの乗り移りひとりでできるか、見守りか、介助が必要かリハビリ職、看護師、ケアマネ

退院後に最低限の生活を送るためには、本人が「何ができて、何が難しいのか」を退院前に確認しておくことが大切です。

食事は、本人や家族が作る方法もあれば、配食サービスや嚥下対応食・介護食宅配を使う方法もあります。退院後の食事や飲み込みが不安な場合は、あわせて退院後の嚥下食・介護食宅配の選び方も参考にしてください。

排泄は、トイレまで移動して、ズボンの上げ下げをして、便座に座って、終わったあとに立ち上がる必要があります。どこか一部が難しいだけでも、家族の介助や福祉用具が必要になることがあります。

入浴は、浴室までの移動、服の着脱、浴室内の立ち座り、浴槽をまたぐ動作、洗身、浴後の着替えまで含めて考える必要があります。自宅での入浴が難しい場合は、通所サービスでの入浴や訪問入浴などが選択肢になることもあります。

移動は、杖で歩けるのか、家具や壁をつたって歩く状態なのか、歩行器や車いすが必要なのかを確認します。病院内では歩けていても、自宅の段差や狭さで難しくなることがあります。

移乗は、ベッドから車いす、車いすからトイレ、車いすから椅子などへの乗り移りです。ここが難しいと、排泄や食事場所への移動にも影響します。

家族が無理に介助すると、本人が転倒したり、介助する家族が腰を痛めたりすることもあります。退院前に、リハビリ職、看護師、ケアマネジャーなどと「家で何に困りそうか」を具体的に打ち合わせておきましょう。

また、可能であれば専門職に自宅を見てもらうことも大切です。病院や介護サービスによっては、退院前に自宅環境を確認し、手すり、ベッド、ポータブルトイレ、車いす、歩行器、動線などを一緒に考えてくれる場合があります。

家に来てもらうことが難しい場合でも、自宅の写真や動画を撮って、退院前カンファレンスで見てもらうだけで、相談が具体的になります。

退院後1日の流れで見る「家で困りやすいこと」

退院後の生活は、朝から夜までの流れで考えると見えやすくなります。

時間帯確認したい生活動作困りやすいこと
起床時起き上がり、移乗、着替えベッドから起きられない、ふらつく、着替えに時間がかかる
朝食食事準備、食事形態、服薬むせる、食事量が少ない、薬を飲み忘れる
日中トイレ、移動、通院、介護サービス利用トイレまで行けない、移動が不安、通院手段がない
入浴浴室までの移動、服の着脱、浴槽またぎ、洗身転倒が怖い、浴槽をまたげない、家族の介助が大変
夕方食事準備、服薬、疲労夕方になると動きが悪くなる、家族も疲れてくる
夜間トイレ、服薬、緊急時対応暗い中で転びそう、トイレに間に合わない、連絡先が分からない

「日中は何とかなるけれど、夜間のトイレが不安」「歩けるけれど浴槽をまたげない」「食事は作れるけれど薬の管理が難しい」など、困りごとは家庭によって違います。

退院前に、本人の1日の生活をイメージしながら確認しておきましょう。

1. 食事・嚥下|本人や家族が作るか、宅配食を使うか確認する

退院後の食事は、家族が特に迷いやすいポイントです。

病院では、本人の状態に合わせて食事形態や栄養量が調整されています。自宅に戻ると、その食事を本人や家族が準備するのか、配食サービスや宅配食を使うのかを考える必要があります。

まず確認したいのは、病院でどのような食事形態だったのかです。

たとえば、次のような内容を退院前に確認しましょう。

  • 普通食でよいのか
  • 軟菜食、刻み食、ミキサー食、ムース食、ピューレ食などの指定があるか
  • 水分にとろみが必要か
  • とろみの濃さはどの程度か
  • 水分制限、塩分制限、たんぱく質制限などがあるか
  • 食事中に注意する姿勢やペースがあるか
  • 食後すぐに横になってよいか
  • 1回の食事量や補助食品の必要性はあるか

食事は「食べられるものを用意する」だけではありません。

買い物に行く、献立を考える、調理する、本人が食べやすい形にする、食事中にむせがないか見る、食後の片付けをするところまで含めると、家族の負担は意外と大きくなります。

そのため、退院前に次の3つを整理しておくと現実的です。

食事の準備方法向いているケース注意点
本人が作る調理動作や火の管理ができる場合体力低下、転倒、火の不始末に注意
家族が作る家族が近くに住んでいて継続的に支援できる場合毎食続ける負担が大きくなりやすい
配食・宅配食を使う家族の負担を減らしたい、食形態に配慮したい場合本人の食形態や制限に合うか確認が必要

むせが増えた、食事量が落ちた、体重が減ってきた、食後にぐったりする、といった変化があれば、自己判断せずに医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士などへ相談しましょう。

嚥下食やとろみは、家族の判断で急に変えない方がよい部分です。

「病院ではミキサー食だったけれど、自宅では普通食に戻してよさそう」と見えても、飲み込みの状態は病状、疲労、姿勢、覚醒状態によって変わることがあります。

また、食事だけでなく口腔ケアも確認しておきましょう。入れ歯の管理、歯みがき、食後の口の中の確認が難しい場合は、看護師、歯科、言語聴覚士、ケアマネジャーなどに相談してください。口の中に食べ物が残りやすい場合や、むせが増えた場合も自己判断せず相談しましょう。

家族が毎食作るのが大変な場合は、嚥下対応食や介護食宅配も選択肢になります。ただし、本人の食形態に合っているかは、専門職に確認してから選びましょう。

退院後の食事や飲み込みが不安な方は、嚥下対応食・介護食宅配の選び方をまとめた退院後の嚥下食はどう準備する?家族の負担を減らす嚥下対応食・介護食宅配の選び方も参考にしてください。

2. 排泄|トイレまで行けるか、ポータブルトイレやオムツが必要か確認する

排泄は、退院後の家族負担に直結しやすい部分です。

「トイレに行けるか」と聞くと単純に聞こえますが、実際にはたくさんの動作が含まれています。

排泄では、次の動作を確認しましょう。

  • ベッドや椅子から立ち上がる
  • トイレまで移動する
  • ドアを開ける
  • 便座の前で方向転換する
  • ズボンや下着を下ろす
  • 便座に座る
  • 排泄後に拭く
  • 立ち上がる
  • ズボンや下着を上げる
  • 手を洗う
  • ベッドや椅子まで戻る

この一連の動作ができる場合は、自宅のトイレを使える可能性があります。

ただし、一部が難しい場合は、手すり、見守り、ポータブルトイレ、オムツやパッドなどを検討することがあります。

排泄の状態検討すること
トイレまで歩ける手すり、夜間照明、滑り止め、見守り
トイレまで遠い・夜間が不安ポータブルトイレ、動線変更、寝室の場所変更
立ち座りが不安手すり、補高便座、介助方法の確認
間に合わないことがあるパッド、リハビリパンツ、トイレ誘導
トイレ動作がかなり難しいオムツ、訪問介護、家族の介助体制の相談

排泄は、本人の尊厳にも関わる大切な部分です。

「最初から全部オムツ」と考える必要はありません。トイレまで行ける動作が一部でもあるなら、本人の状態に合わせて、手すり、ポータブルトイレ、見守り、介護サービスなどを組み合わせて考えます。

一方で、家族が無理をして抱えたり、夜間に何度も介助したりすると、本人の転倒や家族の体調不良につながることもあります。

退院前に、看護師、リハビリ職、ケアマネジャーへ相談しましょう。

3. 入浴|自宅で入れるか、浴槽をまたげるか確認する

入浴も、退院後に家族が悩みやすい場面です。

「お風呂に入れるか」は、浴槽につかれるかどうかだけではありません。

次の動作を確認する必要があります。

  • 浴室まで移動できるか
  • 脱衣所で服を脱げるか
  • 浴室内で滑らずに立てるか
  • シャワーチェアに座れるか
  • 浴槽をまたげるか
  • 洗身や洗髪ができるか
  • 浴後に着替えられるか
  • 家族がどこまで介助できるか

自宅で入浴する場合は、手すり、シャワーチェア、滑り止めマット、浴槽台などが必要になることがあります。

入浴で困ること検討すること
浴室まで歩くのが不安動線確認、手すり、歩行補助具、見守り
脱衣所で立って着替えにくい椅子の設置、着替えの手順確認
浴室内で滑りそう滑り止めマット、シャワーチェア
浴槽をまたげない手すり、浴槽台、シャワー浴、通所サービスでの入浴
家族の介助が難しい通所介護での入浴、訪問入浴、ケアマネへの相談

浴槽をまたぐ動作が難しい場合や、家族の介助だけでは不安が大きい場合は、通所介護での入浴や訪問入浴などが選択肢になることもあります。

「家族だから入浴介助できるはず」と思い込む必要はありません。

入浴介助は、本人にとっても家族にとっても負担が大きいケアです。無理な介助は転倒につながることもあるため、退院前に看護師、リハビリ職、ケアマネジャーへ相談しておきましょう。

4. 移動|杖・つたい歩き・歩行器・車いすを確認する

退院後の移動は、病院での歩行状態だけでは判断しにくい部分です。

病院では廊下が広く、床が平らで、手すりもあります。自宅では、玄関の段差、狭い廊下、敷居、カーペット、家具、暗い夜間の動線など、移動を難しくする要素が増えます。

確認したいのは、次のようなことです。

  • 杖で歩けるか
  • 家具や壁をつたって歩いていないか
  • 歩行器が必要か
  • 車いすが必要か
  • 車いすが廊下やトイレに入るか
  • 玄関の段差を越えられるか
  • 夜間にトイレまで移動できるか
  • 屋外の通院や買い物はどうするか

つたい歩きは、一見歩けているように見えますが、家具が動いたり、手をつく場所が途切れたりすると転倒につながることがあります。

退院前に、リハビリ職やケアマネジャーへ「自宅では杖でよいのか、歩行器が必要なのか、車いすを使う場面があるのか」を確認しましょう。

5. 移乗|ベッドから車いす、車いすからトイレへ移れるか確認する

移乗とは、ベッドから車いす、車いすからトイレ、車いすから椅子などへ乗り移る動作です。

移乗が難しいと、排泄、食事、入浴、通院など、生活の多くに影響します。

退院前には、次のような場面を確認しましょう。

  • ベッドから起き上がれるか
  • ベッドの端に座れるか
  • 立ち上がれるか
  • ベッドから車いすへ移れるか
  • 車いすからトイレへ移れるか
  • 車いすから食卓の椅子へ移れるか
  • 家族が介助する場合、無理のない方法か
  • 介助する家族が一人で対応できるか

移乗は、少しバランスを崩しただけで転倒しやすい動作です。

退院前に「どこを持って介助するか」「本人にどこまで動いてもらうか」「車いすのブレーキやフットレストをどう扱うか」などを確認しておくと、退院後の不安を減らしやすくなります。

家族が不安な場合は、看護師やリハビリ職に介助方法を確認しましょう。介護ベッド、手すり、ポータブルトイレ、移乗しやすい椅子などの福祉用具が役立つこともあります。

6. 薬|退院後の飲み方・残薬・管理方法を確認する

薬の管理は、退院直後から重要です。

入院中に薬が変更されていることは珍しくありません。入院前から飲んでいた薬が中止になったり、量が変わったり、新しい薬が追加されたりすることがあります。

退院時には、次の点を確認しましょう。

  • 退院時処方は何日分あるか
  • 朝、昼、夕、寝る前など、いつ飲む薬か
  • 入院前の薬から変更されたものはあるか
  • 中止になった薬はあるか
  • 以前の残薬を飲んでよいのか
  • 飲み忘れたときはどうすればよいか
  • 一包化できるか
  • お薬カレンダーや薬ケースを使った方がよいか
  • かかりつけ薬局へ情報共有できるか

特に注意したいのは、退院前の薬と退院時処方を家族が混ぜてしまうことです。

残薬がある場合は、「これはもう飲まない薬なのか」「続ける薬なのか」を薬剤師に確認しましょう。

お薬手帳は、医師や薬剤師が薬の重複、飲み合わせ、量などを確認するためにも役立ちます。薬を受け取るときに飲み忘れた場合の対応を専門家へ聞いておくことも大切です。

薬の変更や中止は、家族の判断で行わないでください。飲み忘れた場合の対応も、薬の種類によって違うため、退院時に医師や薬剤師へ確認しておきましょう。

7. 通院|次回受診・紹介状・検査予定を確認する

退院時に意外と抜けやすいのが、通院の流れです。

退院後は、入院していた病院の外来に通う場合もあれば、地域のかかりつけ医へ戻る場合もあります。紹介状や診療情報提供書が必要なこともあります。

確認したい内容は次の通りです。

  • 次回外来日はいつか
  • 受診科はどこか
  • 予約票はあるか
  • 検査予定はあるか
  • 家族の同席が必要か
  • 紹介状や診療情報提供書はあるか
  • かかりつけ医へ戻るのか
  • 薬はどこで継続処方されるのか
  • 予約変更の連絡先はどこか
  • 通院手段は確保できるか

病院運営側から見ると、退院時に「次はどこに行けばいいのか」が曖昧なままだと、家族が後から困りやすいです。

退院時書類、予約票、紹介状、お薬手帳、介護保険証などは、ひとつのファイルにまとめて保管しておきましょう。遠方の家族が関わる場合は、スマホで写真を撮って共有しておくのも現実的です。

通院が難しい場合は、送迎、介護タクシー、家族の付き添い、訪問診療の可能性なども相談しておきましょう。

介護保険だけでは足りない通院付き添い、夜間の見守り、朝夕の支援などが必要になる場合は、自費サービスを検討する家庭もあります。自費介護サービスについて知りたい方は、介護保険で足りない通院付き添い・夜間見守り・朝夕支援に使える自費介護サービスも参考にしてください。

8. 介護保険|退院前に申請・ケアマネ確認をする

退院後に介護が必要になりそうな場合は、介護保険の確認が必要です。

すでに要介護認定を受けている人は、現在の介護度で退院後の生活に合うサービスが使えるか、ケアマネジャーへ相談しましょう。入院前より身体機能や認知機能が変わっている場合は、区分変更申請を検討することもあります。

まだ介護保険を申請していない場合は、退院前から病院の相談員、市区町村窓口、地域包括支援センターへ相談しておくと流れを確認しやすいです。

介護サービスを利用する流れとしては、市区町村窓口で要介護認定・要支援認定の申請を行うのが一般的です。詳しい流れは、厚生労働省の介護サービス利用までの流れでも確認できます。

確認したい内容は次の通りです。

  • 介護保険申請が必要か
  • 要介護認定を受けているか
  • 介護度が退院後の状態に合っているか
  • ケアマネジャーが決まっているか
  • 退院前カンファレンスにケアマネが参加できるか
  • 訪問介護、通所介護、福祉用具、住宅改修などを検討するか
  • 申請や相談の窓口はどこか

介護保険サービスの利用可否や内容は、本人の状態、介護度、地域、制度の運用によって異なります。「必ず使える」とは限らないため、ケアマネジャーや市区町村に確認しましょう。

介護サービス事業所を探す際は、厚生労働省の介護サービス情報公表制度を使うと、全国の介護サービス事業所の情報を検索できます。実際にどのサービスを利用するかは、ケアマネジャーと相談して決めていきましょう。

9. 訪問看護・訪問診療|医療的な管理が必要か確認する

退院後も医療的な管理が必要な場合、訪問看護や訪問診療を検討することがあります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 褥瘡処置がある
  • 点滴が必要
  • カテーテル管理がある
  • ストーマ管理がある
  • 在宅酸素療法を使う
  • インスリン注射がある
  • 服薬管理に不安がある
  • 体調変化を定期的に見てほしい
  • 看取りや終末期ケアを自宅で考えている

医療処置がある場合、家族だけで抱え込むのは負担が大きくなります。

退院前に主治医、病棟看護師、退院支援担当者、ケアマネジャーへ相談し、退院後に誰が何を担うのか確認しましょう。

訪問看護を利用する場合は、夜間や休日の連絡先、どの症状で連絡すればよいか、緊急時にどこへ相談するかも確認しておくと安心です。

10. リハビリ|移動・移乗・トイレ動作を確認する

退院後のリハビリは、「歩けるかどうか」だけで判断しない方がよい部分です。

大切なのは、病院の廊下を歩けることだけではなく、自宅で必要な動作ができるかです。

特に確認したいのは、移動と移乗です。

移動とは、家の中を歩く、トイレまで行く、玄関まで行く、浴室まで行くといった動きです。

移乗とは、ベッドから車いす、車いすからトイレ、車いすから椅子などへ乗り移る動作です。

退院前には、次のような動作を確認しておきましょう。

  • ベッドから起き上がれるか
  • ベッドから車いすへ移れるか
  • 車いすからトイレへ移れるか
  • トイレで立ち座りができるか
  • 家の中を杖で歩けるか
  • つたい歩きになっていないか
  • 歩行器や車いすが必要か
  • 玄関の段差を越えられるか
  • 浴室まで移動できるか
  • 夜間にトイレへ行けるか
  • 転倒しそうな場面がないか

病院ではできていた動作でも、自宅では難しくなることがあります。

たとえば、病院のトイレには手すりがあり、廊下も広く、床も平らです。一方で自宅は、廊下が狭い、段差がある、トイレが狭い、ベッドの高さが合わない、浴室が滑りやすいといった違いがあります。

退院後にリハビリを続ける方法としては、外来リハビリ、訪問リハビリ、通所リハビリ、自宅での自主練習などがあります。

どれが合うかは、病状、介護度、通院手段、地域のサービス状況によって変わります。主治医、リハビリ職、ケアマネジャーに相談しましょう。

医療保険でリハビリを受けられる期間や、介護保険リハビリへの移行について気になる方は、リハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位を解説も参考になります。

11. 住宅環境|家に来てもらい、現地を見て確認することも大切

住宅環境は、退院後に実際に生活してみて困ることが多い部分です。

病院では問題なく動けていても、自宅には段差、狭い廊下、低いベッド、滑りやすい浴室、暗い夜間の動線があります。

特に確認したい場所は次の通りです。

  • 玄関の段差
  • 廊下の幅
  • トイレの広さ
  • トイレの立ち座り
  • 浴室までの動線
  • 浴槽をまたぐ動作
  • 寝室の位置
  • ベッドの高さ
  • 夜間のトイレ動線
  • 手すりの有無
  • 滑り止めの必要性
  • 杖、歩行器、車いすの使用スペース

退院前にできれば確認したいのが、専門職による自宅環境の確認です。

病院や介護サービスの体制によっては、退院前にリハビリ職やケアマネジャー、福祉用具業者などが自宅を確認し、動線、段差、手すり、ベッド、ポータブルトイレ、車いす、歩行器などを一緒に検討してくれることがあります。

実際の家を見ると、病院内では分からなかった困りごとが見えやすくなります。

自宅で見る場所確認したいこと
玄関段差を越えられるか、手すりが必要か
廊下杖や歩行器、車いすで通れる幅があるか
トイレ立ち座りできるか、手すりやポータブルトイレが必要か
浴室浴槽をまたげるか、シャワーチェアや手すりが必要か
寝室ベッドの高さが合うか、トイレまでの距離が遠すぎないか
夜間動線暗い中でトイレに行くときに転倒しそうな場所がないか

家に来てもらうことが難しい場合でも、自宅の写真や動画を撮って、退院前カンファレンスで見てもらう方法があります。

写真を撮るなら、玄関、廊下、トイレ、浴室、寝室、ベッド、段差、手すりが必要そうな場所を撮っておくと相談しやすいです。

必要に応じて、ポータブルトイレ、シャワーチェア、手すり、歩行器、介護ベッドなどを検討します。

介護保険では、福祉用具貸与や住宅改修が対象になる場合があります。ただし、住宅改修は事前申請が必要になることがあります。退院前に慌てて工事を進めるのではなく、ケアマネジャーや病院の相談員に確認してから動きましょう。福祉用具や住宅改修の制度概要は、厚生労働省の福祉用具・住宅改修に関するページでも確認できます。

12. 緊急時対応|体調が悪くなったときの連絡先を確認する

退院後に一番慌てるのは、体調が悪くなったときです。

退院前に、次のような場合の連絡先を確認しておきましょう。

  • 発熱した
  • 息苦しさがある
  • 強い痛みがある
  • 意識がぼんやりする
  • 転倒した
  • 食事や水分が取れない
  • 薬が飲めない
  • むせが増えた
  • 傷や処置部位の状態が気になる
  • 退院後に明らかに状態が変わった

確認すべきなのは、「どんな症状なら危険か」を家族だけで判断することではありません。

どこへ連絡すればよいかです。

病院へ連絡するのか、かかりつけ医へ連絡するのか、訪問看護へ連絡するのか、夜間・休日はどうするのかを退院前に聞いておきましょう。

救急車を呼ぶべきか、すぐ病院に行くべきか迷う場合、実施地域では救急安心センター事業「#7119」で電話相談できる場合があります。ただし、明らかに緊急性が高いと感じる場合は、ためらわず119番へ連絡してください。救急相談については、総務省消防庁の救急安心センター事業(#7119)も確認しておくとよいでしょう。

13. お金・制度|医療費・介護費・必要書類を確認する

退院後は、医療費だけでなく介護費や生活費も見通しておく必要があります。

確認したい費用は次の通りです。

  • 退院時の支払い
  • 次回外来の医療費
  • 薬代
  • 訪問看護費
  • 介護保険サービスの自己負担
  • 福祉用具レンタル費
  • 住宅改修費
  • 通院交通費
  • 介護タクシー代
  • おむつ代
  • 宅配食や配食サービス費

医療費が高額になりそうな場合は、高額療養費制度や限度額適用認定証について確認しましょう。

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が月ごとの上限額を超えた場合、その超えた額が支給される制度です。また、マイナ保険証や限度額適用認定証などにより、窓口負担を月ごとの上限額までに抑えられる場合があります。詳しくは、厚生労働省の高額療養費制度に関するページを確認してください。

障害者手帳、難病、医療費助成など、該当する制度がある場合もあります。制度や金額は個別差が大きいため、病院の医療相談室、市区町村窓口、ケアマネジャーへ確認しましょう。

病気や事故のあとに障害が残り、障害者手帳、障害年金、福祉サービスなどの制度が気になる場合は、病気や事故で障害が残ったら何を申請する?障害者手帳・障害年金・福祉サービスの順番を解説も参考になります。

退院前カンファレンスで家族が聞いておきたい質問リスト

退院前カンファレンスは、退院後の生活を関係者で確認する大切な機会です。

病状や薬だけでなく、家での生活動作も具体的に確認しましょう。

特に聞いておきたいのは、食事、排泄、入浴、移動、移乗です。

確認したい質問主な確認先
退院後に注意すべき症状はありますか?医師、看護師
食事形態は何を目安にすればよいですか?医師、言語聴覚士、管理栄養士
水分にとろみは必要ですか?言語聴覚士、看護師、管理栄養士
食事は本人や家族が準備できそうですか?管理栄養士、看護師、ケアマネ
宅配食や配食サービスを考えた方がよいですか?管理栄養士、ケアマネ
薬は入院前と変わっていますか?医師、薬剤師
飲み忘れたときはどうすればよいですか?医師、薬剤師
次回受診日はいつですか?主治医、医事課
退院後もリハビリは必要ですか?医師、リハビリ職
トイレまで安全に移動できますか?看護師、リハビリ職、ケアマネ
夜間の排泄はどう考えればよいですか?看護師、リハビリ職、ケアマネ
ポータブルトイレやオムツ、パッドは必要ですか?看護師、ケアマネ
ベッドから車いす、車いすからトイレへの移乗はできますか?リハビリ職、看護師
杖、歩行器、車いすのどれが必要ですか?リハビリ職、ケアマネ、福祉用具業者
自宅のお風呂に入れそうですか?リハビリ職、看護師、ケアマネ
浴槽をまたぐ動作はできますか?リハビリ職、看護師、ケアマネ
訪問看護は必要ですか?医師、看護師、ケアマネ
介護保険サービスは使えますか?ケアマネ、地域包括支援センター
ケアマネジャーには連絡済みですか?退院支援担当者
体調が悪くなったときはどこへ連絡すればよいですか?病院、訪問看護
夜間や休日に困った場合の連絡先はありますか?病院、訪問看護
退院前に自宅を見てもらうことはできますか?退院支援担当者、リハビリ職、ケアマネ
自宅の写真や動画を見てもらうだけでも相談できますか?退院支援担当者、リハビリ職、ケアマネ
退院後に家族がしてはいけないことはありますか?医師、看護師、薬剤師

病院側は、病状や治療経過は把握していますが、家の中の段差、トイレの広さ、浴室の形、家族が介助できる時間までは分かりません。

だからこそ、家族から「家ではここが不安です」と具体的に伝えることが大切です。

入院中に誰へ相談すればよいか迷う場合は、入院中に困ったときの相談先|看護師長・医療相談室・患者相談窓口の違いを解説も参考にしてください。

退院当日までに準備しておきたいもの

退院当日は、思った以上にバタバタします。必要なものは早めに確認しておきましょう。

  • □ 退院時の書類
  • □ 診療情報提供書
  • □ 次回受診予約票
  • □ 退院時処方薬
  • □ お薬手帳
  • □ 保険証
  • □ 介護保険証
  • □ ケアマネの連絡先
  • □ 病院の連絡先
  • □ 訪問看護の連絡先
  • □ 服薬カレンダー
  • □ 体温計
  • □ 血圧計
  • □ 杖・歩行器
  • □ 車いす
  • □ 手すり
  • □ ポータブルトイレ
  • □ オムツ・パッド
  • □ とろみ剤
  • □ 嚥下対応食や介護食
  • □ 宅配食の手配
  • □ 自宅の写真・動画
  • □ 玄関、廊下、トイレ、浴室、寝室の動線確認
  • □ ベッドの高さ確認
  • □ 車いすからトイレへの移乗方法
  • □ 杖・歩行器・車いすの使い方
  • □ ポータブルトイレの設置場所
  • □ 夜間照明
  • □ 滑り止めマット
  • □ シャワーチェア
  • □ 入浴介助の方法
  • □ オムツ・パッドのサイズ確認
  • □ 配食サービス・宅配食の候補
  • □ 家族の役割分担メモ

とろみ剤や嚥下対応食は、必要性や使い方を専門職に確認してから準備しましょう。

退院当日までに準備するものは、薬や書類だけではありません。

自宅での生活を考えると、玄関、廊下、トイレ、浴室、寝室の動線も確認しておく必要があります。

可能であれば、自宅の写真や動画を撮っておき、退院前カンファレンスで専門職に見てもらいましょう。

特に、ベッドの高さ、トイレの広さ、浴槽のまたぎ、夜間のトイレ動線、車いすや歩行器が通れる幅は確認しておきたいポイントです。

退院後1週間で家族が見るべきポイント

退院後1週間は、本人も家族も生活リズムを作る時期です。気になる変化があれば、早めに相談しましょう。

特に見たいのは、食事、排泄、入浴、移動、移乗が実際に家で回っているかです。

見るポイント家族が確認したいこと相談先の例
食事量入院中より極端に減っていないか医師、看護師、管理栄養士
水分量飲めているか、むせていないか医師、看護師、言語聴覚士
むせ食事中や食後に増えていないか言語聴覚士、看護師
口腔ケア口の中に食べ物が残っていないか、入れ歯管理ができているか看護師、歯科、言語聴覚士
飲み忘れがないか、管理できているか薬剤師、看護師
トイレトイレまで行けるか、間に合っているか看護師、ケアマネ
排泄用品パッドやオムツの量・サイズが合っているか看護師、ケアマネ
移動杖、つたい歩き、歩行器、車いすで動けているかリハビリ職、ケアマネ
移乗ベッドから車いす、車いすからトイレに移れているかリハビリ職、看護師
入浴自宅で入れるか、介助量が大きすぎないか看護師、ケアマネ
転倒リスクふらつきや危ない場面がないかリハビリ職、ケアマネ
体温・痛み発熱や痛みが続いていないか医師、看護師
睡眠夜眠れているか、夜間トイレで起きすぎていないか医師、看護師
家族負担介護者が疲れすぎていないかケアマネ、地域包括支援センター

退院後の変化は、本人が遠慮して言わないこともあります。

「食べられているか」「トイレに行けているか」「移動で危ない場面がないか」「家族の介助が重すぎないか」を軽くメモしておくと、受診時や訪問看護、ケアマネジャーとの相談時に伝えやすくなります。

一人暮らしの親・遠方の家族が退院準備で注意したいこと

一人暮らしの親が退院する場合は、「退院できるか」だけでなく、退院後に生活が回るかを確認することが大切です。

特に確認したいのは次の点です。

  • 食事を用意できるか
  • 薬を飲み忘れずに管理できるか
  • 買い物に行けるか
  • 通院手段があるか
  • トイレや入浴が一人でできるか
  • 夜間に転倒しそうな場面がないか
  • 緊急時に連絡できるか
  • 家族や支援者が定期的に様子を確認できるか

遠方の家族が退院準備をする場合は、退院前カンファレンスに電話やオンラインで参加できるか相談しましょう。

また、ケアマネジャー、訪問看護、病院の地域連携室、市区町村窓口など、連絡先を一覧にしておくと安心です。

退院後に遠方から支援する場合は、家族がすべてを直接行うのではなく、介護保険サービス、配食サービス、見守り、自費サービスなどを組み合わせることも考えます。介護保険外の支援も含めて考えたい場合は、介護保険で足りない通院付き添い・夜間見守り・朝夕支援に使える自費介護サービスも参考にしてください。

自宅退院が難しいと言われた場合|食事・排泄・入浴・移動のどこが課題か確認する

病院から「自宅退院は難しいかもしれません」と言われると、家族は大きな不安を感じます。

ただ、すぐに家族だけで結論を出す必要はありません。

確認したいのは、次のようなことです。

  • なぜ自宅退院が難しいと判断されているのか
  • 医療処置が理由なのか
  • 食事や嚥下が理由なのか
  • 排泄や入浴の介助量が理由なのか
  • 移動や移乗が理由なのか
  • 住宅環境が理由なのか
  • 家族の介護体制が理由なのか
  • 退院前に整えれば自宅に戻れる可能性があるのか
  • 転院、施設、ショートステイなどの選択肢があるのか

回復期の病院、地域包括ケア病棟、介護老人保健施設、ショートステイ、施設入居などが選択肢になることもあります。ただし、利用できるかどうかは病状、介護度、地域、空き状況、制度によって異なります。

「自宅に戻すべきか」「施設を考えるべきか」を家族だけで抱え込まず、主治医、退院支援担当者、ケアマネジャー、地域包括支援センターに相談しましょう。

転院をすすめられて不安な方は、入院したばかりなのに転院と言われたら?理由と家族が確認すべきことも参考にしてください。

家族だけで抱え込まないために相談できる相手

退院後に困ったとき、家族だけで判断してしまうと負担が大きくなります。退院前から相談先を確認しておくことが大切です。

相談先相談できること
主治医病状、薬、通院、医療処置
病棟看護師退院後の注意点、処置、生活上の不安
退院支援看護師退院後の生活調整、在宅サービスの相談
医療ソーシャルワーカー医療費、制度、転院、在宅生活の相談
地域連携室かかりつけ医、介護事業所との連携
ケアマネジャー介護サービス、福祉用具、住宅改修
訪問看護師体調観察、医療処置、家族への助言
リハビリ職生活動作、自宅環境、転倒しそうな場面の相談
薬剤師薬の飲み方、飲み合わせ、飲み忘れ
管理栄養士食事内容、栄養、食事制限
言語聴覚士嚥下、食形態、とろみ、食事中の注意
地域包括支援センター介護保険申請、高齢者の総合相談
市区町村窓口介護保険、医療費助成、福祉制度

医療や介護の相談先は一つではありません。

「これは誰に聞けばいいのか分からない」という状態でも、病院の相談員や地域包括支援センターに相談して大丈夫です。

入院中の相談先に迷う場合は、入院中に困ったときの相談先|看護師長・医療相談室・患者相談窓口の違いを解説で、看護師長、医療相談室、患者相談窓口の違いも確認できます。

退院後の家族負担を減らすために使えるサービス

退院後の生活は、家族だけで支えるものではありません。

食事、排泄、入浴、移動、移乗に困りそうな場合でも、使えるサービスや福祉用具を組み合わせることで、生活を整えやすくなることがあります。

困りごと検討できるサービス・用具
食事作りが大変配食サービス、宅配食、嚥下対応食、介護食宅配
むせや食形態が不安言語聴覚士、管理栄養士、訪問看護、嚥下対応食
トイレまで行けないポータブルトイレ、手すり、訪問介護、オムツ・パッド
入浴が難しい通所介護での入浴、訪問入浴、シャワーチェア、手すり
家の中の移動が不安杖、歩行器、車いす、手すり、福祉用具レンタル
移乗が難しい介護ベッド、手すり、移乗方法の指導、訪問介護
体調管理が不安訪問看護、訪問診療、かかりつけ医
家族が遠方・仕事で支援しにくい介護保険サービス、自費介護サービス、見守りサービス
通院が大変介護タクシー、通院付き添い、自費サービス

たとえば、食事は本人や家族がすべて作る方法だけではありません。本人の食形態や制限に合うことが前提ですが、配食サービスや嚥下対応食・介護食宅配を使う方法もあります。

退院後の嚥下食や介護食宅配については、退院後の嚥下食・介護食宅配の選び方で詳しく解説しています。

排泄が難しい場合は、すぐに「全部オムツ」と考える必要はありません。

トイレまで移動できるなら手すりや見守り、一部だけ難しいならポータブルトイレ、かなり難しい場合はオムツやパッドを検討するなど、本人の状態に合わせて段階的に考えます。

入浴も同じです。自宅で入れるなら、浴室までの動線、手すり、シャワーチェア、浴槽をまたぐ動作を確認します。難しい場合は、通所介護での入浴や訪問入浴が選択肢になることがあります。

介護保険だけでは足りない通院付き添い、夜間の見守り、朝夕の支援などが必要な場合は、自費サービスを検討する家庭もあります。自費介護サービスについて知りたい方は、介護保険で足りない通院付き添い・夜間見守り・朝夕支援に使える自費介護サービスも参考にしてください。

ただし、どのサービスが使えるかは、本人の状態、介護度、地域、事業所の空き状況によって異なります。

家族だけで判断せず、ケアマネジャー、病院の相談員、地域包括支援センターに相談しましょう。

よくある質問

Q1:退院後に家族がまず確認すべきことは何ですか?

まずは、食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、通院、介護保険、緊急時の連絡先を確認しましょう。特に食事と薬は退院直後から必要になります。排泄や移乗が難しい場合は家族の負担が大きくなりやすいため、退院前に病院へ確認しておくと安心です。

Q2:退院後に家で一番大変になりやすいことは何ですか?

食事、排泄、入浴、移動、移乗が大変になりやすいです。病院ではスタッフが支えていた動作でも、自宅では本人や家族が対応する場面が増えます。退院前に、何ができて何に介助が必要かを確認しましょう。

Q3:退院後の食事は家族が全部手作りしないといけませんか?

必ずしもすべて手作りする必要はありません。本人の食形態に合うことが前提ですが、嚥下対応食や介護食宅配、配食サービスを使う選択肢もあります。食形態やとろみは自己判断で変えず、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士に確認しましょう。食事準備に不安がある方は、退院後の嚥下食・介護食宅配の選び方も参考にしてください。

Q4:退院後にトイレまで行けない場合はどうすればよいですか?

本人の状態によります。手すりや歩行器で移動できる場合もあれば、ポータブルトイレ、オムツ、パッド、訪問介護などを検討する場合もあります。自己判断で決めず、看護師、リハビリ職、ケアマネジャーに相談しましょう。

Q5:自宅でお風呂に入れない場合はどうすればよいですか?

浴室までの移動、浴槽をまたぐ動作、洗身、着替えなどが難しい場合は、手すり、シャワーチェア、通所介護での入浴、訪問入浴などを検討することがあります。ケアマネジャーや看護師に相談しましょう。

Q6:退院前に自宅を見てもらうことはできますか?

病院や介護サービスの体制によりますが、退院前に自宅環境を確認してもらえる場合があります。難しい場合でも、自宅の写真や動画を撮って、退院前カンファレンスで見てもらうと相談しやすくなります。

Q7:介護保険の申請は退院してからでも間に合いますか?

状況によります。退院後すぐに介護サービスが必要になりそうな場合は、入院中から病院の相談員、地域包括支援センター、市区町村窓口に相談しておくとよいでしょう。介護保険サービスの流れは、厚生労働省の介護サービス利用までの流れでも確認できます。

Q8:退院後に訪問看護が必要かどうかは誰に聞けばよいですか?

主治医、病棟看護師、退院支援担当者、ケアマネジャーに相談しましょう。医療処置や体調管理が必要な場合に検討されることがあります。

Q9:退院後にリハビリを続けたい場合はどうすればよいですか?

外来リハビリ、訪問リハビリ、通所リハビリなどの選択肢があります。どれが利用できるかは、病状、介護度、地域、医師の判断などによって異なるため、主治医、リハビリ職、ケアマネジャーに相談してください。リハビリの保険期間が気になる方は、リハビリはいつまで保険で受けられる?150日ルール・13単位を解説も参考になります。

Q10:一人暮らしの親が退院する場合、何を確認すべきですか?

食事、薬、買い物、通院、トイレ、入浴、夜間の安全、緊急時の連絡手段を確認しましょう。必要に応じて、介護サービス、配食サービス、見守りサービス、訪問看護なども相談します。

Q11:退院後に体調が悪くなったらどうすればよいですか?

退院時に確認した連絡先へ相談してください。夜間や休日の対応、救急相談窓口、訪問看護の連絡先などを事前に確認しておくことが大切です。緊急性が高いと感じる場合は、迷わず119番へ連絡してください。救急相談については、総務省消防庁の救急安心センター事業(#7119)も参考になります。

Q12:退院前カンファレンスには家族も参加した方がいいですか?

可能であれば参加した方がよいです。食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、介護サービス、住宅環境、緊急時対応などをまとめて確認できる機会になります。遠方の場合は、電話参加やオンライン参加ができるか病院へ相談してみましょう。

Q13:退院後の介護が家族だけでは難しい場合はどうすればよいですか?

ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院の相談員に相談しましょう。訪問介護、通所介護、福祉用具、配食サービス、訪問看護、自費サービスなどを組み合わせる方法があります。家族だけで抱え込まなくて大丈夫です。

まとめ|退院後の生活は家族だけで抱え込まない

退院後に家族が確認すべきことは、食事、排泄、入浴、移動、移乗、薬、通院、介護保険、訪問看護、住宅環境、緊急時対応、お金、家族の役割分担です。

その中でも、自宅に帰ってから特に大変になりやすいのは、食事、排泄、入浴、移動、移乗です。

食事は、本人や家族が作るのか、宅配食や配食サービスを使うのかを考える必要があります。嚥下や食形態に不安がある場合は、自己判断で変更せず、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士へ確認しましょう。家族の食事準備の負担が大きい場合は、退院後の嚥下食・介護食宅配の選び方も参考にしてください。

排泄は、トイレまで行けるか、立ち座りができるか、ズボンの上げ下げができるかまで確認します。難しい場合は、手すり、ポータブルトイレ、オムツやパッド、訪問介護などを検討することがあります。

入浴は、浴室までの移動、浴槽をまたぐ動作、浴室内での転倒リスクを確認しましょう。自宅での入浴が難しい場合は、通所介護での入浴や訪問入浴なども選択肢になります。

移動や移乗は、杖、つたい歩き、歩行器、車いす、ベッドから車いす、車いすからトイレなど、実際の生活場面で考えることが大切です。

薬や医療処置は、家族判断で変更・中止せず、医師や薬剤師へ相談しましょう。介護サービスについては、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談できます。

退院日はゴールではなく、自宅生活のスタートです。

家族がすべてを完璧に抱え込む必要はありません。退院前から、病院、ケアマネジャー、訪問看護、地域包括支援センター、福祉用具業者などと相談し、最低限の生活をどう支えるかを一緒に考えていきましょう。

参考情報

この記事では、介護保険、地域包括支援センター、高額療養費制度、福祉用具・住宅改修、救急相談窓口などについて、公的情報を確認したうえで一般的な内容をまとめています。制度の詳細や費用、窓口は地域や時期によって異なるため、実際の手続きは病院窓口、市区町村、ケアマネジャー、加入している医療保険者などへ確認してください。

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